乳幼児突然死症候群は、
ついさっきまで元気だった子どもが
睡眠中に突然死亡する病気です。
日本でも、6000~7000人に1人の割合で発症しています。
乳幼児死亡症候群になるリスクを下げるには、
- うつぶせ寝を避ける
- 母乳で育てる
- たばこの影響を与えない
- 暖め過ぎないようにする
ことが大切です。
この記事では、乳幼児突然死症候群とはどんな病気なのか、
いつ、どんな子どもがなりやすいのか、
予防するにはどうすればいいのかについて
詳しくご説明します。
乳幼児突然死症候群とは
乳幼児突然死症候群は世界中で発症している病気で、
日本での発症も問題になっていて、
令和2年の乳児の死亡原因3位になっている病気です。
ここでは、病気の特徴や日本での発症数、
日本の子がなりやすい年齢についてご説明します。
【参考】厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
乳幼児突然死症候群ってどんな病気?
この病気は、ついさっきまで元気だった乳幼児が
睡眠中に突然死亡する病気です。
死亡の原因となる既往歴がなく、
死亡する予兆も見られないのが特徴です。
睡眠中の窒息や事故による死亡は含みません。
起こる原因ははっきりと解明されていませんが、
- 脳機能の異常による覚醒反応の低下
- 先天性代謝異常
- 感染症
などが関係しているのではないかと考えられています。
【参考】厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインの公表について」
日本での発症数
日本では、6000~7000人に1人の割合で
乳幼児突然死症候群が起こります。
そのため発症率を減らすため、
予防法などの普及啓発運動が行われています。
その成果もあり、乳幼児突然死症候群は
以前に比べて減少傾向になっています。
平成9年には発症者が538人でしたが、
その後少しずつ減少し、
平成30年には61人までになりました。
その後少し増加し、令和2年は95人となっています。
令和2年の乳児の死亡原因は、
1位 先天奇形・変形および染色体異常
2位 周産期に特異的な呼吸障害および血管障害
3位 乳幼児突然死症候群
となっています。
乳幼児突然死症候群の発症率は低下していますが、
まだまだ注意が必要です。
【参考】厚生労働省 「11月は“乳幼児突然死症候群”の対策強化月間です」
厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
乳幼児突然死症候群になりやすい年齢
1歳未満の乳児が起こしやすく、
特に生後2カ月~6カ月の乳児によくみられます。
1歳以上が発症することは、ほとんどありません。
発症しやすい子の特徴や時期・時間帯
このような病気があると分かると、
自分の子が大丈夫なのか気になりますよね…
ここでは、どんな子が発症しやすいのか?
乳幼児突然死症候群が起きやすい時期や
時間帯について説明します。
発症しやすい子どもの特長
1歳未満の乳児が起こすのがほとんどで、
1歳以上で起こるのはまれです。
- うつぶせで寝ている
- 母乳で育っていない
- 両親が喫煙者でたばこの影響を受ける
このような条件に当てはまる乳児は、
乳幼児突然死症候群を起こすリスクが
高くなると言われています。
暖め過ぎの乳児も発症率が高くなるといわれています。
それ以外にも、次のような場合は乳幼児突然死症候群を
起こしやすい傾向があるといわれています。
- 男児
- 双子・三つ子などの複産児
- 出生体重が2500g以下の低出生体重児
- 妊娠36週未満の早産児
- 第3子以降の乳児
- 母親の年齢が25歳未満の乳児
【出典】厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインの公表について」
発症しやすい時期・時間帯
ほとんどが睡眠中におこります。
乳児は睡眠に適した環境や生活習慣が整っていないと、
しっかりと睡眠をとることができません。
睡眠リズムが崩れて、
睡眠不足になっているときには注意が必要です。
季節は12月以降の寒い冬が多く、
時間帯は早朝4時~午前中が多くなっています。
また、風邪などの感染症にかかっているときにも
起こりやすいといわれています。
これらの条件が複数重なることで、
起こる確率が高くなってしまいます。
子どもを暖めすぎるのは危険?
