飲む点滴ともいわれ、疲労回復に効果がある飲み物として再注目されている甘酒。
米麹や日本酒を作る過程で出る酒粕を原料として作られます。
酒粕が出回る12月からが旬とも言えますが、実は、夏の風物詩。
江戸時代から夏バテ防止に飲まれていたのが甘酒です。
現在も俳句の夏の季語として使われています。
2種類ある甘酒
甘酒には米麹と酒粕の2種類があり、ノンアルコールの甘酒は米麹から作られています。
主な違いは次の3点です。
是非、違いを確認した上で、飲み比べてみませんか。
【蔵元こだわりの製造方法で造られた甘酒】【砂糖不使用】ノンアルコール
女性に人気。吟醸甘酒です。
1.作り方の違い
米麹の甘酒:米麹は、蒸したお米に麹菌を繁殖させたものです。
日本の伝統的な食文化に欠かせない甘酒・お酒・みりん・味噌などは米麹を発酵させて作ります。
酒粕の甘酒:酒粕は、米麹に酵母菌を加え発酵させて作ります。
麹菌と酵母菌の2つの発酵の力で、栄養価がとても高いといわれています。
2.飲める人の違い
米麹の甘酒:ノンアルコールのため、子どもから大人まで、誰でも飲むことができます。
酒粕の甘酒:酒粕は酒を作った時の副産物で、アルコールが含まれているため、飲めない人がいます。
3.栄養成分の違い
米麹の甘酒:米麹の発酵により、ビタミン類を作ります。
麹菌の発酵により、お米のデンプンをブドウ糖やオリゴ糖に変え、自然な甘みを作ります。
お米にはたんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルが含まれています。
酒粕の甘酒:お米のたんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの他にも、
発酵によりできたペプチドやアミノ酸、麹菌と酵母菌由来のβーグルカン、葉酸なども含まれています。
甘酒パワーで風邪予防
冬の風邪予防に役立つと言われる甘酒。
体に作用するメカニズムについて、調べてみました。
含まれる酵素は100種類以上
麹菌の力によってお米が甘くなるメカニズムは、麹菌が作り出す代表的な酵素、アミラーゼの働きによるものです。
ご飯を噛んでいると口の中で甘くなるのも、唾液中にアミラーゼが含まれるため。
麹菌が作り出す酵素は、タンパク質を分解する酵素だけでも100種類以上あります。
酵素が消化を助けてくれる
こうした酵素はさまざまな消化を助ける働きをします。
さらに、甘酒に含まれるブドウ糖には、即効性の高い疲労回復効果があり、近年「飲む点滴」と呼ばれるのはそのためです。
そのほか、オリゴ糖が腸内細菌の働きを活発にして免疫力を高め、病気になりづらい体質に改善する効果も期待されます。
他にもこんないいことが
酒粕甘酒の甘さはほとんどが砂糖によるものですが、
消化に耐えるレジスタントプロテインが豊富に含まれ、やはり腸内細菌の働きを活発にし、血中コレステロールを輩出する働きもあります。
レジスタントプロテインとは、胃腸で消化されにくい難消化性(=レジスタント)のたんぱく質(=プロテイン)のことです。
コレステロールや糖は腸で吸収されるのですが、
レジスタントプロテインは、コレステロールや糖が腸で吸収される前に結合して、そのまま体外へ排出させます。
糖分の吸収を抑えてくれるので食後の血糖値の急上昇を予防し、
食物繊維と同じような働きをするので大腸で腸内細菌のエサになったり脂質を排出したりと、腸内環境を整える効果が期待できます。
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出典
消化管で作用する疾病予防成分に関する栄養学的研究 日本栄養・食糧学会誌 第65巻 第6号253-260 加藤範久
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長