あなたの子供は運動神経がいいですか?
「親の自分は運動が苦手だし、自分の子供だから運動が得意になるはずがない」
もしこうやって考えているなら、それは大きな間違いです。
運動神経は、努力次第で想像以上に以上に伸ばすことができるのです。
特に小学生までの子供は、基本的な運動能力が伸びやすい時期なので、運動神経を良くするには絶好のタイミングです。
運動神経は、遊びやスポーツをすることでどんどん伸びていきます。
どれだけ運動をしたか、それが最も重要なポイントになるのです。
今回は、運動神経の良さを決定づける要因と、運動神経の良い子供の特徴、
運動習慣を身につけ、運動能力を伸ばす方法について紹介します。
運動神経とは何か?
普段何気なく使っている「運動神経」という言葉ですが、これはいったい何でしょうか?
運動神経の意味と、調査によって判明した、運動神経と学力との関係について解説します。
運動神経が良いとはどういうことか
生物学的に運動神経とは、体や内蔵の筋肉の動きを司令するために信号を伝える神経の総称を指します。
運動神経は、スポーツに使われるだけでなく、立ったり・座ったりなどといった基本動作や、
心臓の拍動・呼吸などの内蔵の動きにも使われています。
つまり、運動神経とは生まれつき誰もが持っている神経であり、本来この神経に良いも悪いも無いのです。
しかし、一般的に「運動神経が良い」と言う場合、足が早かったり、スポーツが上手かったりすること、
すなわち運動能力が高いことを指します。
運動能力は、運動をすることでどんどん伸ばすことが可能です。
つまり、こちらの意味での運動神経は、生まれつきのものではなく、後天的に伸ばすことが可能です。
本記事でも、運動神経=運動能力、という意味で解説を行っていきます。
運動神経と学力の関係
運動神経の良さと、頭の良さには相関関係があるという、カリフォルニア州での調査結果があります。
この調査によると、運動能力が優れた子供は学力テストも同様に良い、という結果が出ています。
出典:2004年のテスト結果を用いたカリフォルニア州における体力と学業成績の関係の調査.docより作成
上の図は、5年生が約37万名、7年生が約37万名、9年生が約30万名という、膨大な人数のデータから作成しています。
これによると、体力テストのスコアと算数のスコアには正の相関があるといえます。
この結果は、運動による刺激や体力向上が、
記憶力・認知力・論理的思考力の向上や、集中力と関係があることを示唆しています。
運動神経を伸ばすことが、勉強のできる子供を育てることに、繋がるといえるのです。
運動神経の良さは、どんな要因で決まるのか
運動神経は、様々な要素で変化します。
ここでは、代表的な2つの要素について解説します。
親の運動神経の影響
運動神経は、66%が遺伝で決まると言われています。
この66%という値は、同じ環境でトレーニングを積んできた人を比較した場合に、
どれだけ遺伝の影響があるかを示す値になります。
幼少期から全く運動してこなかった二人を比較した場合や、幼少期から同じ環境で努力し合っていた二人を比較した場合には、
遺伝の影響が強く現れ、それによって実力差が生まれることは大いにあります。
しかし、運動をしてきた子供と全くしてこなかった子供のように「全く別の環境にいた二人」を比較した場合では、
この66%という値に殆ど意味はありません。
遺伝子的にどんなに優れた子供でも、全く運動をしていなければ、運動が苦手になることもありますし、
逆にどんな子供でも、きちんと運動さえしていれば、どんどん運動神経は向上していくのです。
そのため、「自分の子供だから運動できないだろう」とは考えずに、運動習慣を身に着けさせることが、
運動神経を良くする上で一番大切なことになります。
小さい頃の運動が特に大切
下の図のように、各身体機能の発達時期は異なっています。
出典:宮下充正、他編:子どものスポーツ医学 1987-1988 より作成
このように、脳と神経系の発達は8歳でピークを迎え、それから徐々に下がっていきます。
そのため、様々な基本動作を小学生までに沢山経験していくと良いです。
具体的には、走る、泳ぐ、登り棒を登る、跳ぶ、着地する、かわす、投げる、捕る、打つ、蹴る、
平行棒を渡る、自転車に乗るなどのような動作を積極的に行いましょう。
これによって、身体を思い通りに動かす能力が養われていきます。