子どもを暖め過ぎることも、
乳幼児突然死症候群の発症リスクになるといわれています。
暖め過ぎを防ぐチェックポイントについてご説明します。
暖めすぎと発症リスクの関係
はっきりとした原因は解明されていませんが、
乳児を暖め過ぎることが
発症リスクになると考えられています。
乳児を暖め過ぎて体温が上がった状態で、
乳幼児突然死症候群を発症した例も報告されています。
乳児は体温調節機能が未熟なため、
環境からの影響を受けやすくなっています。
睡眠中に厚着したり、毛布をたくさん使用することで、
乳児の体温が上がり過ぎてしまう恐れがあるため注意しましょう。
室温も適温を心がけ、暑くなりすぎないよう気をつけましょう。
保育士が気をつけているチェックポイント
乳幼児を預かる保育園にはお昼寝の時間があるため、
睡眠中の乳幼児突然死症候群の発症を防ぐことが
重要になります。
暖め過ぎにならないよう、
保育士は次のことに気をつけています。
室温や湿度
常に適した室温・湿度になるように管理しています。
室温は夏が26~28℃、冬が20~23℃になるよう、
エアコンで調整します。
湿度は60%前後をキープできるように、
加湿器やエアコンの除湿などを利用して調整します。
窓を開けるなどして換気もこまめに行います。
子どもの様子
子どもの体温が上がっていないかをチェックします。
そのために、子どもの顔色、熱感、発汗、
呼吸状態などを観察します。
睡眠時には厚着しないようにし、
子どもが暑そうなときには、衣類や寝具で調整します。
家庭で出来る!乳幼児突然死症候群の対策
乳幼児突然死症候群を予防するには、
- うつぶせ寝を避ける
- 保護者の方がたばこをやめる
- 母乳で育てる
ことが効果的とされています。
詳しい予防方法と、
保育園で行われている予防についてご説明します。
うつぶせ寝は避ける
うつぶせ寝は乳幼児突然死症候群の発症リスクとなるため、
仰向けで寝せるようにしましょう。
子どもは生後4~6カ月ごろから
寝返りをするようになります。
けれど子どもの成長には個人差があり、
突然できるようになるため、
寝返りをしたことがない子どもも注意が必要です。
特に眠り始めのころは、仰向けで寝かせるようにしましょう。
子どもが自力で仰向けからうつ伏せ、
うつ伏せから仰向けになれるようになったら、
うつぶせ寝をしていても
仰向けに直す必要はないといわれています。
それまでは、うつ伏せ寝にならないように注意しましょう。
うつぶせ寝を避けることで、
窒息を予防することもできます。
マットや敷布団は固めのものを選び、
顔の周りにぬいぐるみなど口元を覆う恐れのあるものを
置かないようにしましょう。
掛け布団は分厚過ぎるもの、重すぎるものを避け、
顔にかからないようにしましょう。
たばこをやめる
保護者の方の喫煙も
乳幼児突然死症候群の発症リスクの一つです。
たばこは喫煙者本人だけでなく
周りの人の健康まで損なうため、
子どものためにもたばこをやめましょう。
妊娠中に喫煙すると、
低出生体重児になりやすいといわれています。
また、流産、早産になる確率が高くなります。
低出生体重児や早産は乳幼児突然死症候群に
なりやすい傾向があるため、
妊娠中の喫煙はやめましょう。
両親や周りの大人がたばこを吸うと、
子どもが受動喫煙してたばこの影響を受けてしまいます。
そのせいで、乳幼児突然死症候群、呼吸器疾患、
中耳炎炎などになるリスクが高くなってしまいます。
子どもの命と健康を守るためには、
タバコの影響を与えないようにすることが大切です。
医療機関で禁煙治療を行っているため、
禁煙が困難な方は相談してみるのもおすすめです。
できるだけ母乳で育てる
母乳で育てることで、
乳幼児突然死症候群の発症リスクを下げることができます。
それぞれご事情があると思いますが、
できるだけ母乳育児を心がけましょう。
母乳は赤ちゃんに必要な栄養が豊富で、
負担をかけずに吸収できるようになっています。
また免疫物質が多く含まれているため、
感染症などにかかりにくくする効果が期待できます。
母乳で育てたいけれど、母乳が出ない、
赤ちゃんが飲んでくれない…
さらに、胸が痛くて授乳できないなどの
トラブルがあるときには、
医療機関の母乳外来に相談するのがおすすめです。
母乳の分泌量には個人差があるため、
できる範囲で母乳育児を目指しましょう。
保育園で行われる予防の具体例
保育園では、室温、湿度などを管理して
睡眠に適した環境を保っています。
衣類や寝具など、子どもが身に着けるものも
適したものを使用します。
子どもが眠っているときには必ず保育士が同室し、
子どもの異常にすぐに対処できるように注意しています。
もし寝返りによって子どもがうつ伏せになった場合には、
保育士が仰向けに直します。
子どもの状態をしっかりと管理できるように、時間ごとに
- 顔色
- 皮膚の状態
- 熱感
- 呼吸状態
- 体位
などをチェックシートなどに記載します。
保育園によっては、マット式、
衣類装着式のモニターなどを使用して、
子どもの体位をチェックしているところもあります。
ほとんどの保育園で、乳幼児突然死症候群を
予防する取り組みが行われています。
まとめ
乳幼児突然死症候群を予防するには、
- うつぶせ寝を避ける
- 母乳で育てる
- たばこの影響を与えない
- 暖め過ぎないようにする
ことが大切です。
年齢としては生後1歳になるまでは、注意しましょう。
特に発症することの多い生後2~6カ月、
寒い冬季には注意が必要です。
乳幼児突然死症候群の予防を行い、
子どもの命を守りましょう。