老化現象とはどんなもの?原因は体の「サビ」や「コゲ」?

おばあちゃん

 

「疲れがとれにくくなった」「物忘れがひどくなった」など、

特に40歳を過ぎた辺りから年々年齢を感じることが多くなっていませんか?

いわゆる「老化現象」には、様々な症状があります。

 

そもそも「老化」とはどのようなもので、何が原因で体に表れるのでしょうか。

本記事では「老化」の基本的な知識から、身体に表れる症状、さらに老化現象を止める方法まで紹介していきます。

「老化」について正しい知識をもつことで、症状や悩みを和らげていきましょう。

 

監修者情報

佐藤祐造

名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

 

老化とは?

 

そもそも「老化」とはどのようなものなのでしょうか?

 

老化とは

 

人は、生まれてから命を落とすまでに、常に何かしらの変化が起きています。

その変化は、ある時までは「成長」と呼ばれ、

ある時からは「老化」と呼ばれるようになります。

もちろんこの変化の時期は個人によって差があります。

 

「老化」とは、一般的に、成熟期以降に起こる生理現象の衰退を意味し、

遺伝的な要因や外界からのストレスに対して

適応力が低下することで起こる変化と考えられています。

 

もちろん、成長スピードに個人差があるのと同じで、

老化のスピードも人それぞれ違います。

 

また、部分ごとにも老化のスピードは異なることがあるため、

一部の組織の老化が進んでも、他の組織は実年齢よりも若い、ということもあります。

 

※参考:公益財団法人長寿科学振興財団「老化とは何か?」

 

老化が始まるのはいつからか

 

老化現象を感じるのには個人差がありますが、

多くの人が40歳を過ぎた頃から身体への変化を感じ始めると言います。

 

その理由は、抗酸化酵素の減少が関係しています。

身体には、抗酸化作用をもち、活性酸素を抑え込んで、老化を防止してくれる抗酸化酵素を生成する仕組みが備わっています。

 

しかし、その抗酸化酵素を作り出す力のピークは20代で、そこからだんだんと低下していき、

40歳を過ぎた頃から急激に減少します。

 

これまでは、活性酸素が作られても抑えられていましたが、

この年齢の辺りから活性酸素の力が抗酸化力を上回り、老化が進行し始めます。

 

そのため、40歳を過ぎた頃から自分の身体に変化を感じ始める人が多いようです。

 

 

老化の原因

 

ではこの「老化」の原因とはいったい何なのでしょうか。

原因としては主に、以下の2つが考えられます。

 

体のサビ:「酸化」

 

まず1点目は、体の「酸化」です。

前章にも登場した「活性酸素」ですが、これは酸化力が非常に強いことが特徴で、

様々なモノを酸化させます。

切ったリンゴが空気に触れて変色するように、

この「活性酸素」によって人の体も酸化してさびてしまうのです。

 

この「活性酸素」は、呼吸によって体内に取り込まれた酸素が肺から血液に乗って体中に送り込まれ、

それぞれの場所でエネルギーを作る際に副産物として生まれます。

 

しかしこの「活性酸素」は悪い面だけではなく、

体内に侵入してきたウイルスや細菌をやっつけたりと、体を守る武器として良い面も持ち合わせています。

 

ただ、その量が増えすぎた時が問題で、増えすぎると人体の組織を傷つけてしまうのです。

 

ではこの「活性酸素」は、どのような時に増えるのでしょうか。

 

増える原因は、現代社会において多く存在します。

代表的なものが紫外線で、その他にはダイオキシンや排気ガスなどの大気汚染、放射線なども原因として挙げられます。

 

老化の進行に個人差が出るのは、活性酸素の増え方が人によって違うためで、

それには生活習慣が大きく関わってきます。

 

まず大きな影響を与えるのは、ストレスです。

現代社会において、職場環境や人間関係、生活スタイルなどストレスを感じる場面は多くあり、

個々の差も大きいと思います。

さらに元々ストレスを感じやすい人と感じにくい人によっても個人差は出てきます。

 

またその他にも、タバコや睡眠不足、運動の内容によっては老化を防ぐものと進行させるものがあります。

運動は、1駅分歩く、できるだけ階段を使うといった適度な運動は健康増進に良いですが、

激しい運動は呼吸量が大幅に増加し、多くの活性酸素を発生させる要因ともなります。

 

体のコゲ:「糖化」

 

