糖尿病患者

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    糖尿病と新たに診断されると「糖尿病は治らない」「糖尿病の人は長生きできない」

    「糖尿病になったら人生終わり」と思って落ち込んでしまう方が多いです。

     

    実は、それは間違いです。

     

    実際に、糖尿病になっても長生きしたり、人生を明るく楽しく生きている方はたくさんいます。

     

    今回は、糖尿病と診断されて絶望している方に向けて、糖尿病は完治できる病気なのか、

    そもそも糖尿病ではどんな治療をするのかと、糖尿病を放置することによるリスクについて簡単に説明します。

     

    また、糖尿病になると人生はどう変わるのか、またどんなことに気をつければ良いかについてもわかりやすく解説します。

     

    最後に、糖尿病でも長生きできるのかについて解説します。

     

    糖尿病に対する正しい知識を身につけることで、糖尿病に対する恐れを取り除き、毎日を明るく楽しく送ることができます。

    前向きに治療に取り組むことによって、普通の方と同じ健康寿命を獲得しましょう。

     

    監修者情報

    佐藤祐造 []

    名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

    内科医、医学博士。名古屋大学大学院医学研究科修了。専門は内科・糖尿病学・スポーツ医学など。日本糖尿病学会理事、日本臨床スポーツ医学会会長、日本肥満学会会長などを歴任。著書に『糖尿病教室』(新興医学出版)ほか。

     

    糖尿病は完治できる病気なのか?

     

    「糖尿病は、一度なったら一生治らないのか?」と悲観的になる方も少なくありません。

    これは、正しいとも正しくないとも言えます。

     

    糖尿病は、何らかの原因によってインスリン(血糖値を下げるホルモン)の量や働きが不足することによって、血糖値が高くなる病気です。

    インスリンの働きが不足する理由によって、1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。

    いずれのタイプの糖尿病も、治療によって、インスリンの量や働きを正常に戻すことはできません。

    そういう意味では「治らない」といえます。

    一方、血糖値を下げて健康な人と同じ状態にすることは十分可能です。

     

    1型糖尿病は、インスリンを作ることができない

     

    1型糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞に対する自己抗体ができる病気です。

     

    β細胞はインスリンを合成分泌する細胞であり、それを自分自身で壊してしまうことで血糖値が高くなってしまいます。

    インスリンが作られないため、インスリンの自己注射が必須となります。

     

    生まれつきの病気ではなく、家族内での遺伝もまれとされています。

     特に比較的年齢が若く(おおむね45歳以下)発症した糖尿病の場合は、1型糖尿病の可能性を考えます。

     

    2型糖尿病は、インスリンが効きにくくなる

     

    2型糖尿病は、一般的に生活習慣病と呼ばれるタイプの糖尿病です。

     

    生まれつきインスリン分泌が低下している体質に加え、暴飲・暴食・ストレスや夜ふかしなどの生活習慣の悪化による

    インスリン抵抗性(インスリンの効きにくい状態)によって、血糖値が上昇します。

     

    インスリンの分泌量は加齢によっても低下するので、歳をとると糖尿病になりやすくなります。

     

     

     

     

    糖尿病にはどんな治療法があるの?

     

    2型糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法です。

    必要に応じて薬物療法(飲み薬、注射)を追加していきます。

    現在、糖尿病の治療薬は日進月歩で進化していますが、治療の基本が食事・運動療法であることには変わりありません。

    一方、1型糖尿病の治療法は原則としてインスリン注射です。

     

    食事療法

     

    2型糖尿病の場合は、食事運動療法が治療の基本となります。

     

    ちなみに、1型糖尿病の場合は2型糖尿病と比べそこまで厳密な食事制限は必要ありませんが、

    合併症予防のためにも体重をコントロールすることは重要です。

     

    またインスリン注射を行うため、低血糖の防止は必要です。

    食品のカロリーや糖質(炭水化物)の量などの基本的な知識を身につけておきましょう。

     

    薬物療法

     

    糖尿病の薬物療法には、飲み薬(内服薬)による治療と注射による治療があります。

     

    どちらを優先させるかは、1型糖尿病と2型糖尿病によって違いがあります。

     

    1型糖尿病の場合、インスリンを合成・分泌する膵ランゲルハンス島β細胞が壊れているため、最初からインスリン注射の適応となります。

     

    2型糖尿病の場合、特に初期の段階で発見された場合は、

    食事や運動などを含めた生活習慣の改善でインスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールが良くなる可能性があります。

    したがって、2型糖尿病の場合は適切な食事・運動療法を行うよう指導します。

    2,3か月続けても、なお、目標の血糖コントロールを達成できない場合には、内服薬を開始します。

    血糖コントロールがどうしてもつかない場合、また病状が進行してインスリン分泌が枯渇し、

    またインスリン抵抗性が高くなった段階で、注射(インスリン)に移行することが大半です。

     

    現在ではインスリン以外の治療薬でも注射薬が出始めており、状況によって使いわけられます。

     

    運動療法

     

    運動には、血糖コントロールを改善させる効果があります。

     

    「運動するのにまとまった時間が取れない」という方も多いですが、

    日常生活で体を動かす量を増やすだけでも、長期間続ければ血糖値が下がることがわかっています。

    まずは、できるだけエレベーターやエスカレーターに乗らずできるだけ階段を使う、

    通勤の際には一駅前で降りて歩くなど、できることから始めていきましょう。

     

     

    糖尿病を放置することは、どんなリスクがあるのか?

