かぶは、様々な品種、形、色があり、たくさんの種類が各地で栽培されている冬野菜です。
今回は、根も葉も食べられて漬物にもできる使い回しNo.1の伝統野菜「かぶ」についてご紹介します。
春の七草
「すずな」と呼ばれるカブは、春の七草の一つと数えられ、古くから親しまれてきた野菜です。
見た目も丸いもの、長いもの、曲がっているもの、赤いもの、白いもの、紅白二色のものなど色々です。
さらには、根だけでなく、葉の部分を食すものもあり、地域によって栽培品種も食べ方も様々です。
かぶとは
左から 東京長かぶ にんじん あやめ雪かぶ 長沢かぶ
かぶは、アブラナ科アブラナ属の植物で、キャベツや白菜と同じ仲間です。
かぶをアジア系品種とヨーロッパ系品種に大別すると、
アジア系品種は主として西日本に、ヨーロッパ系品種は主に東日本に分布し、中部地方の関ヶ原付近を境に東西に分かれています。
大きさにより大かぶ、中かぶ、小かぶに分類されるほか、白かぶ、赤かぶ、青かぶ等、色による分け方もあります。
かぶは古くは「あおな」と呼ばれ、根だけでなく葉も重要視されていた野菜です。
長野県原産の野沢菜に代表される「かぶな」は、葉だけを食べるかぶの一種で、主に漬物に用いられます。
代表的なかぶ
①最上かぶ
山形県新庄市で昔から栽培されている長かぶです。上部が赤紫色で下部は白く、肉質はやわらか。
甘酢漬け、塩漬けの他、煮物や炒め物にも利用されます。
②聖護院かぶ
京都で生産されている漬物用のかぶです。今から300年ほど前から栽培されています。
中には、5kgを超えるものもあり、日本最大のかぶです。
これを紙のように薄く切り、樽に漬け込む「千枚漬け」は、京都の名産品です。
③平家かぶ
宮崎県で生産されているかぶです。
830年前の源平合戦で敗れた平家の落人が住み着いたといわれる椎葉村で栽培されたのがはじまりです。
道端に自生するほど生命力が強く、ひげ根が多いことが特徴です。
地元では名物の「菜豆腐」に葉を入れて食べます。
かぶの栄養
かぶは、根と葉で大きく栄養成分が異なります。根は淡色野菜で、ビタミンCやカリウムをやや多く含みます。
葉は緑黄色野菜で、皮膚や血管の老化を防ぐビタミンCや、
皮膚や粘膜を健康に保つビタミンA、細胞の老化を防ぐビタミンE等、多くのビタミン類を含みます。
これらのビタミンはともに強い抗酸化力を持ち、有害な活性酸素から細胞を守る働きがあります。
また、骨や歯を形成し、筋肉や神経の働きを調節するカルシウム等、ミネラルも多く含みます。
おいしいかぶの選び方
かぶは、つややかでキメが細かく、ハリのあるものを選びましょう。
ひび割れしていたり、シミのあるものは、古くなっているので避けましょう。
また、茎がしっかりとしていて、葉の緑色が濃く、シャキッとしている新鮮なものを選びましょう。
大きすぎるものは育ちすぎている可能性があります。
鬆(ス)※が入っていたり、筋がたって固いことがあるので、避けたほうがよいでしょう。
※ 鬆とは・・・組織が成長しすぎてスポンジのように穴が開いてしまう状態のことです。
小ぶりでハリのあるものを選びましょう
保存方法
かぶは、根と葉を切り分け、別々に保存します。乾燥を防ぐため、
ラップで包むかビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
葉は、冷凍保存も可能です。固めに塩ゆでしてから水分を十分に絞り、
ラップに包んで冷凍保存すれば、ちょっとした彩りを加えたい時に使えて便利です。
おいしく召し上がるには
かぶは、アクが少ないので下ゆでする必要がなく、そのまま調理できます。
漬物や煮物、蒸し物、汁物等、さまざまな調理で楽しめますが、
消化酵素やビタミンCを生かすなら、生のままサラダで食べるのがおすすめです。
また、火の通りが早いので、煮物等の調理の際は、煮崩れに注意しましょう。
葉にはビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、捨てずに利用しましょう。
葉はアクが強いので、熱湯で軽く下ゆでしてから使います。
ビタミンA(β-カロテン)は油脂と一緒に調理すると吸収率が高まるので、油炒めがおすすめです。
かぶは、火を通すと柔らかくクセもないので、子供から高齢者までみんなで楽しめます。
また、火の通りも早いため時短料理には最適です。寒い冬には、シチューや鍋で家族団らんを楽しみましょう。
参考
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
和の食材、カラダがヨロコビ散歩でも。歩数管理はヘルスライフで!