「食後、ひどい眠気やだるさに襲われる…」
「仕事中、ついウトウトしてしまう…」
このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?
実は、食後の強い眠気の原因には、糖尿病等の病気が関わっている可能性があります。
本記事では、そんな食後に起こる眠気の原因や対策方法について詳しく解説します。
「食後に眠くなるのは仕方がないことだし…」と諦めているそこのあなた!
今すぐに実践できる対策を試して、食後もすっきりとした状態で過ごしましょう!
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
食後に眠くなる原因とは?
まずは、食後に眠たくなってしまう原因について見ていきましょう。
考えられる原因としては大きく分けて3つあります。
本章ではまず、「過血糖(高血糖)」、「血糖値スパイク」について見ていきます。
過血糖(高血糖)
まず考えられるのは、糖質の摂りすぎや一気食い等の食べ過ぎによる「過血糖(高血糖)」です。
健康だと思っている人でも、一度に大量の糖質を摂取してしまうと、
体内で糖質を処理しきれず、その結果血糖が上昇してしまう「過血糖(高血糖)」状態に
なってしまうことがあります。
通常、食後血糖は緩やかに上昇し、血糖を下げるインスリンというホルモンが分泌され、
2時間程度で通常の血糖値に戻ります。
しかし、インスリンの調節機能がうまく働かなかったり、
分泌量が追い付かなかったりすることで、「過血糖(高血糖)」状態を引き起こし、
ひどい眠気やだるさといった症状を引き起こすのです。
血糖値スパイク
食後に血糖値が急激に上がりすぎるとインスリンが大量に分泌され、
その反動で血糖値が急降下し、今度は低血糖状態になってしまいます。
このように、血糖値の急上昇と急降下を繰り返す状態を「血糖値スパイク」といいます。
この「血糖値スパイク」は放っておくと糖尿病になるリスクが高いため、
隠れ糖尿病予備群とも呼ばれています。
しかし、一般的な健康診断では空腹時の血糖値しか調べないため、
見逃される可能性も高いとされています。
また、ある程度時間が経つと血糖値は下がり正常な数値に戻るため、
自覚症状もほとんど見られません。
食後に強い眠気やだるさを感じたり、イライラしやすいと感じる人は
「血糖値スパイク」が原因となっている可能性もあるので、注意が必要です。
以下の表でセルフチェックを行い、予防に努めましょう。
それぞれ半分以上にチェックが入る方は要注意です!
養命酒製造株式会社「食後の急な眠気の原因は血糖値スパイク?予防に効果的な食事法4選」を基に作成。
糖尿病の初期症状の可能性も!?
食後に強い眠気を感じる場合、それは糖尿病の前兆である可能性もあります。
糖尿病の初期症状として、「眠気やだるさ」があります。
では「糖尿病」と「眠気」にはどのような関係性があるのでしょうか?
まず考えられるのは「低血糖」です。
前述のように、糖質を短時間に大量に摂取すると、急に血液中に増えたブドウ糖を処理しようと、
インスリンが過剰に分泌されてしまうことがあります。
それにより、糖分が過剰に処理されてしまった結果、
今度は糖分が足りなくなってしまい、低血糖の状態が起こります。
そうなると脳に栄養が行き渡らず、強い眠気に襲われてしまうのです。
「食後に強い眠気が続く」という症状だけで、「糖尿病の可能性がある!」とは言いきれませんが、
以下の糖尿病の初期症状に心当たりがある!という方は
すぐにかかりつけ医を受診し、検査してもらうことをおすすめします。
糖尿病の初期症状
・口が渇く
・たくさん水分を飲む
・おしっこの回数や量が多い
・体重が減少する
・体力が低下する
・空腹感がある
・だるさ、眠気がある
糖尿病患者のほとんどの方が2型糖尿病です。
2型糖尿病は特に生活習慣が大きく影響します。
食事・運動など生活習慣に気を付け、初期症状を見逃さないように注意しましょう。
すぐに試せる!食後の眠気を予防する方法
朝食やお昼を食べた後など、仕事中にウトウトしてしまうとやっぱり困りますよね。
以下で紹介する方法をぜひ実践して、食後眠くならないように予防していきましょう!
食べる順番を工夫する
食べる順番を変えるだけでも、血糖値をコントロールすることができます。
一番初めに食べるものは、食物繊維を多く含む野菜やキノコ類、海藻類を心がけましょう!
食物繊維には糖の吸収を穏やかにする効果があり、先に食べることで消化のスピードが
穏やかになり、血糖値の上昇を防ぐことができます。
そしてその後に肉や魚などのメイン、最後にご飯やパンなどの主食、
という順番が効果的です!
ただしこれは、野菜やキノコ類を全部食べてからメイン・主食に移る、という意味ではなく
初めに野菜類をある程度食べその後、肉や魚をある程度食べ、最後に残ったおかずで主食を食べましょう。
食べるものに気を付ける
油や柑橘類、酢などの酸っぱいものに含まれる酢酸には、消化を遅らせる働きがあるため、
血糖値の上昇を防ぎます。
前述のように、食物繊維が豊富な食べ物は血糖値の上昇スピードが遅くなるのでお勧めです。
また、糖質が少なく、GI値(血糖上昇指数)が低い食物については以下の記事でも紹介していますので
ぜひこちらも参考にしてみて下さい!
食べる量に気を付ける
厚生労働省の「日本人の食事摂取量基準2015年版」によると、
炭水化物の摂取量(kcal)は1日の総摂取量(kcal)の50~65%が目標とされています。
この目標量を目安にして、ごはんやパンなど血糖値を上げやすい主食を摂りすぎないよう注意しましょう。
まとめ
食後に起こる強い眠気の原因は、「過血糖(高血糖)」や「血糖値スパイク」、
そして「糖尿病」といった血糖値の上昇や降下による影響が大きく関わっています。
糖尿病となると、もちろん適切な治療が必要となるため
強い眠気が続くようでしたら、専門の医療機関への早めの受診をお勧めします。
病気の心配がない場合は、先ほど紹介した
食べる順番、食べるもの、食べる量に気を付けて、
食後でも眠くならないよう対策をしてみましょう!
また、今回紹介した原因以外にも、夜の睡眠時間が足りていないと
食前後に関わらず昼間眠くなってしまいますよね。
お仕事等で昼間に活動される方は、夜しっかりと睡眠をとり
昼間は頭をすっきりさせて元気に過ごしましょう!
【この記事を読んだあなたにおすすめの記事】
急な腹痛は糖尿病の前兆?糖尿病患者の腹痛は合併症の疑いも!?
【医師監修】血糖値を下げ、糖尿病に効果のある食べ物・飲み物まとめ!
【出典】
飯塚病院「食後の眠気は病気のサイン!?糖尿病の初期症状とは?Vol.2」
ショップジャパン「食後に眠くなる理由は?ランチ後の急激な眠気対策」
日本放送協会「血糖値スパイクが危ない~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~」
養命酒製造株式会社『養命酒だより2018年秋号(2018)』