大きな病気が隠れているかも…歩行時の足の痛みやしびれ意外な原因

足の痛み

歩いているうちに、足(下肢)に痛みやしびれを感じ、

歩くのがつらくなってしまう…。

このような症状に悩む人が増えています。

 

足の老化現象でしょうか?

いいえ、実は腰椎の病気や動脈硬化が原因です。

放っておくと悪化する一方ですが、適切に治療すれば改善します!

 

監修者情報

佐藤祐造

名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

足の痛みやしびれで長時間歩けない「間欠跛行(かんけつはこう)」とは

 

歩き始めは何ともないのに、しばらくすると足(下肢)が張ってきたり、

痛みやしびれがあらわれたりして、歩けなくなりますが、

少し休むと楽になり、また歩けるようになる。

これを繰り返す症状を、「間欠跛行(かんけつはこう)」といいます。

 

 「間欠」とは、一定時間ごとに繰り返されるという意味です。

 

高齢の人によくみられることから、

足の老化現象だと誤解されやすいのですが、

間欠跛行は病気の症状の1つです。

 

間欠跛行とは

 

原因は、腰椎(背骨の腰の部分)の神経が圧迫される

「腰部脊柱管狭窄症」や、

下肢の血管の動脈硬化による「閉塞性動脈硬化症」など。

 

腰部脊柱管狭窄症が原因の場合は、

悪化すると排尿障害や排便障害、性機能障害が出現することもあります。

 

閉塞性動脈硬化症が原因の場合は、

脳梗塞や心筋梗塞に発展することもあるため、

早期の診断と治療が求められます。

 

間欠跛行の原因疾患、代表的なものは3つ

 

1つ目の「腰部脊柱管狭窄症」は、

腰椎(背骨の腰の部分)の神経が圧迫される病気で、

高齢者に多くみられます。

 

脳から伸びている神経は、

背骨の脊柱管という管のなかを通り、枝分かれしながら全身に分布します。

 

脊柱管は年をとるにつれ変性し、狭くなっていきます。

特に腰の部分は狭くなりやすく、

そのために脊柱管のなかを通る神経が圧迫されると、

腰、おしり、下肢の後ろ側や外側に、痛みやしびれが出現します(坐骨神経痛)。

 

腰部脊柱管狭窄症の大きな特徴は、

腰をそらすと痛みやしびれが強くなること。

 

腰をそらすことによって、腰部の脊柱管がいっそう狭くなるからです。

 

腰をそらすと痛みやしびれが増し、

少し前かがみになると楽になるという場合は、

腰部脊柱管狭窄症が強く疑われます。

 

2つ目の「閉塞性動脈硬化症」は、

動脈硬化のために足の血管が狭くなる病気です。

 

筋肉は、動かすと酸素をたくさん必要としますが(有酸素運動)、

動脈硬化があると十分な量の酸素が供給されません。

そのため、筋肉が酸欠になって痛むのです。

 

歩くのをやめて休むと、筋肉の酸欠が改善して痛みが治まります。

 

閉塞性動脈硬化症があるということは、

全身の動脈硬化が進んでいるということ。

脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高い状態なので危険です。

間欠跛行に加えて、足の冷感などもみられます。

 

3つ目は、脊髄の血管の奇形や、

肥満のために脊髄を包む膜の外側に脂肪がたくさん付き、

脊髄を圧迫する「硬膜外脂肪増殖症」です。

 

腰部脊柱管狭窄症閉塞性動脈硬化症は、

最近とくに増えています。

原因疾患によって治療法が異なるので、まずは正しい診断が必要です。

 

さらに悪化する前に、適切な治療を!

 

腰部脊柱管狭窄症は、

まず腰痛や坐骨神経痛といった症状があらわれます。

 

神経の圧迫が進むと間欠跛行が出現し、

やがて排尿障害、排便障害、性機能障害もみられるようになります。

 

治療は、姿勢の工夫や、日常生活の工夫温熱療法

装具療法(腰痛バンド)運動療法痛み止めの薬

神経ブロック療法などですが、排尿障害などがある場合や、

前述の治療法を3カ月以上試しても症状が改善しない場合は、

神経の圧迫を取り除く手術を行います。

 

閉塞性動脈硬化症は、

動脈硬化の治療をきちんと行うことが何よりも大切です。

 

動脈硬化の原因の多くは、食べすぎと運動不足ですので、

治療の中心は食事や運動、禁煙といった生活習慣の改善になります。

 

そのうえで、脂質異常症(※)、高血圧、糖尿病などに対する

薬物療法を行う場合もあります。

 

脊髄の血管の奇形に対しては、カテーテル治療や外科治療、

硬膜外脂肪蓄積症に対しては、脂肪を取り除く外科治療が行われます。

 

間欠跛行の原因と治療法

 

間欠跛行は、原因疾患をきちんと治療すればほとんどが治ります。

もしや……と思ったら、早めに整形外科か内科を受診しましょう。

 

※高中性脂肪血症、高LDL━コレステロール血症、低HDL━コレステロール血症、

Non-HDLコレステロール血症のいずれか1つでもあれば、脂質異常症です。

 

 

取材・文:NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部

医療ライター/看護師  天野 敦子

 

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