今回は、夏のフルーツの女王様。ピンク色で甘―い「もも」のお話です。
毎年、6月ごろに旬を迎える「もも」は、生食用として全国で100以上の品種が栽培され、2017年には約12万トン収穫されています。
歴史も古く、日本では弥生時代から身近な果物だったようです。
神話にも登場するももの歴史
ももの原産は中国といわれ、日本では、弥生時代の遺跡からももの種が見つかっている他、古事記や日本書紀にも記載があります。
中国には、ももを食べた仙人が不老不死となった説話があることから「仙果」とも呼ばれ、花や葉、枝にも邪気をはらう効果があると考えられてきました。
日本でも鬼を恐れさせるといわれ、これが昔話「ももたろう」につながったという説もあります。
古くは、主に観賞用として栽培されており、食用としての普及が始まったのは、明治以降です。
「日本のももの元祖」ともいわれる白桃(はくとう)を岡山県の大久保重五郎氏が発見したのが1899年。
その後、白鳳やあかつき、川中島白桃といった日本を代表する品種が次々と登場していきます。
20世紀半ばまで、主要な産地は岡山県など西日本の温暖な地域でしたが、その後、涼しい地域での栽培も盛んとなり、近年は山梨県と福島県でも栽培されています。
ももの種類と品種
現在、私たちが食べているももは、中国や欧米から入ってきた品種を日本の気候に合うように改良したもので、主に果肉が白い白桃系と、果肉が黄色の黄桃(おうとう)系に分けられます。
また、変わった形や毛なしのものなどがあります。
✿白桃系
大玉で果肉は柔らかく、生食に適した甘くてジューシーな食感。
✿黄桃系
黄桃系のももは白桃系よりも果肉が堅めで缶詰などの加工用として栽培されているものが多く、黄金桃は白桃に近い濃厚な味わいが特徴。
✿ネクタリン
面に毛がなく、皮ごと食べられます。果肉は甘酸っぱいです。
食べごろの見分け方
香りがしていて、軽く触ってみて、表面が柔らかくなっているものが食べ頃です。
ももは流通を考えて、糖度が十分に高くなったとき、堅めの状態で収穫されます。
そのため、スーパーなどの店頭に並ぶころには、柔らかく食べ頃になっていることが多いです。
ただ、農家の直売所や産地直送ショップなどでは、収穫からあまり日数が経たずに販売されるため、まだ堅いこともあります。
7から8月の品種は購入後2日ほど、9月以降のものは4から5日程度で食べ頃になるものが多いようです。
簡単なももの切り方
最近の品種は、皮を手でむけるようなものは少ないので、ナイフや包丁を使ったほうがきれいにむけます。
また、りんごやかきなどとは異なり、果肉の水分が多くて、ぬるぬるしていますので、まず丸ごと皮をむいてしまうのが簡単です。
過熟になると、枝側に少し包丁を入れただけで、するっとむけるものもあります。
1.枝側を下にして、縫合線という縦の線を正面に。
2.縫合線の両側、種ギリギリのところに包丁を入れ、切り取った果肉はそれぞれ3つに切り分けます。
3.残った部分は、種ギリギリに縦に切り、切り取った果肉をそれぞれ2つに切ります。
4.最後に、種の周りに残った果肉を切ります。
おいしく保存するには
ももは購入したときが食べ頃のことが多いため、すぐに食べるのが理想です。
まとめ買いなどでどうしても保存する場合は、冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
冷蔵室よりも野菜室のほうが開け閉めが比較的少なく、温度が安定しやすいからです。
それでもおいしさが半減してしまうので、1週間以内に食べてください。
野菜室に入れるときは、食品保存用のポリエチレン袋に移しましょう。
ひとつの袋に多くは入れず、2個程度にして、口を軽く縛ります。
ちょっと工夫して・・・完熟ももの瞬間冷凍
季節を問わずに「いつでも生のももが味わえる」をコンセプトに、福島県産の完熟もも1個分の果肉を丸ごと瞬間冷凍した新感覚のスイーツシャーベット。
シロップ漬けにせず、製造時に熱を加えていないので、半解凍すれば、生もも感100%のももを楽しめます。
食べやすい大きさにカット済みで、そのまま食べられるだけでなく、ミキサーでスムージーにしたり、カクテルのトッピングにしたりするなど、さまざまなアレンジもできます。
かわいらしいピンク色で丸みのあるフォルムは人間の赤ちゃんのほっぺのようでもあり、店頭で見かけるとつい微笑んでしまいます。
今年のももは、日照時間が少なく、甘みが少ないとのことでしたが、そんなことはありませんでした。
ももの季節もあとわずかですが、コンビニエンスストアやスイーツショップのももシリーズはまだまだ続きそうです。
いろいろなももを味わいたいものですね。
出典
農林水産省HP 19年5.6月号 ももの歴史と主な品種
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
子供の頃、わからなかった味がある。そんなアナタにヘルスライフ。