はじめに
幼児教育は何のためにどんなことをするのか、
具体的なイメージが湧かない保護者の方も
多いのではないでしょうか。
教育に関するさまざまな情報や習いごと・知育おもちゃや
通信教材などがある中で、
何をすれば良いのか迷うこともありますよね。
幼児教育について大人が理解を深めることができれば、
子どもに合った教育を判断する時のヒントになるでしょう。
そこで今回は幼児教育とは何か、メリットを解説します。
多くの幼稚園や保育園・家庭で取り入れられている
教育方法の種類や特徴、家庭でできる幼児教育についても
紹介するので参考にしてください。
幼児教育って何?
そもそも幼児教育とは、何を目的に
どんなことを行うのでしょうか。
教育というワードから、特別な指導を受けて
知識や技術を身につけることと捉える人も
多いかもしれませんが、それだけではありません。
ここからは幼児教育について、
文部科学省ではどう示されているのかに
焦点を当てながら解説します。
幼児教育を行う意義や始める時期についても
みていきましょう。
文部科学省が示す幼児教育とは
文部科学省では、幼児教育の意味や対象となる範囲を
以下のように示しています。
文部科学省が示す幼児教育は、小学校入学前の子どもを対象に生活の中で行われる教育すべてを指します。
幼稚園や保育園での教育はもちろん、家庭での生活や地域社会とのつながりなども幼児教育の一部です。
幼児教育の内容は一つに限定するものではなく、子どもの生活すべてを教育範囲として心身の成長を促す広い意味を持ちます。
幼児教育を行う目的や意義・役割とは
幼児教育の目的は、生きるために必要な力
すべての基礎を培うことです。
幼児期にさまざまな経験を通して好奇心や
探求心・自己肯定感を高め、生涯にわたる学習意欲や
理解力・人間形成の基礎を育てることに意義があります。
学習意欲や態度・思考力やコミュニケーション能力など
すべての基礎をバランス良く培うことで、
自主的に学び理解を深める力や豊かな人間性の育ちへと
つながっていきます。
幼児教育は、未来の日本社会をしっかりと生き抜くために
必要な力の基礎を培う大切な役割を
担っているといえるでしょう。
幼児教育はいつ頃始めるのが良い ?
脳の約80%が完成する3歳頃までは
五感の発達に良い時期であり、
幼児教育を始めるのに適しているといわれています。
3歳を過ぎると脳の成長は続くものの緩やかになるため、
3歳までにたくさんの刺激を受けることが
脳の発達により効果的なのです。
特別なことをする必要は無く、
たくさん体を動かして遊ぶことや生き物に触れること、
いろいろな音楽を聞くなど
身近に経験できることで構んいません。
保護者との触れ合いや地域社会との関わり、
幼稚園や保育園での経験も
すべて脳に刺激を与える重要なポイントです。
【参考】
15幼児教育はいつから必要?開始時期・内容から成功のコツまで徹底解説!
幼児教育のメリットは ?
生きる力を総合的に養う幼児教育は
「見えない教育」とも表現され、
目先の結果よりも生涯に役立つ力を培い伸ばすことを
重視します。
すぐに効果を感じられなかったとしても、
幼児教育で培った基礎は
長い人生に活かされるメリットがあるのです。
ここからは、幼児教育で得られる
メリットを詳しく紹介します。
幼児の持つ力を伸ばし可能性を広げることができる
幼児教育のメリットは、さまざまな経験を重ねることで
一人ひとりの持つ力や個性を伸ばすことができ、
子どもの世界や可能性が広がることです。
脳が急速に成長する幼児期に、
たくさんの経験や体験をする中で
好奇心や探求心が養われ、
記憶力や集中力・想像力も豊かになっていきます。
特に楽しいことや興味を持ったことは
集中してどんどん覚え、
自ら「もっとやってみよう」「ここをこうしてみよう」と
遊びや学びを発展させるでしょう。
また、関心のあることは「なんで?どうして?」と
考えるため思考力も育ちます。
多くのことに興味・関心を持つことで
子どもの能力が伸びやすくなり、
将来の可能性や視野を広げることにつながるのです。
小学校生活や学習をスムーズに進める準備ができる
2つ目のメリットは、
集団生活や読み書きなどの経験が、小学校生活や学習を
スムーズに進める準備として役立つことです。
幼稚園や保育園で集団生活を経験し
先生や友達とたくさん関わる中で、
人間関係の基礎や社会性が培われます。
そのため小学校生活の不安や戸惑いを少なくしたり、
