新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいますね。
みなさんはワクチン接種を受けているでしょうか?
既に受けた方、予約はしていてこれから受ける方、アレルギーや病気の関係で受けない方など、様々かと思います。
日本では現在、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社のワクチンが接種可能となっています。
ニュースなどでよく聞く名前かと思いますが、それぞれ何が違うのかご存知でしょうか?
そして、これらのワクチンは全て海外で開発されたものですが、日本ではワクチン開発していないのでしょうか?
ワクチン接種を既に受けた方も受けていない方も、この機会に新型コロナワクチンについて今一度確認してみましょう。
ファイザー/モデルナ/アストラゼネカのワクチンの違いは?
それでは、まずは世界のトップを走る3社についてみてみましょう。
ファイザー社、武田/モデルナ社、アストラゼネカ社を比較します。
(出典:「厚生労働省HP 新型コロナウイルスワクチンの接種体制・流通体制の構築について」を元に作成)
ファイザー
医療的な扱いにくさという面でいうと、3社の中で一番扱いにくいのは「ファイザー社」のワクチンです。
保管温度が-75℃と超低温のため、冷凍庫・冷蔵後・ドライアイス等が必要となります。
さらに、希釈といって、バイアルのワクチン液をそのままシリンジで吸って接種するのではなく、原液を希釈専用のうすめ液でうすめてからの接種になります。
この時点で、医療従事者はかなりの労力を使うこととなります。
ファイザーのワクチンは、自治体や医療機関における接種に使用されています。
モデルナ
保管温度は-20℃です。
ファイザーほどではありませんが低温なので、冷凍庫で保管する必要があります。
ただし、希釈をする必要はありません。
モデルナのワクチンは、職域接種や大規模接種に使用されています。
アストラゼネカ
3社の中で一番扱いやすそうなのは、「アストラゼネカ社」のワクチンです。
保管温度が2~8℃のため、冷蔵庫での取り扱いを検討出来ますし、接種する際に希釈をする必要もありません。
ただし、接種できるのは原則40歳以上の方となります。(特に必要がある場合は18歳以上の方)
アストラゼネカ社のワクチン接種を行う機会は限られているので、通常はファイザーかモデルナのどちらかを接種していただくこととしています。
ワクチンのタイプ
ワクチンには以下のような種類があります。
・不活化ワクチン
・組み換えタンパクワクチン
・ペプチドワクチン
・メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン
・DNAワクチン
・ウイルスベクターワクチン
不活化ワクチン、組み換えタンパクワクチン、ペプチドワクチンは、不活化した新型コロナウイルスの一部やウイルスの一部のタンパクを人体に投与して、それに対して免疫が出来る仕組みです。
一方、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝情報をそれぞれメッセンジャーRNA、DNAプラスミドとして、あるいは別の無害化したウイルス等に入れて、人に投与するものです。
それが、人の細胞に入り、ウイルスのタンパク質を作ることによってウイルスのタンパク質に対して免疫が出来る仕組みです。
ファイザー/モデルナはRNAワクチン、アストラゼネカはウイルスベクターワクチンという種類のワクチンになります。
現在、さまざまな種類の新型コロナワクチンが開発されていますが、どれも一長一短といった感じです。
ワクチン接種にお金はかかる?
日本では、無料で2回のワクチン接種が受けることができます。
順番待ちはありますが、無料で接種出来るのは安心ですよね。
では、なぜ無料で接種できるのでしょうか?
答えは、「ワクチンにかかるコストは、全て税金で賄われているから」です。
日本での調達コストは、国内での輸送費が追加され、冷凍庫やドライアイスなど備品のコストが追加されます。
冷凍庫は2種類10,500台が準備され、利用されるドライアイスも国が一括買い上げをして配布しています。
他にも、針とシリンジを国がメーカーから一括購入し、市町村に提供することになっています。
これらの他にも、ワクチンの製造費、人件費などが付加されると考えると、今回のワクチンは結構なコストがかかっているはずです。
ワクチンが無駄にならないように、出来るだけ接種したいですね。
日本のワクチンの開発状況
ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンは全て海外で開発されていますが、日本もワクチン開発に取り組んでいます。
日本のワクチンの開発状況は以下の図の通りです。
(出典:「厚生労働省HP 現在の国内でのワクチンの開発状況<主なもの>」を元に作成)
「VLP セラピューティクス」は、第II/Ⅲ相試験を2021年度内に開始、
「塩野義製薬感染研/UMNファーマ」、「第一三共東大医科研」、「KMバイオロジクス東大医科研/感染研/基盤研」は第Ⅲ相試験を2021 年内に開始の意向を示しています。
第Ⅲ相試験は、同意を得た多数の希望者で有効性を調べるものなので、かなりワクチン供給が身近に感じられますね。
ワクチンの副作用
英国公衆衛生サービスのHPには、コロナワクチンの副作用として以下のものが記載されています。
・注射した腕に痛みを伴う重い感覚と圧痛
・疲労感
・頭痛
・一般的な痛み、悪寒など(軽度のインフルエンザのような症状)
これらは、一般的な予防接種時の副作用と同様のもので、最初の接種後に症状が出たとしても、2回目の接種が必要となります。
ただし、例外として「ワクチンの最初の接種後にアナフィラキシーを経験した人は、2回目の接種を行わないでください。」と声明を出しています。
まとめ
コロナワクチンを開発している主な企業には、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカがあります。
それぞれ保管方法や希釈の有無が異なり、医療従事者の扱いやすさで言うと、
一番扱いやすいものはアストラゼネカ、反対に扱いにくいものはファイザーとなります。
コロナワクチンにはさまざまな種類があり、ファイザー/モデルナは「RNAワクチン」というタイプです。コロナウイルスのたんぱく質を合成したもので、ウイルス自体を原料としていないので安全だと言われています。
対して、アストラゼネカは「ウイルスベクターワクチン」というタイプ」になります。
ワクチンにかかるコストは全て税金で賄われているので、国民は2回のワクチン接種を無料で受けることができます。
ワクチンは海外企業が製造しているものを輸入していますが、日本でもワクチン開発に取り組んでいます。
第Ⅲ相試験を2021年内に行うワクチンもあり、試験が始まれば希望者はワクチン接種することができます。
(第Ⅲ相試験は、同意を得た多数の希望者で有効性を調べるもの)
ワクチン接種後の副反応には、注射した腕に痛みを伴う重い感覚と圧痛、疲労感、頭痛、一般的な痛み、悪寒など(軽度のインフルエンザのような症状)などがあります。
1回目のワクチン接種でこれらの症状が出たとしても、2回目の接種が必要となります。
ただし、アナフィラキシーの症状が出た場合は2回目の接種は行わないようにしましょう。
最後に
いかがだったでしょうか?
ワクチン接種を受ける予定のある方は、当日は万全の状態で臨むようにしましょう。
そして、ワクチン接種をしたとしても油断は禁物です。
日々の体調管理、感染予防対策はしっかりと行うようにしましょう。
出典
厚生労働省 第42回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 、第25回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 資料
第17回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 新型コロナワクチン実用化に向けた取り組みについて
BMJ Reserving coronavirus disease 2019 vaccines for global access:
cross sectional analysis Anthony D So,1,2 Joshua Woo2
BMJ 2020;371:m4750 | doi: 10.1136/bmj.m4750
厚生労働省HP 新型コロナウイルス感染症のワクチンの詳細について
Public Health England Guidance What to expect after your COVID-19 vaccination