出典:運動神経は遺伝するの?運動能力を伸ばす基本動作24を元五輪トレーナーに聞く|みらのび
運動神経が良い子供の特徴
運動神経が良い子供は、コーディネーション能力が高いです。
コーディネーション能力とは、自分の身体を巧みに動かす能力のことを指します。
これには7つの能力があり、それぞれの能力は、以下のようになっています。
- 定位能力…自分と相手の位置関係を把握する能力
- 反応能力…刺激に対して素早く反応する能力
- 連結能力…身体全体をスムーズに動かし、連続した複数の動作を行う能力
- 識別能力…バットやグローブなどの用具を上手に扱う能力
- リズム能力…タイミングをつかんだり、動きを真似したりする能力
- バランス能力…体勢を保ったり、崩れた体勢を立て直したりする能力
- 変換能力…状況に合わせて素早く動作を切り替える能力
私達は、一つの遊びの中でもこれらの能力を組み合わせて行っており、
運動神経の高い子供は、これらの能力が優れているのです。
運動習慣を身につけ、運動神経を伸ばす方法
先に紹介したように、運動神経を良くするためには、小学生までによく運動することで、
基本的な能力を向上させることが非常に重要です。
運動といっても、楽しく遊べば、それだけで十分です。
なぜなら、遊ぶ中で様々な動きを経験すればするほど、神経系は刺激され、運動神経は良くなっていくからです。
ここでは、子供が楽しく運動する方法を3つ紹介します。
親も本気で楽しむ
親が一緒になって遊ぶ際には、本気で楽しむことが大切です。
子供は親をよく見ているので、親がつまらなそうにやっていたら、子供もつまらなくなってしまいます。
親がお手本として本気で楽しむことで、子供も楽しく遊ぶことが出来ます。
また、子供が嫌がっている時は強制してはいけません。
無理矢理やらせることは、運動に対する負の感情を植え付けることになってしまい、逆効果になってしまいます。
子供が自分から「楽しそう」「やりたい」と思える、そんな環境を作っていくことが大切になりますね。
習い事
習い事は、友達ができやすく、楽しくスポーツすることができるという点や、
定期的に運動する機会ができるという点で、運動習慣を身につけるのに非常に良いものになります。
スイミング、空手、サッカー、ダンスなどが人気の習い事のようですが、
一番良いのは、子供が興味を持ったもの、好きなものをやらせてあげることです。
充分な運動をすることが大切なので、どんな運動をするかよりも、長く続けられるかどうかが大事になります。
子供が楽しいと思えることは、自然と長く続けられるので、子供の好きを最優先にしましょう。
楽しめる遊具を使う
子供は楽しいことには積極的になれます。
近年では、非常に沢山の遊具が存在し、簡単に購入できるようになっています。
その中でも、特におすすめの遊具を2つ紹介します。
こちらは、川の中にある石を飛び移っていく遊びをイメージした遊具です。
バランス感覚 、 柔軟性 、 体幹 、距離感、 脚力 を総合的に養える効果が期待できます。
ぐらつく石を再現した、「沈み込む」パーツによって、注意力や観察力も鍛えることができます。
こちらは、バランスボールにホッピングがついた遊具です。
バランス感覚が鍛えられ、基本的な運動能力が身につきます。
対象年齢は6~70歳と幅広く、大人でも楽しむことができます。
子供の運動不足が解消された、ダイエット器具として使っているなどと好評です。
まとめ
運動神経は、遺伝的な影響もありますが、後天的な努力によって向上させることが可能です。
特に、子供の頃に運動することによって、自分の身体を思い通りに動かす能力を高めることが大切になります。
運動しない子供が、運動習慣を身につけるには、楽しんで遊ぶことが一番重要です。
親が一緒になって遊んだり、習い事をしたり、楽しめる遊具を使うことなどが効果的です。
子供の健康や、学力向上のためにも、運動が好きになる環境づくりから考えていきましょう。
【出典】
2004年のテスト結果を用いたカリフォルニア州における体力と学業成績の関係の調査.doc
宮下充正、他編:子どものスポーツ医学 1987-1988
運動神経は遺伝するの?運動能力を伸ばす基本動作24を元五輪トレーナーに聞く|みらのび
ヘルスライフと目指す未来。
小さなことを少しずつ。
よい生活習慣を身につけることが健康への第一歩。