お酒をたくさん飲む方、ご飯を食べすぎてしまう方、大事な臓器「肝臓」のことを労わってあげていますか?
今回は、影で頑張って働いている消化器「肝臓」の役割についてお話します。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
肝臓は【巨大な化学工場】
肝臓は、臓器の中でもっとも大きく、重さは成人の場合1~1.5㎏程度あります。
人体模型図。中央濃い部分が肝臓です。
主な働きは、代謝、解毒、胆汁の生成・分泌、さらに細かくみると約500種類。
例えるなら、大きな化学工場です。
この化学工場(肝臓)のおかげで、私たちは体に悪いものを排除したり、食べ物の栄養素を使える形にして貯めておき、必要な時に使うことができます。
働き者で我慢強い【沈黙の臓器】
肝臓は、多少の事では無症状で働き続ける為、気づいた時には大変な状態になっている事も!?
肝臓は予備力を持ち、正常な肝臓の場合、手術で70%程度切除しても正常に働きます。
そのため、少しの事では泣き言を言わずに(無症状で)働き続けるので、症状がでる頃には深刻な病状であることも多いのです。
無症状のうちに早めの対処を
肝臓病の原因の多くは、肝炎ウイルスによるものですが、最近では生活習慣により起こる脂肪肝も増えています。
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が異常に蓄積した状態です。
「アルコールの飲みすぎが原因でしょ。私はお酒飲まないから大丈夫。」と思っているあなた。
実は脂肪肝には飲酒習慣がなくても、エネルギーの取りすぎでおこるNASH(ナッシュ/非アルコール性脂肪性肝炎)という病気もあるのです。
また、症状がないからと放っておいたら、肝臓の機能を果たせなくなった状態(肝硬変)に移行してしまうこともあります。
頑張り者の肝臓を大切に
暴飲暴食を控えるだけでもオーバーワークが減り、肝臓の本来の機能を取り戻せます。
お酒の適量は1日平均純アルコールで約20g程度。純アルコール量は摂取量(ml) × 度数または % / 100 × 0.8(比重)で求められます。
例: ビール500ml(5%)の場合 20(g)=500(ml) × 0.05 × 0.8
食べ過ぎてしまう人は、食べる量を減らすのではなくエネルギ―摂取量を減らすことを目指してみてください。
具体的には、炭水化物やタンパク質ばかりではなく野菜、海藻類、こんにゃく類などを意識して取りましょう。
あなたの大事な肝臓が健康的に働ける環境を整えて、毎日を元気に過ごしましょう。
出典
矢沢サイエンスオフィス『人体のふしぎ』Gakken/健康おきなわ21