新しい友達とコミュニケーションが取れたりと
環境に適応していく力が身につくでしょう。
また、ひらがなや数字の読み書きなど
学習の基本を経験しておくことで、
スムーズに学習を進めていくための準備ができます。
幼児教育で学習や集団生活を経験することによって、
いろいろなことに取り組む意欲や
新しい環境への適応力が培われ、
たくましく生きていく力を備えることができるのです。
運動能力や体力がつき健康な体作りの基礎ができる
3つ目のメリットは、
幼児期にたくさん体を動かして遊ぶことで
健康な体作りの基礎ができることです。
たくさん走ったり体操やスイミングを
経験したりする機会が多いほど、
運動能力や体力を伸ばすことにつながります。
体力が無いと疲れやすくなり、
風邪を引きやすかったり集中力が低下したりと
健康的な生活を送るうえでデメリットが生じるでしょう。
幼児期に運動やスポーツなどの経験を通して
培った基礎体力は、
心身共に健康な生活を送ることに活かされるのです。
【参考】
幼児教育の効果とは|メリット・デメリットから実施時のポイントまで | 受験のことならお受験ナビ
16幼児教育の意味やメリットを紹介!家庭での進め方や役立つポイントも
幼児教育の種類と特徴
幼児教育は世界中でさまざまな教育方法が確立されており、
各家庭や幼稚園・保育園で実践されています。
それぞれ目的や考え方・重視する点が違いますが、
共通しているのは子どもの持つ力や可能性を伸ばし、
成長を後押しするための教育方法だということです。
ここからは、数ある幼児教育方法の中から
「モンテッソーリ教育」
「シュタイナー教育」
「七田式教育法」
の3つを紹介します。
【参考】
幼児教育にはどんな種類がある?教育のプロが徹底解説します。 | パスカルキッズマガジン
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は、
イタリアの医師マリア・モンテッソーリ博士が
考案した教育方法です。
子どもは教えられなくても時期が来れば歩いたり
話したりできるようになっていく姿から、
自分の力で成長する力
「自己教育力」があるという考え方を重視しています。
モンテッソーリ教育の目的は、
自主的に学習することで
子どもの持つ才能を見つけて伸ばし、
生涯に渡り意欲的に学び続ける力を持つことです。
そのため、保護者や保育者は子どもの成長や
発達に合った環境を整え、
自主的に学ぶ姿勢を適切に援助することが求められます。
子どもが何かに集中している時は声をかけず、
自分の力でやり遂げたり学びを得たりする成長を
見守ることが大切です。
モンテッソーリ教育を受けることで、
子どもの個性や自主性・積極性を
伸ばすことができるでしょう。
【参考】
子どもの自主性・才能を開花させる「モンテッソーリ教育」とは? – 子育て&教育ひと言コラム – 伸芽’Sクラブ – 受験対応型託児所
モンテッソーリ教育とは? 何が身につく? どんな教育? | 株式会社ブレイブ
シュタイナー教育
シュタイナー教育は、
哲学者ルドルフ・シュタイナーが
考案した教育方法です。
0~7歳を「からだ」、8~14歳を「こころ」、
15~21歳を「あたま」の3つに分け、
それぞれ7年かけて育てることで
バランスの取れた人間になると考えます。
そのため、シュタイナー教育専門の学校で
幼児期や小学校入学時から高校卒業時まで、
12~15年一貫教育を受けるのが一般的です。
シュタイナー教育は、自由な意思や感情で決定し
自主的に行動できる人間を育てる
「全人教育」を目的とします。
自然素材のおもちゃ・食べ物を取り入れる、
刺激を与えない空間作りや
抑揚をつけずに物語を読むなどの方法で、
人間本来の感覚を引き出し育てていくのです。
また、大人の発言や態度は子どもが見て学ぶため、
考え方や学習姿勢の見本となるよう努力することが
大切になります。
シュタイナー教育は、個性を伸ばしながら
柔軟な対応力を身につけ、多様性が求められる現代に
必要な教育としても注目されています。
【参考】
シュタイナー教育とは|メリット・デメリット・特徴・おすすめスクールなど | コエテコ
七田式教育法
七田式教育法は、
日本の幼児教育研究に携わった七田眞が
考案した教育方法です。
幼児期の才能を開花させ社会で役立てるためには、
知識だけでなく人の気持ちを考え思いやる心や
