旬の食材「カリフラワー」 ブロッコリーとの違いは?

市場のカリフラワー

 

今回は、ほのかな甘みとほろ苦さ、独特の食感が魅力の淡色野菜「カリフラワー」のご紹介です。

最近では、形がうず巻になっている「ロマネスコ」という品種が人気となっています。

 

監修者情報

佐藤祐造

名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

 

 

ブロッコリーの突然変異?

 

ロマネスコ

 

カリフラワーは、キャベツやブロッコリーと同様、

野生種のケールから分化し「ブロッコリーが突然変異で白くなった」と言われているように、

同じキャベツ類の中でとても近い間柄にあるため、以前は特に区分されていませんでした。

 

食用とするのは、茎の先にある花蕾と呼ばれる部分で、これは、蕾(つぼみ)が発達せずに肥大して花球となったものです。

カリフラワーという名前には、「キャベツの花」の意味があります。

 

 

ブロッコリーとの確執

 

カリフラワーの原産地は、地中海沿岸の温暖地とされています。

我が国へは明治初期に渡来しましたが、当時はあまり普及しなかったようです。

 

その後、大正から昭和にかけて我が国独自の品種改良が進められたものの、栽培も需要も、めざましい進展はみられませんでした。

戦後になって、生野菜サラダが普及するとともにカリフラワーの大衆化がすすみ、昭和30年代後半になってようやく需要が高まってきました。

 

しかし、昭和50年以降にブロッコリーが急速に普及する一方で、

カリフラワーの生産量は減少に転じ、平成に入るとブロッコリーにその座を抜かれてしまいました。

 

 

カリフラワーの旬

 

通年流通していますが、本来は冬の野菜で、旬は11~3月といわれています。

主要産地は福岡県や茨城県、千葉県などで、流通の大半をホワイトカリフラワーが占めています。

 

 

カリフラワーの栄養と機能性

 

カリフラワーで特徴的な点は、加熱してもビタミンCが失われにくいということです。

 

豊富に含まれるビタミンCは、有害な活性酸素から細胞を守り、病気にかかりにくい丈夫なからだづくりに役立ちます。

また、皮膚や軟骨などを構成するコラーゲンの合成に不可欠なビタミンであるため、皮膚や骨の健康維持に欠かせません。

 

そのほか、ビタミンB12とともに新しい赤血球の生成に必要であり、

細胞を新生する際に重要な役割を担う葉酸、ケガや内出血を起こした時に止血する働きがあり、

丈夫な骨づくりにも関与しているビタミンKなども豊富に含まれています。

 

 

 

抗がん作用が期待できるカリフラワーの“グルコシノレート”

 

カリフラワーやブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科の野菜には、

グルコシノレートという成分が共通して含まれています。

 

このグルコシノレートは、刻んだり、そしゃくして組織を傷つけることにより、

もともと組織内に存在していた酵素ミロシナーゼと反応して分解されると、刺激性の辛み物質が生成されます。

 

グルコシノレートは、肝臓の解毒作用を強化することで有害物質を分解する働きがあるほか、

がん細胞の成長を抑制する働きがあるため、強い抗がん作用が期待されています。

 

 

おいしく召し上がるには

 

アクが強いので、下ゆでしてから調理しましょう。

その際、たっぷりの湯に小麦粉を加えると、沸点が上がって早くゆで上がります。

 

また、白色種は酢またはレモン汁を加えてゆでると、真っ白に仕上がります。

ゆで上がったら、水っぽくならないよう、ざるに広げて冷ましましょう。

 

カリフラワーはビタミンCを多く含んでいますが、葉物野菜よりも一度に摂取できる量が多く、

さらに加熱した際のビタミンC減少量が少ないので、ビタミンC供給源として活用したい野菜です。

 

サラダやピクルス、炒め物に用いてポリポリとした食感を楽しむほか、

グラタンやクリーム煮に加えてほのかな甘みを味わいましょう。

 

おいしいカリフラワーの選び方

 

カリフラワーの花蕾は、収穫後も発育します。

貯蔵日数が増加すると、過熟となってだんだんすき間ができ、色も褐色に変色しやすくなります。

また、蒸散作用も行われるため水分が減り、花蕾重量も減少していきます。

そのため、花蕾がかたくしまり、全体的にずっしりとした重みがあるもの、色は変色がなく、純白なものを選びましょう。

 

おいしいカリフラワー

 

 

保存方法

 

20度以上のところでは、花蕾が開いてしまうため、ラップで包むかポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存しましょう。

すぐに使いきれない場合や鮮度が劣るものは、固めにゆでてから冷蔵庫で保存します。

また、冷凍保存する際は、小房に分けて固めにゆで、水気をよく切り冷ましてから、密閉袋などに入れて保存しましょう。

 

カリフラワーは、スープの具材に用いたい野菜のひとつです。

寒い冬には、ホワイトクリームとの相性も良いので、シチューやグラタンもおすすめです。

カリフラワー特有の風味や歯ごたえを、たっぷりと楽しみましょう。

 

カリフラワーの料理

 

 

出典

独立行政法人農畜産業振興機構 今月の野菜 カリフラワー

北陸農政局 今月の園芸特産作物 9月 カリフラワー

 

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