「糖化」とは、たんぱく質が糖質と結びつくことです。

体のエネルギーとして使われる量を超えて、体内に余った糖質とたんぱく質が結びついてしまうと、

糖化されたたんぱく質によって、AGE」(終末糖化産物)と呼ばれる老化促進物質が作り出されてしまいます。

この「AGE」は強い毒性を持っており、体内のたんぱく質を攻撃して、その機能を低下させる働きも持っています。

 

前述の「酸化」が「体のサビ」といわれるのに対し、「糖化」は「体のコゲ」と呼ばれています。

身近な例で言うと、ホットケーキがこんがり焼けて褐色になっていくのも糖化の一例です。

これはホットケーキに含まれる砂糖が、卵や牛乳等のたんぱく質と結びつくことで起こる現象です。

 

食べ物で糖化が起こる場合は、香ばしい良いにおいがする反応ですが、

同じことが人間の体内で起こると大変な現象を引き起こしてしまいます。

 

この糖化を含め、老化によって身体に起こる影響については次章でまとめていきます。

 

 

老化によって身体にはどんな影響がある?

 

老化現象の原因として、体の「酸化」と「糖化」を挙げましたが、

体には具体的にどのような影響が起こるのでしょうか。

 

骨密度の低下

 

老化によって、骨密度が低下する傾向があります。

骨密度が低下すると骨粗しょう症になる可能性が高まります。

骨粗しょう症になると、骨が弱くなり、骨折をする危険性が高まります。

 

筋肉量と筋力の減少(サルコペニア)

 

筋肉量と筋力の減少は30歳前後から始まり、その後続いていく傾向があります。

このような現象は、筋肉の発達を刺激する成長ホルモンとテストステロンの量が減少することで起こることがあります。

 

成人期において、老化が原因で減少する筋肉量と筋力は約1015%以下で、

これよりも重度の筋肉減少は病気または過度の運動不足が原因として考えられます。

 

高齢者の筋力と筋肉量の低下はサルコペニアと呼ばれます。

 

視力、色覚の変化

 

老化が進行することによって、視力に以下のような変化が起こります。

 

・近くのものに焦点を合わせにくくなる

・薄暗い場所でモノが見えにくくなる

・色の見え方が変わる

・奥行の認識力が衰える

・目の渇きが感じやすくなる

 

特に視力については、近くのものが見えにくくなる「老視」の症状が表れることが多く、

ほとんどの人は40代で60センチメートルより近くのものを見るが困難になっているのに気づきます。

 

また、色覚の変化としては、加齢に伴って水晶体が黄色みを帯びてくるため、

色の見え方が変わります。

色が全体的に暗く見えるようになり、色のコントラストを見分けるのが難しくなります。

 

肌のゆらぎ

 

老化の進行によって、肌にも変化が表れます。

皮膚が薄くなり、弾力を失い、乾燥し、細かいしわがよります。

しわや肌荒れ、しみは、長年にわたり日光にさらされてきたことが大きく関わっています。

そのため、若いうちから日焼け対策等をこまめにしてきた方は、同年代の方より若く見られることが多いです。

 

また、皮下脂肪の層が薄くなります。

この層は皮膚のクッションとして働き、皮膚を保護して支える助けになります。

またこの層には体の熱を逃がさないようにする働きももっているため

この層が薄くなると、シワができやすくなり、寒さにも弱くなります。

 

 

すぐに試せる!老化現象を少しでも食い止める方法

 

老化が進行することで、身体には様々な影響が及びますが、

このような老化現象を少しでも食い止める方法はいくつかあります。

 

今回は前述した老化の原因別に老化防止対策を紹介していきたいと思います!

 

体の「酸化」を食い止める!老化防止におすすめの食べ物

 

老化の原因の一つといわれている「酸化」ですが、

この「酸化」を防ぎ、抗酸化力をつけるためには、活性酸素を取り除いて酸化の働きを抑えるとされる

「抗酸化物質」の摂取をおすすめします!

