今回は、ヘルスリテラシーの向上に伴い関心が高まりつつある雑穀についてのお話です。
3月9日は雑穀の日
雑穀の普及に取り組む一般社団法人日本雑穀協会(会長:倉内 伸幸/日本大学生物資源科学部教授)は、2018年11月30日(金)に開催された総会において、3月9日「雑穀の日」を含む、2019年3月4日(月)~10日(日)の一週間を「全国雑穀週間」として初めて決定し、発表いたしました。
3月9日は、「ざっ(3)こく(9)」の語呂合せから来ています。
日本雑穀協会ポスター
雑穀とは
主穀は主食作物であるイネ、コムギ、トウモロコシを指し、雑穀はイネ科作物のうち、小さい穎果をつけるヒエ、アワ、キビなどの総称です。
雑穀は時代背景や主食の変化につれ、捉えられ方も変わってきています。
日本雑穀協会では、これら農学的な狭義の雑穀の定義を尊重しつつ、雑穀と呼ぶ作物の対象範囲を拡げ「主食以外に日本人が利用している穀物の総称」としています。
わかりやすいところでは、十六穀などのミックスされた雑穀や惣菜、製菓・製パン材料など、様々な食品に使用されている雑穀で、店頭に並んでいるものを含みます。
おもな雑穀
【オオムギ(大麦)】
ビールや麦茶、焼酎など用途が広く、穂の形状によって「六条大麦」と「二条大麦」に分かれます。
通常、精麦した大麦を「丸麦」、丸麦を蒸してローラーで押しつぶして食べやすく加工したものを「押麦」、米のような形状に加工したものを「米粒麦」、裸性の品種を「はだか麦」と呼びます。
水溶性食物繊維β‐グルカンを多く含むもち性大麦「もち麦」は、近年大幅に流通量が増えています。
【キビ】
中央アジアなどが原産地で、ヨーロッパには石器時代に伝わり、18世紀にヨーロッパからの移民がアメリカに伝えました。
日本には、アワ、ヒエ、イネよりも遅れて伝来したと考えられています。
見た目の“黄実”が語源で、キビと呼ばれるようになったと言われますが、品種により白っぽいものや褐色のものもあります。
黄色い色素はポリフェノールで抗酸化性に優れています。
【有色米(黒米・赤米)】
玄米に独特の色や香りを持ち、日本や世界の片隅で栽培されてきたイネです。
黒米(紫米、紫黒米)、赤米、緑米、香り米などがあり、古代米とも呼ばれます。
《黒米》
黒色の種皮部分には、ポリフェノールの一種アントシアニンを含んでいます。中国では薬米として、薬膳料理にも使われています。
水溶性に優れ、白米に少量加えて炊飯すると紫色のご飯になります。
《赤米》
赤褐色の種皮部分には、ポリフェノールの一種タンニンを含んでいます。縄文中期に日本に稲作が伝来した米は赤米とされ、日本の米のルーツといえます。
また、赤飯の起源は赤米を蒸したものといわれます。
大麦の栄養
「麦ごはん」となる大麦は優れた栄養価を持つ食品で、特に最近注目を浴びている食物繊維を8.5%も含んでいます(はくばく調べ)。
これは精白米の17倍以上、食物繊維の宝庫と言われているサツマイモと比較しても4倍も多い含有量となります。
食物繊維には、「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、それぞれをバランス良く摂取することが好ましいとされています。
大麦には、この2種類の食物繊維がほぼ半量ずつ含まれており、まさに理想的と言えます。
また、摂取不足が問題となっているカルシウムも精白米の3倍も多く含み、カリウムは2倍、精白米より豊富に含んでいます。
大麦のこのような高い栄養価が、「健康食」と評価されている由縁なのです。
最初は麦ごはんから
食物繊維は、健康を守るために重要な働きをする成分で、不足すると生活習慣病や大腸がんなど、恐ろしい病気を引き起こす一因ともなると言われています。
大麦には、この食物繊維が豊富に含まれています。しかも「水溶性」「不溶性」の量的なバランスがとれています。その他の栄養価もお米に比べて高い食品です。
大麦をお米に混ぜて炊く麦ごはんは、現代人にとって、まさに理想的な主食。毎日食べ続けることで自然にみなさんの健康のお手伝いをします。
参考
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
保健師便りで健康づくりポイントを伝授。
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