「スマホを使いたいけど見つからない!どこに置いたんだっけ?」
「完成させた報告書の提出を後回しにしていたら、うっかり出し忘れてしまった」
「勉強はしているのに、漢字や英単語などの暗記がうまくいかない…」
このような経験に心当たりがありませんか?
日に日に増えてくると、「物忘れが増えた」「物事を覚えられない」
なんてことを感じますよね。
「歳を取ったから受け入れよう」「頭が悪いから仕方ない」
そのように考えて諦めてしまいがちな物忘れや記憶力の低下ですが、
出来れば少しでも改善したいですよね。
そんな方におすすめなのは「チョコレート」です!
実は脳に良い効果があることをご存知でしょうか?
チョコレートであれば仕事の合間にも食べられます。
空腹を紛らわせることが出来るだけでなく、物忘れも改善できるなんて、
まさに一石二鳥ですよね。
さらに、記憶力が上がれば勉強や仕事の効率アップも期待できます。
本記事では、「脳が良くなる」というチョコレートの更なる健康効果についてご紹介します!
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
チョコレートの脳への効果
さて、チョコレートは脳に良い効果があると書きましたが、
具体的にどんな効果があるのでしょうか?
3つの健康効果を取り上げてご紹介します。
記憶力向上
記憶や学習能力にかかわる脳内物質に「BDNF(脳由来神経栄養因子)」
というたんぱく質があります。
アルツハイマー型認知症の患者は、BDNFが減少することがわかっています。
脳にとって重要なBDNFを増やす方法の1つが、「チョコレートを食べる」ことです。
チョコレートに含まれる「カカオポリフェノール」が脳に良い効果をもたらすとされています。
45~68歳の成人男女347人(男性123人、女性224人)に、高カカオチョコレート(カカオ分70%以上のチョコレート)を4週間摂取してもらったところ、BDNFが上昇したという研究報告があります。
BDNFが上昇すると記憶力・学習能力が向上するので、
その結果、仕事の効率アップや物忘れ改善に繋がります。
図 BDNFの測定結果
BDNFは、65歳以上では加齢と共に減少していくことが知られています。
物忘れが増えたり、認知症になったりしないように、
チョコレートを食べてBDNFを活性化させていきたいですね。
うつ症状の軽減
記憶や学習能力に関係のあるBDNFですが、うつ病にも関連していることがわかっています。
いくつかの研究で、うつ病評価尺度(HAMD)と血清BDNF濃度との間に
有意な負の相関が認められており、
「抑うつ状態が強いほど、血清BDNF濃度は低値を示した」と報告されています。
脳内のBDNFが増加すると抑うつ状態が軽減すると言えるので、
チョコレートでBDNFを活性化させることで抗うつに繋がります。
(参考) 吉村玲児 ,杉田篤子 ,堀輝 ,中野和歌子 ,林健司 ,香月あすか ,上田展久 ,中村純 ,リア,マ.,アストロサイト ; 神経栄養因子 BDNF仮説の検証 . 精神神經學雜誌 = Psychiatria et neurologia Japonica 2010, 112, 982-985.
また、チョコレートの甘味により「βエンドルフィン」が分泌されます。
この物質は、幸福感や高揚感を得ることができるので、
不安やイライラ感が和らぎ、ストレスを軽減させる効果があります。
リラックス効果・疲労回復効果
カカオには「テオブロミン」という成分が含まれています。
この成分は交換神経と副交感神経のバランスを調整する脳内物質である「セロトニン」を
増加させるので、リラックス効果・疲労回復効果が期待できます。
そして、チョコレートの中でも、リラックス効果・疲労回復効果が特に高いものは、
GABA入りのチョコレートです。
GABAはアドレナリンやドーパミンといった興奮性伝達物質の分泌を抑制できるので、
イライラが収まったり、緊張が和らいだりしてリラックスに繋がります。
チョコレートの効果的な食べ方
チョコレートには脳に良い効果があることがわかりましたね。
では効果的に食べるにはどうしたら良いのでしょうか?
摂取量、タイミング、注意点を確認して、チョコレートの効果を最大限発揮させましょう!
1日あたりの摂取量はどのくらい?
甘いチョコレートは高カロリーです。
脳に良いとはいえ、肥満に繋がるので食べ過ぎは厳禁です。
健康効果を得るためには、1日に5~10gが適量と考えられています。
それでももっと食べたい!という方は、多くても35gまでにしましょう。
食べるタイミングはいつ?
