新型コロナウイルスへの心配が尽きません。
感染した場合の主な症状は、咳や呼吸のしにくさ、倦怠感などが明らかになってきていますが、「下痢」はどうでしょうか。
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
新型コロナウイルス感染者は下痢になる?
2020年6月に発表されたアメリカの論文では、新型コロナウイルス感染者4805人のうち、下痢が出現していたのは7.4%、嘔吐・吐き気が出現していたのは4.6%でした。
別の研究でも下痢の出現はコロナウイルス感染者の10%程度とされており、頻度は高くないようにも感じられます。
新型コロナウイルス感染者になぜ下痢が起こるのかというメカニズムははっきりとわかっていませんが、ウイルス感染によって腸の細胞の吸収不良を引き起こす可能性が考えられています。
新型コロナウイルスは、体内のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)という酵素と結合して悪さをします。
このアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、腸内の微生物の働きを促進する役割があります。
ウイルスの活動によって酵素の働きに異常が起き、腸の炎症や下痢が引き起こされる可能性が指摘されています。
またアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、結腸、睾丸に存在しています。
下痢と同様に、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)が存在する臓器に障害が生じる可能性も考えられています。
下痢にもウイルスが含まれている?
アメリカの研究では感染者のうち約41%の便から、新型コロナウイルスが検出されていたこともわかりました。
感染者の便中の新型コロナウイルスは、長い人では18日間続けて検出されていたこともわかっています。
感染すると下痢をもたらすウイルスには、ノロウイルスやロタウイルスがあります。
新型コロナウイルスもこれらと同様に、排泄物から経口感染(※)する可能性があることも示唆されています。
※経口感染 排泄物などに触れた手で物を食べる、汚染された物が口に入るなど、口からウイルスに感染してしまうこと
現在、新型コロナウイルスは飛沫感染が主とされているため、暑い中みんなでマスクを着けて感染を予防していますよね。
もしかすると、今後はそれだけでは不十分という研究が出てくるかもしれません。
今後は外出先でのトイレに気を付けることも必要になってくるかもしれません。
これはそのままトイレに流せるので、ゴミ箱を触る必要がなくて衛生的です。
今よりもしっかりと感染対策をするには?
現在個人で行っている感染予防に加えてできることは、今よりもしっかりと手洗いを行うことだと考えます。
手に付着しているウイルスを減らす最も効果的な方法は手洗いです。
こちらに正しい手洗いの方法がわかりやすく紹介されています。
普段はあまり意識していない、親指の付け根や手首までしっかり洗うようにします。
こちらは薬用せっけんミューズが手をかざすだけで、自動で出てくるタイプとなっています。
ポンプを押さなくていいので衛生的でとても便利です。
濡れた手でポンプを押すと、ボトル周りが水浸しになっていませんか?あのストレスから解消されるのでとても嬉しいです。
この快適さが話題となり、店舗では実物を見かけることが少なくなってきました。
詰め替え用ボトルもぜひストックしておきたいですね。
さらに、外出後の手洗いだけでなく、以下のような場合にも石鹸できちんと手を洗いましょう。
▼調理を行う前(特に飲食業を行っている場合は食事を提供する前も)
▼トイレに行ったあと
▼汚物処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)
加えて、
▼爪は常に短く切っておく
▼手を洗う際には指輪を外す
▼すすぎは温水による流水で十分に行う
▼清潔なタオル又はペーパータオルで拭く
ことを心がけます。
石鹸自体だけではウイルスを無効化できませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手や指先から剥がれやすくする効果があります。
なお、消毒用エタノールによる手指消毒は、石鹸と流水を用いた手洗いの代用にはならないと言われています。
すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合、あくまで一般的な感染症対策の観点から手洗いの補助として用いるようにしてください。
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出典
Prevalence of Gastrointestinal Symptoms and Fecal Viral Shedding in Patients With Coronavirus Disease 2019 A Systematic Review and Meta-analysis
Diarrhea During COVID-19 Infection: Pathogenesis, Epidemiology, Prevention, and Management