30代で「血管年齢」が高い人は要注意!「血管年齢」を下げる方法とは?

胸が苦しい男性

 

「血管年齢が高いかもしれないと心配…」

「『血管年齢』を下げるにはどうしたらよいかわからない」

 

このように不安や疑問を抱いたことはありませんか?

 

「血管年齢」が高いと、若い世代でも

急性心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こす可能性があります。

 

また、実年齢より10歳以上高かったときは、

生活習慣の改善や、日常生活での注意と工夫が必要です。

 

本記事を読んで、「血管年齢」の測定方法や、

「血管年齢」を下げる方法等を学び、

健康で若々しい血管を目指していきましょう。

 

血管年齢は動脈硬化の進行の程度を示す新たな指標

 

最近、よく耳にする

「血管年齢」って何のことか、ご存じでしょうか。

 

血管年齢とは

血管の状態が実際の年齢にふさわしい硬さなのかどうか、

心臓や脳などの動脈が硬く厚くなり、

その内腔(血液が流れるスペース)を狭める動脈硬化が

どのくらい進行しているのか、

またその血管の使われ方が悪くて一時的に

硬くなっていないかを示す物差しの1つです。

 

東京医科大学の高沢謙二名誉教授が

世界に先駆けて提唱した動脈硬化の進行の

新たな指標にほかなりません。

 

私たちの健康と命を支えているのは、

身体のすみずみまで血液を送り届けている血管です。

 

なかには、実年齢はまだ50歳前後なのに、

血管年齢はもう70歳を超えていた

というケースも見られるといいます。

 

人は血管とともに老いるのです。

年相応の血管年齢ならまだしも、

実年齢より20歳も30歳も老けた血管年齢だったら、

重大な危機感を持たなくてはいけません。

 

血管が傷つき早く老いるのをそのままにしていたり、

実年齢以上の血管の老いに気づかないでいると、

いつ心筋梗塞や脳卒中など重篤な病気の発症=血管事故

に遭ってもおかしくないからです。

 

急増中!血管事故に遭う30歳代、40歳代の若手世代

 

怖いのは近年、30代、40代の若い世代で、

血管年齢が高く、生死にかかわる血管事故に

遭う人が増えてきていることです。

 

たとえば女優の天海祐希さんが東京芸術劇場に出演中、

急性心筋梗塞に襲われたのは45歳のとき。

 

また、テレビ東京のアナウンサーだった大橋未歩さんが

脳梗塞の発作を起こしたのは、

なんと34歳のときだったのです。

 

現代は、もの凄いスピードで血管が老化する時代です。

 

若くても血管年齢がきわめて高いというのは、

少しも珍しくないのです。

 

もはやこれまでの常識はまったく通用しません。

 

定期的に血管年齢を測り、

日頃から動脈硬化の進行に注意し、

心筋梗塞や脳梗塞などに

突然襲われないように努めてください。

 

もし実年齢より10歳以上高かったときは、

血管事故に遭わないための生活習慣の改善や、

日常生活におけるちょっとした注意と工夫が必要といえます。

 

血管年齢がおおよそわかるチェックリスト

 

一気に加速するアテローム性動脈硬化

 

もともと血管年齢は、

年を重ねるごとに高くなっていきます。

 

生理的加齢変化による動脈硬化の進行は

仕方のないことなのです。

 

ただし、食べすぎや運動不足、

不規則な生活、ストレス、喫煙などが加わり、

それ以上の進行が見られるときは、

「仕方ない」ということでは済まされません。

 

脂質異常症や高血圧、糖尿病、肥満などの

生活習慣病から病的な動脈硬化が進み、

一気に加速してしまうからです。

 

とりわけ問題なのは急性心筋梗塞や脳梗塞など

重大な血管事故を起こすアテローム性動脈硬化です。

 

動脈の血管壁は、内側から

①内膜、②中膜、③外膜

の3層から形成されています。

 

アテローム性動脈硬化は、

この動脈壁のもっとも内側の内膜の表面、

血液とじかに接する血管内皮が傷つけられ、

血液中の悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)が

その傷口から血管壁の中へ侵入することから始まります。

 

内膜の中に侵入した悪玉コレステロールは、

活性酸素によって酸化され、

酸化コレステロールに変化します。

 

次にマクロファージ(白血球の一種)が

この酸化コレステロールを捕食し、

自身の内に溜めこんで泡沫細胞へ変わります。

 

やがて泡沫細胞は死滅し、その死骸の山が積み重なって

アテローム(粥状の塊、プラーク)をつくるのです。

 

プラークは、徐々に血管内皮=血管壁を内側へ

突き出すように大きく肥大していきます。

 

それに従い血管壁はより硬く厚くなり、

その内腔を狭めて動脈硬化が加速されてしまうのです。

 

突然、冠状動脈が詰まって心筋の壊死を招くのが急性心筋梗塞

 

心筋梗塞の下地は、心臓の筋肉(心筋)へ

酸素と栄養を補給する冠状動脈に、

アテローム性動脈硬化が

発生→進行することからつくられます。

 

プラークの肥大化でより

硬く厚いものになった冠状動脈の血管壁は、

次第に弾力性を失い脆く壊れやすくなっていきます。

 

加えて、ストレスや睡眠不足、不規則な生活などから

血管が「ギュッ」と縮まったりすると、

冠状動脈の血管壁はさらに硬く脆いものに

ならざるを得ません。

 

そのうちに、ちょっとした血圧の

瞬間的上昇などをきっかけに

プラークが破裂したりすれば、

血管壁の破裂箇所を修復しようと

血小板などがたちどころに集まり、

血を固まらせてふさごうとします。

 