感性を育てることが必要だと考えます。
七田式教育法は、知育・徳育・体育・食育をベースに
子どもの全人格的な人間形成を目指し、
自らリーダーシップを取れる子を育てることが目的です。
右脳教育とともに左脳教育もバランス良く行い、
認めて褒め愛して育てる「心の教育」を大切にしています。
また、子どもの能力を引きだすためには
保護者のサポートが重要だとして、
親子関係や家庭環境を整える指導を
行っているのも特徴です。
【参考】
七田式教育公式 | 0歳から子どもの能力を伸ばす幼児教育と教室
家庭でも簡単にできる幼児教育の例
幼児教育は幼稚園・保育園や習いごとだけでなく、
家庭でも簡単に取り入れることができます。
ここからは、すぐにできる家庭での幼児教育の例を
紹介するのでぜひ取り入れてみてください。
【参考】
【家庭で幼児教育】今日からできる!共働きでも安心の5つの方法 | パスカルキッズマガジン
お手伝いをする
お手伝いは、子どもの社会性を育てることに役立ちます。
自分のことだけでなく、お手伝いをすることで
相手に感謝される喜びや、役に立てた達成感を通して
人の気持ちを考える力が育つのです。
お手伝いをする中でできることが増えれば、
子どもの自信につながります。
一緒に洗濯物をたたむ、お米を研ぐなど保護者の方と一緒に
コミュニケーションを取りながら行えると、
子どもの情緒安定にも効果的です。
本の読み聞かせをする
本の読み聞かせは、子どもの脳に
さまざまな刺激を与えることができ、
主に以下のような効果が期待できます。
- たくさんの言葉を見聞きすることで言語力や表現力が伸びる
- 本の内容を理解する力や、登場人物の気持ちを考える力が育つ
- 話の展開をワクワクしながら予想し、想像力を豊かにする
- 生活習慣やひらがな・数字などの知識を楽しみながら学べる
上記のように、本の読み聞かせは
さまざまな知識を得ることができる他、
言語力・表現力・理解力・想像力が養われ
コミュニケーション能力が向上します。
さらに、読み聞かせを通じて
保護者とのやりとりが増えることは、
子どもの情緒安定にも役立つでしょう。
生活習慣を身につける
生活習慣を家庭で身につけることは大切な幼児教育です。
規則正しい生活や整理整頓・挨拶や
身だしなみなどの礼儀は、
健康な生活や社会で生きていくための基礎となります。
生活習慣は、保護者が見本となり日々の生活を通して
繰り返し伝えながら、一緒に行うことが重要です。
早寝早起きやお片付け、
シャツをズボンやスカートの中に入れる、
挨拶をする・挨拶を返すなど、
一つひとつ丁寧に取り組んでいきましょう。
幼児教育に取り組むうえで重要なことは ?
幼児教育で重要なことは、
子どもが自主的に取り組むことです。
大人が指示を出し誘導するのではなく、
子どもが興味を示し「やってみよう」と
自ら行動を起こす環境作りを意識しましょう。
子どもにたくさん経験させたいと思うのは
とても良い事ですが、
本人が興味を持たない・やりたがらないことは
強制しないことが大切です。
その際「できた・できない」といった目先の結果よりも、
子どもが取り組んだ姿勢や頑張ったことを
認め評価することも心がけましょう。
子どもの行動や遊びの様子を観察して、
楽しく行えることや合っていることを中心に
進めていけると良いですね。
【参考】
幼児教育の重要性とは?教育手法の種類や注意点も併せて解説 | 東京で保育士・幼稚園教諭をめざす|日本児童教育専門学校
幼児教育にはどのような種類がある?幼児教育で大切にすべきこと
まとめ
幼児教育は文部科学省において、小学校入学前の子どもが
生きる力の基礎を培うことを目的に行うと示されています。
知識や技術を身につけ学習の成果を出すことよりも、
集団生活や家庭・地域社会すべてを通して経験することから
学び、豊かな人間性を育てることが大切です。
幼児教育は脳が急速に成長する3歳頃までに
始めると良いとされ、
好奇心や探求心・理解力・想像力・思考力・集中力など
さまざまな力の基礎を培うことができます。
世界中で取り入れられている
幼児教育方法も参考にしながら、
子どもの性格やタイプに合う方法で
自主的な学びをサポートできるよう工夫していきましょう。
幼児教育を通して、子どもの世界や可能性を
たくさん広げてあげたいですね。
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