妊娠したママのからだには
さまざまなマイナートラブルが起こります。
眠気もそのひとつ。
「起きていられないくらい眠い」
「気が付いたら寝ている」
という人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなママのために、
眠気の原因と対処法をご紹介します。
昼夜問わず眠気がつらい理由
卵巣から分泌される女性ホルモンの一種である
「プロゲステロン」には
眠気を強くする作用があります。
妊娠中は血中プロゲステロン濃度が
通常より増加するため、
睡眠と覚醒のメリハリがつきにくくなり、
昼夜問わず眠気が出やすくなるとされています。(※1)
さらに、妊娠中は自律神経も乱れがち。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、
交感神経が優位になると
ある種の興奮状態となって眠気が覚め、
副交感神経が優位になると
リラックス状態となり眠気を感じます。
妊娠初期は、副交感神経が優位になるため
眠気が続くのです。(※2)
妊娠期でもできる対策2選
睡眠の質向上
妊娠中はプロゲステロンの分泌や自律神経の乱れにより
睡眠時間は長くなりがちですが、
実は睡眠の質は低下しています。
睡眠の質が悪いと、どれだけ寝ても
からだが疲労から回復せず、
慢性的な眠気を感じることになります。
日中は気分転換になるような活動を行ない、
心とからだをリラックスさせることで、
夜の睡眠の質を向上させましょう。
また、おなかが大きくなるのに合わせて、
寝やすい体勢をみつけるのも、
睡眠の質を向上させるポイントです。(※3)
適度な運動
眠気対策には、適度な運動も効果的。
からだに負担の少ない低~中強度のウォーキングや
マタニティスイミング、ヨガなどを
20~60分程度、週に1~3回を目安に
行うといいでしょう。
ただし、妊娠中のからだの状態は一人ひとり違うので、
運動をする場合、
事前にかかりつ医に相談してくださいね。(※3)
妊娠期の眠気対策でしてはいけないこと
妊娠中のからだはとても繊細。
何気なくやってしまいがちな眠気対策のなかには、
妊娠中に注意が必要なものがあります。
カフェインの摂取
「眠気対策といったらカフェイン」と思う人も
多いのではないでしょうか?
しかし、妊娠中にカフェインを摂り過ぎると、
赤ちゃんの発育に影響が出てしまう
可能性があります。(※4)
カフェインの含まれるコーヒー、紅茶、ウーロン茶、
せん茶などは飲みすぎないようにしましょう。
ツボ押し
眠気対策にはツボ押しも効果的ですが、
赤ちゃんが子宮にいるときは、子宮を圧迫したり、
子宮の収縮につながったりするツボを
強く押すのは危険です。
とくに、手の甲の親指と人差し指の間にある
「合谷(ごうこく)」というツボは、
万能のツボとして有名なため、
通常なら眠気対策に使われれます。
しかし、子宮収縮を促してしまう可能性があることから
妊娠中に押すのは禁忌とされているので、
避けるようにしましょう。(※5)
妊娠期のマイナートラブルには漢方薬も
妊娠中のママは、病院に行ったり、
赤ちゃんをお迎えする準備をしたりと大忙し。
「眠たくてしょうがない」といった
妊娠期のマイナートラブル対策には、
根本改善を目指す漢方薬を活用するのも
ひとつの方法です。
漢方のなかには、「安胎薬」と呼ばれる
母体及び胎児の発育に好影響を与える生薬もあり、
産婦人科でも処方されています。
妊娠中のマイナートラブルに対しては、
「全身に栄養を届けて心とからだを元気にする」
「自律神経を整えてストレスを緩和し、睡眠の質を改善する」
といった働きのある漢方薬を選びましょう。
妊娠期のマイナートラブルにおすすめの漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
妊娠後期の日中の眠気や夜中の中途覚醒に
用いられることがある漢方薬です。
からだに気力や元気を与えます。(※6)
漢方薬は一般的に西洋薬よりも副作用が少ない
といわれていますが、妊娠中に服用する場合は
必ずかかりつけの医師に相談しましょう。
自宅からオンラインで漢方薬のプロに相談できる
「あんしん漢方」というサービスに
一度相談してみるのもおすすめです。
漢方薬に精通した薬剤師が、AIを活用して、
あなたに効く漢方薬を見極めて、
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妊娠中でも出来る対策で、つらい眠気を乗り切ろう!
妊娠中の眠気は、多くのママが悩む症状です。
主な原因は、眠気を強くするプロゲステロンという
女性ホルモンが妊娠中に増加するからです。
妊娠前のように、カフェインの摂取や
ツボ押しで眠気対策をするのは
避けたほうがいいでしょう。
妊娠中のママの眠気対策には、
睡眠の質の改善や適度な運動、
そして、漢方薬の使用がおすすめです。
<参考文献>
(※1)女性ホルモンとうまく付き合っていくには? | スマート・ライフ・プロジェクト 事務局(厚生労働省 健康局 健康課)
(※2)妊婦のマイナートラブルに対する自律神経機能を用いた評価と介入方法の検討 | 科学研究費助成事業 研究成果報告書
(※3)健康づくりのための睡眠ガイド 2023 | 厚生労働省
(※4)お母さんになるあなたと周りの人たちへ | 内閣府食品安全委員会
(※5)孫育てのための「祖父母教室」 | 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
(※6)小川恵子, 「女性の漢方」,中外医学社,2013年7月,70-72ページ
<この記事の監修者>
横倉恒雄(よこくらつねお)医師
婦人科・内科・心療内科医
医学博士/医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。
東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を創設。故・日野原重明先生に師事。
ストレスなどから不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。
新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)はポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
快食脳ダイエット講座も好評。
木村 英子(きむらえいこ)
あんしん漢方薬剤師
北里大学薬学部・東京大学大学院医学系研究科卒。臨床検査技師。
厚生労働省検疫所・病院にて公衆衛生・感染症現場を経て、インドアーユルヴェーダの権威ミーナクシ・アフジャ博士に師事。
対症療法ではなく体質を根本改善することの重要さを痛感し、西洋医学をベースに東洋医学からのアプローチを取り入れ、アロマやハーブを活用した情報発信を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。