ゴールデンウィーク過ぎて、梅雨に入ろうかという頃になると「梅の実」は青からしだいに黄色に熟して柔らかくなってきます。
この梅の実を収穫して、塩漬けにしたものが梅干となるわけです。
今回は、ちょうど収穫を迎える梅のお話です。
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
伝統的な味わい・・でも好き嫌いが分かれるところ
かつお、減塩、蜂蜜など、今では様々な味を楽しめます。
伝統的な製法で漬けられた梅干は、酸味が強く好き嫌いが分かれるところ。
この酸味が敬遠されるためか、近年は、減塩調味を施したもの、かつおなど風味を加えたもの、蜂蜜を加えて甘くしたはちみつ梅なども登場しています。
これらは商品ラベルに「調味梅干」と記載があるので、伝統的製法に何らかの工夫がこらしてあることが分かります。
減塩施策を反映してか、食品標準成分表では、梅干の塩分が22%、調味梅干が塩分7.6%となっており、調味梅干の塩分は約3分の1ほどです。
梅干も時代に合わせて変わってきているのですね。
健康食品としての梅干
①疲労回復作用のクエン酸
梅干の酸味の部分は、梅が本来持っているクエン酸の働きによるものです。
クエン酸には疲労回復効果があるとされ古来より重用されました。
②咳や痰にはアミグダリン
青梅の香り成分であるアミグダリンには、毒性があるため食用にはむきません。
しかし、梅干や梅酒にすることで咳や痰を直す効果のある成分に変化します。
③梅肉エキスには抗菌作用
青梅の果汁を煮詰めた梅肉エキスには抗菌作用があり、食物が腐るのを防ぎます。
病原菌大腸菌の生育も阻止してしまいます。
梅干にも同様の効果があります。
④肝臓にも効く
梅そのものには、肝臓の機能を高め、悪酔いを防止し、血流を改善し冷え性にも効果がある成分が含まれています。
⑤赤しそに含まれる「シソニン」で老化防止
塩漬けした完熟梅を乾燥させ、赤しそを加えてもう一度漬けたものが「梅干」です。
赤しそには「シソニン」という物質が含まれ、血管や脳、皮膚の老化を予防する働きがあります。
伝統的な日の丸弁当には、腐敗防止と消化吸収の効果があります。
梅干を上手に利用するコツ
①お弁当に
梅干を見て「すっぱい」と感じた瞬間出てくる唾液。
梅干は、唾液を分泌させるので食物の消化吸収促進に役立つ上、防腐の効果も狙えます。
お弁当のおにぎりや、ご飯に混ぜてみると良いでしょう。
②梅酒で疲労回復促進
梅酒は焼酎に青梅をつけたものですが、アルコールにより梅の疲労回復促進成分が抽出されるので、適量の梅酒もオススメです。
梅は、「見て好し、食べて良し」と古来より愛された植物です。
皆さんも今年は梅干漬けに挑戦してみませんか?
出典
四季の健康 佐藤 祐造 風媒社
カラダにいいものはココロにもいい。毎日の食事を大切に。
食べたら、運動。歩数確認はヘルスライフで。