「こどもが生まれてから、ママの心が不安定な気がする」
そんな風に思ったことはありませんか?
産後のママはからだだけでなく、
心もとてもデリケート。
パパの支えがないと
産後うつになってしまうかもしれません。
でも心の不調を感じているママのために、
自分は何ができるのかわからなくて
困っているパパも多いはず。
この記事では、産後のママを支えるために、
パパができる産後うつの対処法を解説します。
産後うつとは
産後うつとは、産後約1か月以降にあらわれる
うつ状態のこと。
産後3か月以内に発症することが多く、
一般的には半年から1年、
長い人で2年以上症状が続くとされています。
日本ではママたちのうち約1割が産後うつを経験する
といわれており、パパたちもその症状や危険性を
知っておくことが大切です。(※1)
産後うつで見られる症状
産後うつでは、一般的なうつと同様に、
さまざまな心の不調があらわれます。(※2)
しかし、産後のママは子育てのため
社会から孤立しがちで、
なかなか不調に気づいてもらえる機会がありません。
産後うつで見られる症状を事前に知っておけば、
パパがママの心身の不調に
気づくことができるでしょう。
抑うつ状態
抑うつ状態とは、憂鬱な気持ちが続いていたり、
気分の落ち込みがあったりする状態のこと。
「赤ちゃんの世話をしないといけないのに、気分が落ち込んでやる気が起きない」
「自分に子育てができるか不安に襲われる」
などの不安感や悩みがあらわれます。
食欲の減退または増加
食欲の減退または増加も産後うつの症状です。
これに伴って、体重の増減も起こります。
睡眠障害
育児中のママの睡眠は不足しがち。
赤ちゃんのお世話が忙しくて眠れないだけでなく、
育児への不安からいろいろ考えてしまって
眠れなくなるという人もいます。
この状況が続くことで、不眠や睡眠過多などの
睡眠障害につながってしまいます。
慢性的な疲労感
「やらなければならないことがあっても疲れていてできない」
というのも、産後うつの症状のひとつです。
赤ちゃんのお世話が最優先になり、
ママ自身の睡眠が不足したり食事のバランスが
崩れてしまったりする場合があります。
それにより、からだのエネルギーが不足し
疲労感を慢性的に感じるようになってしまうのです。
子供に無関心
産後に
「子供に関心がもてない」
「自分の子供がかわいいと思えない」
と感じるのはママのせいではありません。
これも産後うつの症状のひとつなのだと、
パパも理解しておくことが大切です。
パートナーができる支え方3選
産後のママを最も近くで支えられるのは、
パートナーであるパパです。
これからご紹介する3つの方法で、
ママを支えていきましょう。
パートナーの睡眠時間を確保する
まずはママの睡眠時間を確保しましょう。
ときには、ママが赤ちゃんから離れて
ぐっすり眠れる時間を作ることが大切です。
例えば、パパがママの代わりに搾乳した母乳やミルクを
哺乳瓶で授乳するなどの対策をし、
ママが眠れる時間を作りましょう。(※1)
パートナーの思いをしっかりと聞く
「子育てが思っていた通りにいかない」
と思って1人で抱え込んでしまうママもいます。
産後のママの生活は閉塞的になりがちです。
ママの思いをしっかりと聞き、寄り添うことで、
ママの安心感が増します。
家事・育児の協力体制をつくる
家事・育児を夫婦で協力できる体制をつくりましょう。
「産後パパ育休制度」はご存知でしょうか。
産後8週間以内に4週間(28日)を限度として
2回に分けて育休を取得できるという制度です。(※3)
就業先に確認し、育休休暇の取得も検討しましょう。
産後うつ症状には漢方薬も
「ママが産後うつかもしれない」
と思ったら、漢方薬を服用するのもおすすめです。
漢方薬は、医薬品として効果が認められており、
産後うつの症状に対して、婦人科などで処方されています。
産後うつの症状には、
「イライラや神経の高ぶりをおさえる」
「気分の落ち込みを改善する」
「血流をよくして自律神経のバランスを整える」
「消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする」
といった働きを持つ漢方薬を選び、
根本改善を目指しましょう。
産後うつの症状におすすめの漢方薬
抑肝散(よくかんさん)
自律神経のバランスを整え、心を落ち着かせることで、
イライラなどの精神症状に働きかけます。
小児の夜泣きにもよく用いられます。
芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
産後の不調全般に使用される漢方薬で、
気力を充実させるとともに、精神を安定させることで
体力低下や神経症に働きかけます。
産後うつの症状や、ママの体質によって
その人に合う漢方薬は異なるため、
服用する前には医師や薬剤師などの専門家に
相談することをおすすめします。
最近は「あんしん漢方」のような
オンライン漢方薬サービスもあります。
スマホだけで完結できるので、
赤ちゃんのお世話をする合間に、
漢方薬のプロに相談できますよ。
産後うつにはパパのサポートが大切
子育て中のママは、産後うつになりやすい環境に
おかれていて、パパの支えを必要としています。
パートナーとして、不安や疲労に寄り添い、
協力しながら子育てを進めましょう。
ママがしっかり休息を取れるようサポートし、話を聞き、
家事や育児の負担を分担することが大切です。
漢方薬の使用も検討し、
心配な症状がある場合は医療機関を受診しましょう。
<参考文献>
(※1)見落とされがちな「産後うつ」。悪化を防ぐために周囲や本人ができること 女性特有の健康問題を知る、学ぶ! 働く女性のウェルネス向上委員会 | 東京都産業労働局
(※2)出産後のこころの健康~産後うつとの上手な付き合い方~ | 富山県厚生部健康課
<この記事の監修者>
横倉恒雄(よこくらつねお)
医師
婦人科・心療内科・内科
医学博士/医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。
東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。
故・日野原重明先生に師事。
ストレスなどから不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。
新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)はポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
快食脳ダイエット講座も好評。
木村 英子(きむらえいこ)
あんしん漢方薬剤師
北里大学薬学部・東京大学大学院医学系研究科卒。
臨床検査技師。
厚生労働省検疫所・病院にて公衆衛生・感染症現場を経て、インドアーユルヴェーダの権威ミーナクシ・アフジャ博士に師事。