抗酸化物質は、活性酸素から体を守り、また細胞の傷害を防いでくれるとも言われています。

 

代表的な抗酸化物質としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドが挙げられます。

 

・ビタミンA

 

ニンジン

 

皮膚や粘膜などの成長に関わっています。

レチノールとβカロテンがあり、特にβカロテンは抗酸化力が強いとされています。

1つ注意として、βカロテンは生では吸収されにくいため

油と一緒に摂取するのがおすすめです。

 

【豊富な食品】

にんじん、ほうれん草、ピーマン、ブロッコリーなどの緑黄色野菜、レバー、乳製品

 

・ビタミンC

 

グレープフルーツ

 

ビタミンCは強力な抗酸化作用をもち、体内の活性酸素種を消去して、体の酸化を防ぐ働きをします。

 

【豊富な食品】 

ピーマン、芽キャベツ、じゃがいも、さつまいも、柑橘類(オレンジ、グレープフルーツなど)、

キウイフルーツ、アセロラ、グァバ、イチゴ、メロン

 

・ビタミンE

 

ピーナッツ

 

ビタミンEは、体内に侵入する細菌・ウイルスを撃退すると言われています。

 

【豊富な食品】

植物油(小麦胚芽油、ひまわり油、ベニバナ油、大豆油など)、

ナッツ類(ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、アーモンドなど)、ほうれん草、ブロッコリー、イワシ、

 

・ポリフェノール類

 

ブルーベリー

 

いずれも抗酸化力があると言われています。

ポリフェノールには、アントシアニン、カテキン、カカオポリフェノール、ルチン、イソフラボンなどがあり、

 

【豊富な食品】

アントシアニン…ブルーベリー、ブドウ(黒系、赤系)

カテキン…緑茶、紅茶

カカオポリフェノール…チョコレート、ココア

ルチン…そば、柑橘類(オレンジ、グレープフルーツなど)

イソフラボン…豆類

 

・カロテノイド

 

トウモロコシ

 

カロテノイドは、活性酸素の発生を抑え、抗酸化力を持ち、皮膚や粘膜などの働きをサポートするとされています。

 

【豊富な食品】

緑黄色野菜(トマトやピーマンなど)、果実類(マンゴー、パパイヤ、柿、すいかなど)、とうもろこし、赤唐辛子、

海藻類(わかめ、こんぶ、ひじきなど)、甲殻類(エビ、カニなど)

 

体の「糖化」を食い止める!食べ方に注意!

 

前述のように、老化の原因の一つに「糖化」があるとされています。

「糖」は体の大切なエネルギーの一つですが、摂り過ぎると糖化作用が過剰に働き、

糖化だけでなく肥満の原因にもなります。

そんな「糖化」ですが、普段の食事の「食べ方」を意識することで抑えることができます。

 

【「糖化」を抑える食べ方】

 

①食事時間は最低でも20分はかける

 食べ物から摂取した「糖」が血液で脳に運ばれると、満腹中枢から満腹のサインがでますが、これに約20分かかります。

食事の最中に満腹サインを受け取るようにすると、食べる量を抑えることができます。

 

②糖質の多い食材を食べすぎない

 穀類、イモ類、甘いものなどの、糖質が多く含まれている食材を食べ過ぎないようにしましょう。

特に、白米、白パン、麺類、白砂糖などの精製された糖質は控えましょう。

 

③食事の間隔は6時間以上とする

 朝食、昼食、夕食はそれぞれ6時半おきにとるのが理想的です。

全て6時間あけるのが難しい方は、せめて就寝3時間前には夕食を終えるようにしましょう。

食べ物を胃に残したまま寝ると、消化に良くないだけでなく、吸収された栄養素が燃焼せずに

脂肪として蓄えられてしまいます。

 

※参考:サワイ健康推進課「中年太りは老化現象のひとつ 『酸化』『糖化』『ホルモンの変化』を抑えて太らない体に!」

 

 

まとめ

 

人間誰しも通る道である「老化」。

原因として考えられるのは、体のサビと言われる「酸化」、そしてコゲと言われる「糖化」です。

 

さらに老化によって身体に現れる現象は、

骨密度の低下や筋肉量と筋力の減少(サルコペニア)、視力・色覚の変化、肌のゆらぎについて挙げましたが、

その他にも考えられる老化現象は様々あります。

 

老化は年齢を重ねていくと誰しも起こる現象です。

ですので、100%食い止めるということはできませんが、

今回紹介した食べ物を意識的に摂り入れてみたり、食べ方を工夫してみることで

少しでも症状を和らげることができます。

 

今すぐにでも簡単に試すことができますので、ぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

【出典】

MSDマニュアル家庭版「加齢に伴うからだの変化」

オムロンヘルスケア「老化の原因『糖化』を防止しよう」

サントリーグッドエイジングラボ「意外と知らない『加齢』と『老化』のちがい」

サントリーグッドエイジングラボ「老化の原因は体の酸化!? いつまでも若くいたい人、必見の『老化の仕組み』」

ハウス食品グループ本社「シミや小じわが気になる女性必見!老化を促進させる『糖化』の原因と予防策」

 

 


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