すっかり気温が落ち着き、
秋らしい季節になってきました。
しかし、
何となく夏の疲れが取れない
という方も多いのではないでしょうか。
また、気温差により体調を崩された方もいるでしょう。
もしかするとその一因は、
自律神経の乱れかもしれません。
体調不良を引き起こす自律神経の乱れは
どのようなことから起こるのか、
自律神経を整えるために
簡単にできる実践法について、
詳しくご紹介しています。
自律神経を整える実践法を試すことで、
現在よりも生活力がアップし、
生き生きと過ごすことができます。
自律神経を調えて、
夏の疲れを吹き飛ばし、
元気を取り戻していきましょう。
自律神経の乱れが体調不良の大きな理由
そもそも、なぜ夏は疲れるのでしょう。
気温の高さや紫外線の影響ももちろんありますが、
日本の夏は湿度が高いため、
汗がうまく蒸発しないことが大きな理由です。
暑いと汗をかくのは、
汗が乾くときに気化熱で体の熱を奪い、
体表面の温度を下げるからです。
しかし、湿度が高いと汗が乾きにくく、
熱が体内にこもってしまい、
体温調節機能に狂いが生じてしまうのです。
体温調節を行っているのは、自律神経です。
自律神経には、心身を活動モードにする交感神経と、
リラックスモードにする副交感神経があります。
いわば、オンとオフをつかさどる神経ですが、
そのスイッチがうまく働かなくなると、
だるい、寝つきや目覚めが悪い、
食欲がないなどの体調不良があらわれます。
冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎ、
冷房の強い屋内と暑い屋外を頻繁に出入りすること、
あるいは一日中強い冷房のなかにいることなども、
自律神経のスイッチを狂わす原因となります。
食欲がなくなって
ビタミンやミネラルを含む栄養が
十分に摂れなくなったり、
熟睡できなくなると、
ますます自律神経は弱り、
夏疲れの悪循環におちいっていきます。
朝の光と規則正しい食事で回復
そんな状態から脱するには、
自律神経のスイッチがしっかり働くようにすることです。
最大のポイントは、
朝決まった時間に太陽の光を浴びることと、
規則正しい生活を送ること。
この2つを実行することで、
体調は徐々に回復するはずです。
自律神経には、
交感神経と副交感神経があるとお伝えしましたが、
心身を活動モードにする交感神経は、
光を浴びることでスイッチが入ります。
眼から入った光の信号が
視神経を通って、視交叉上核という場所に達し、
そこから全身に「目覚めなさい」という
信号が送られるのです。
その結果、体温、脈拍、血圧などが上がり、
心身は活動モードに。
さらに、起きて1時間以内に朝食を摂り、
昼食、夕食も規則正しく食べることで、
体は本来のリズムを取り戻します。
すると、目覚めてから15〜16時間後に
自然に眠気がやってくるので、
部屋を暗めにするなどして、
副交感神経が働きやすい環境をつくってあげましょう。
入浴は就寝の2時間前、
夕食は4時間前までにすませるのが理想です。
明かりが煌々としている部屋で
遅くまでテレビを見たり、
パソコンやスマートフォン等の画面を
寝る直前まで見るのは、
睡眠の質を低下させるので避けましょう。
寝る前のお酒も熟睡を妨げます。
体内時計が整えば疲れにくい体に
自律神経がきちんと働くと、
体内時計も規則正しく時を刻むようになります。
人間の体内時計は約25時間周期ですが、
朝に強い光を浴びることによってリセットされ、
地球の1日の周期である24時間に同調します。
体内時計は
さまざまなホルモンの分泌にもかかわっていますが、
そのなかでとくに重要なのが、
成長ホルモンと、メラトニンという睡眠ホルモンです。
成長ホルモンには、
疲労回復、脂肪の燃焼、免疫機能の維持、
皮膚や筋肉など体の組織の修復・再生
などの働きがあります。
つまり、若々しさを保つホルモンです。
一方、メラトニンは
体内時計を調整し、眠気を引き起こすほか、
細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があります。
メラトニンは夕方から、
成長ホルモンは夜間に分泌量が増えますが、
体内時計がしっかり働いていないと、
十分に分泌されません。
朝の光と
規則正しい食事、睡眠が自律神経を調え、
体内時計を正しく動かします。
その結果、体調が回復するだけでなく、
病気に強く、老化しにくい体へと変わっていきます。
秋の夜長は夜更かししがちですが、
まずは早起きを心がけ、
自然な眠気にまかせて眠る習慣をつけてみませんか。
それが当たり前になれば、来年の夏は、
夏疲れしにくい体で元気に過ごせるかもしれません。
取材・文:NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部
医療ライター/看護師 天野 敦子
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