     

    糖尿病を放置することによるリスクは、血糖値が上がることそのものによるリスクと、

    高血糖が続くことによって血管が傷つき合併症が起こるリスクに分けられます。

     

    急激に血糖値が上がるとどうなるか

     

    急激に血糖値が上がると、意識障害から昏睡に至ります。

    これを糖尿病性昏睡といい、一刻を争う状態です。緊急での治療が必要となりますので、直ちに病院を受診しましょう。

     

    糖尿病の3大合併症について知る

     

    糖尿病の3大合併症とは、網膜症・腎症・神経障害のことです。

    これらの合併症は、糖尿病によって、目に見えないほどの細かい血管(微小血管:びしょうけっかん)が傷むことによって起こります。

     

    糖尿病網膜症は、眼の網膜にある血管が詰まることで、失明に至る病気です。

     

    糖尿病性腎症は、腎臓の微小血管の障害により腎臓が働かなくなり、放置すると人工透析が必要となる病気です。

    透析患者さんは動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞などの発症率も高いことが知られています。

     

    糖尿病性神経障害は、末梢神経が高血糖で障害されることにより、主に手足の痺れ感を訴えるものです。

    裸足の時でもソックスを1枚履いているような、感じ方の違和感を訴える方が多いです。

    罹患歴の長い糖尿病患者さんには見られることが多いです。

     

    心筋梗塞や脳卒中の原因となる大血管の動脈硬化

     

    上に挙げた3大合併症と同様に恐ろしいのが、大血管障害です。

    大血管障害とは、目に見えるサイズの大きな血管(大動脈、冠動脈、内頸動脈など)の動脈硬化のことです。

     

    大血管障害によって、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気にかかる確率が飛躍的に上昇します。

    また、足の血管が詰まることにより、下肢切断に至ることがあります。

     

    糖尿病によってリスクが上がるそのほかの病気

     

    糖尿病は、上に挙げた主な合併症以外にも、さまざまな病気のリスクを上げることが知られています。

    まず第一に、細菌感染に対する抵抗力を下げることが知られています。

     

    そのほか、膵臓がんや肝臓がんなどの悪性腫瘍、歯周病などの歯周疾患、骨折や認知機能障害など、

    さまざまな病気にかかるリスクが高くなります。

     

     

    糖尿病になって、今後の人生にどんな変化があるか?

     

    糖尿病と診断されると、今後の人生にどんな変化があるかを心配する方も多くおられます。

     

    実は、あまり大きな変化はありません。もちろん食事に気をつけるとか、

    飲み薬(もしくは注射)を一生使わないなければならないということはありますが、

    大抵の場合は入院も不要ですし、特別な生活上の配慮は要りません。

     

    糖尿病になったからといって、人生終わりではない

     

    ネットなどには「糖尿病になったら人生終わり」などと根拠のないことがたくさん書かれていますが、

    そんなことはありません。

     

    確かに、食べたいものを食べたいだけ食べるといった暴飲暴食をすることは明らかに寿命を縮めますが、

    それは糖尿病の方に限った話ではありません。

     

    むしろ、糖尿病になったことをきっかけとして良い生活習慣を身につけることができれば、高血圧や脂質異常症など、

    そのほかの生活習慣病のリスクも減りますし、

    食事や運動に気を配ることによって、健康的なダイエットが可能です。

     

    どんなことに気をつければ良いか?

     

    糖尿病患者さんに気をつけていただきたいことの一つは、医師の指示を守るということです。

     

    血糖値がかなり上がらないと自覚症状が出ないこともあり、薬をきちんと飲まなかったり、

    ひどい方ですと通院自体をやめてしまうこともあります。

     

    最初に述べた通り、血糖値が高くなりやすい体質自体は変えられないので、

    治療を中断している間にも血糖値はどんどん上がり、血管への悪影響も進んでいくのです。

     

    薬の飲み方を間違えると低血糖になったりすることもあるので、医師の指示はきちんと守りましょう。

     

    もう一つは、低血糖への対処を覚えておくことです。

    血糖が下がりすぎるとぼーっとしたり、冷汗、めまいや吐き気、痺れ感、ひどい場合は意識消失を起こすことがあります。

    特に1型糖尿病の方、そして2型糖尿病の方でも薬物療法を受けている方は、

    主治医の先生に低血糖時の対処法を確認しておきましょう。

     

     

    糖尿病になっても長生きは出来るのか?

     

    糖尿病になっても、血糖コントロールをしっかり行えば、元気で長生きすることは十分可能です。

     

    そもそも糖尿病患者さんがどうして長生きできないのか、

    といえば、血糖値が高い状態を長年続けたことによって血管の傷害が進み、3大合併症や大血管障害を引き起こすからです。

    適切な治療をきちんと受け、食事や運動などに気をつけた生活を送ることで、早死にするリスクは極限まで下げることが可能です。

     

     

     

     

    まとめ

     

    以上、糖尿病についてわかりやすくまとめました。

    糖尿病は、本当の意味での完治は難しい病気ですが、

    血糖値をしっかりコントロールすることにより、健やかに暮らすことが可能です。

     

    放置すれば3大合併症や大血管の動脈硬化により、死にいたる可能性もあります。

    「健診で糖尿病の気があると言われた」「血のつながった家族に糖尿病の人が多い」など、

    気になることがあれば、早めに専門医を受診して適切な検査と治療を受けましょう。

     

    参考

    糖尿病ネットワーク Q.47 いったん糖尿病になったら一生治らないということでしょうか?

    一般社団法人日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019

    一般社団法人日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019 2糖尿病治療の目標と指針

    一般社団法人日本内分泌学会 2型糖尿病

    今日の臨床サポート 1型糖尿病

    今日の臨床サポート 2型糖尿病

    糖尿病性昏睡

    認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク 1型糖尿病とは