チョコレートに含まれる「カカオポリフェノール」は、
食後1時間後に効果が出始めますが、2時間ほどしか持続しません。
あまり長続きしないので、1度にたくさん食べるのではなく、
少量を何回かに分けて食べることをおすすめします。
チョコレートを食べるおすすめのタイミングをまとめてみました。
・朝食時
血行促進作用により体温上昇の効果が期待できます。
また、糖質が脳のエネルギーにもなります。
・勉強前
BDNF(脳由来神経栄養因子)という記憶形成にかかわる脳内物質を活性化できるので、
学習効果の向上に繋がります。
・勉強/仕事の休憩時間、夕食後
交感神経と副交感神経のバランス調整にかかわる脳内物質に働きかけることで、
リラックス効果や疲労回復効果が期待できます。
※チョコレートにはカフェインも含まれているので、夜遅くに多量摂取することは控えましょう。
食べる時の注意
チョコレートは少量ではありますがカフェインが含まれています。
妊娠中の方は赤ちゃんの発育に悪影響があるという研究結果もありますので、
食べる場合は一度かかりつけ医に相談すると安心ですね。
さらに、子どもは大人よりカフェインの影響を受けやすく、夜眠れなくなる場合があるので、
夜の多量摂取は控えましょう。
また、チョコレートには疲労回復効果があるとご紹介しましたが、
頼り過ぎると効果が切れた後に低血糖になり身体の疲労感が増してしまうことがあります。
ひどく疲れているのであれば、睡眠時間を確保したり、バランスの良い食事にしてみたり等、
普段の生活を見直すことも大切です。
ちなみに、チョコレートと同様に原料がカカオ豆であるココアも、
カカオポリフェノール、カフェインどちらも含まれているので注意しましょう。
おすすめのチョコレート
チョコレートの効果を知ると、今すぐにでも食べたくなってきますよね。
でも、早速買おうと思ってお店に行ってみると
色々な種類のチョコレートが販売されていて迷ってしまいませんか?
勉強や仕事の効率アップ、記憶力向上などの効果を期待する方には
カカオポリフェノールが多く含まれる「ビターチョコレート」をおすすめします。
それでは、おすすめのチョコレートをご紹介します!
1枚あたり127mgのカカオポリフェノールが含まれている高カカオチョコレートです。
カカオ80%以上のものも販売されていますが、含有量が多くなるほど苦味が強くなるので、
初めて食べる方はまず72%から試してみてはいかがでしょうか?
甘いチョコレートが苦手な方にもおすすめです。
・ストレス軽減/睡眠の質を良くする方におすすめ
こちらのチョコレートは、ストレス軽減効果のあるGABAが含まれています。
「γ-アミノ酪酸」という成分に睡眠の質を高める効果があるので、
深い眠りになり、朝はすっきりと目覚めることができるようになります。
「チョコレートにはカフェインが含まれている」と紹介しましたが、
このチョコレートは、3粒で煎茶の湯飲み茶碗10分の1杯程度しか含まれていないので、
睡眠前でも召し上がれます。
また、ホワイトチョコレートはカカオポリフェノールがほとんど含まれていないので、
脳に良い効果を期待する方にはあまりおすすめしません。
脳以外への様々な効果
チョコレートの脳への健康効果を紹介してきましたが、
他にも以下のような効果が期待できます。
・血圧低下
・動脈硬化のリスク低下
・老化防止
・便通改善
・抗酸化作用
・HDLコレステロール(善玉コレステロール)の増加
手軽に食べられるチョコレートが、これだけ健康にいいというのは驚きですね。
まとめ
チョコレートに含まれるカカオポリフェノールがBDNF(脳由来神経栄養因子)を
活性化させることで、記憶力向上、うつ病予防に効果的であることがわかりました。
また、交感神経・副交感神経のバランス調整が出来るので、
リラックス効果・疲労回復効果も期待できます。
他にも、血圧低下、動脈硬化のリスク低下、老化防止、抗酸化作用などの効果があります。
健康に良い効果をもたらすチョコレートですが、高カロリーなので過剰摂取は厳禁です。
1日あたり5~10gを目安に摂取して、その効果を最大限発揮させましょう。
ヘルスライフと目指す未来。
小さなことを少しずつ。
よい生活習慣を身につけることが健康への第一歩。
【出典】
知って得するチョコレートの効果!注意点や食べるタイミングも紹介
株式会社明治 みんなのチョコレート摂取による健康効果に関する実証研究
適糖ライフのススメVol.14 疲れた時に甘いものが良いって本当?? 心や体の回復に良い対策を管理栄養士が解説