この血の塊が血栓となって冠状動脈を詰まらせ、

その先に血液を送れなくなることで、

心筋の壊死を招くのが心筋梗塞なのです。

 

発症のきっかけとなる最後の一押しとは…

 

動脈硬化は、

①器質的硬化

②機能的硬化

の二つに大きく分けられます。

 

先の心筋梗塞を例にとると、

前者のアテローム性動脈硬化などの進行から

血管の素材そのものが硬くなるのを

器質的硬化と呼びます。

 

後者のストレスや寝不足など情況次第で

血管が「ギュッ」と縮まり硬くなったりするのを

機能的硬化といいます。

 

重要なのは血管の素材そのものが

硬くなる器質的硬化のみで心筋梗塞が起きるのか…

というと、そうではないという事実です。

 

ストレスや寝不足などから生じる機能的硬化が加わり、

さらに瞬間的な高血圧や脱水による血液の濃縮など

ちょっとしたことがきっかけとなり、

心筋梗塞の発症へ至るのです。

 

沖縄の元気な百寿者(百歳を超えた長寿者)などの場合、

血管の素材そのものは

硬くなっているケースが多いものの、

機能的硬化を招かない日常生活や、

発症のきっかけを上手に避ける生活の知恵などが

血管事故を防いでいるのです。

 

自らの血管年齢は医療機関の検査で容易に知ることが可能

 

現在、血管年齢を調べる検査は

病院やクリニックで広く普及しており、

それを受ければ自らの血管年齢を

容易に知ることができます。

 

血管年齢を調べる検査には

加速度脈波検査や脈波伝播速度検査(PWV)、

ABI検査、CAVI検査などがあり、

いずれかの検査を受けてください。

 

とりわけ加速度脈波検査で用いられる加速度脈波計は、

指先をセンサー部分にあてれば

20秒でたちまち血管年齢が判明します。

 

この加速度脈波計で突き止められる血管年齢とは、

前者の器質的硬化による血管年齢に、

後者の機能的硬化による血管年齢を

加えたものにほかなりません。

 

嬉しいのは

いま各種の加速度脈波計が広く市販されており、

一般の患者でも購入できることです。

 

血管年齢測定器

 

動脈硬化と診断された方は

普段から自宅で血管年齢を調べ、

血管事故に遭わないようにするとよいでしょう。

 

動脈硬化を起こした血管でも若返らせることが可能

 

「血管年齢が意外に老けている」

 

こう告げられても決して

諦めたりがっかりすることはありません。

 

実は長いこと、

「動脈硬化の進行は不可逆的なもの。
一旦、動脈硬化が進んだら、
もはや元の柔らかい血管に戻らない」

と信じられてきました。

 

しかし、近年、食事や運動など生活習慣の改善や、

医師による適切な治療などで、

器質的に動脈硬化を進行した血管でも

改善することが報告されています。

 

さらに機能的な血管の硬さについては、

血圧を下げるとか、ストレスの解消などにより、

すぐにでも柔らかくなって

若返ることが確認されています。

 

血管年齢を若返らせ、

血管事故を防ぐ憲法5箇条を紹介します。

 

第1条は禁煙です。

 

喫煙は体内に大量の活性酸素を発生させ、

直接、血管内壁に傷をつけるなど

血管に大きなダメージを与え動脈硬化を進めます。

血管を若返らせるための前提条件が禁煙です。

 

第2条は腹八分目の食事を心がけることです。

 

脂質異常症や高血圧、糖尿病、肥満などの

生活習慣病を改善し、血管を若返らせます。

 

お勧めなのが食事の最初に生野菜を摂ること。

食べすぎを防ぎ、余分なコレステロールや

脂肪の排出などに役立ちます。

 

1日1回気持ちのよいことを見つけ実行しよう

 

第3条は週2回、20分程度のウォーキングや

エアロビクスなどの有酸素運動を行うこと。

 

有酸素運動は末梢の血管を広げ、

血圧の低下などをもたらします。

 

第4条はストレスをこまめに解消すること。

 

1日1回、気持ちのよいことを見つけ

実行するようにしましょう。

 

私たちの身体は交感神経と副交感神経の

相反する2つの神経からなる自律神経によって

調整されています。

 

過度のストレスが続くと

交感神経が働きっぱなしとなり、

血管の収縮や血圧の上昇などがもたらされ、

血管事故が起こりやすくなります。

 

心が和むことを見つけて楽しむことが、

血管事故の防止につながります。

 

血管事故の引き金を引かない生活スタイルの確立を

 

第5条は良質な睡眠をとることです。

 

起床時間と就寝時間を決め、

毎日、同じ時刻に目覚め、床につくようにしてください。

 

睡眠時は副交感神経が優位となり、

血管を広げ血圧を下げます。

 

血管にとっても夜間は大切な休養の時間なのです。

 

もちろん、血管事故の引き金を引く行為は

絶対避けることです。

 

過労や人間関係の軋轢などから

ストレスがたまったときは、

睡眠と休養を十分にとり、心身を和ませること。

 

無理を押して頑張ると血管事故を招くことになります。

 

営業の外回りで喉が渇いたら、

水を飲んでください。

汗をかいたら塩も摂ってください。

 

脱水から血液中の水分量が減少し、

血が固まりやすくなって

血管事故を起こす引き金となります。

 

血管事故に遭わないためには、

改めて普段のご自分の生活を見直してください。

 

血管事故を起こすきっかけ、

最後の一押しとなる危険な行為を避ける

生活スタイルの確立が求められます。

 

 

取材・文:NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部

医療ジャーナリスト 松沢 実

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