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不妊について正しく知ろう!

本の山

不妊や不妊治療という言葉は、メディアなどでも

見聞きすることが多くなりました。

でも、具体的にどんなことだろうって

思うことはありませんか?

 

例えば、今の状態は不妊なの?

どのタイミングで、どんな病院に行った方がいいの?

具体的に何から始めたらいいの?

など、戸惑うこともあるかもしれません。

 

今回は改めて

  • 不妊ってどんな状況?
  • 不妊の原因
  • 男性、女性、加齢など

について正しく知るところから始めましょう。

 

「不妊」について正しく知ろう

 

本のインスピレーション

 

不妊とは?

そもそも不妊とは、どのような状態なのでしょうか。

 

「不妊」とは

カップルが避妊せず性交渉を行っているにも関わらず、

一定期間経っても妊娠しない状態を言います。

一定期間というのは、以前は2年とされてきましたが、

今は1年と定義されています。

 

ただこれは目安であり、排卵が無かったり、

子宮内膜症などの疾病があるなど

カップルのいずれか、

または両方になんらかの症状がある場合、

そして高齢の場合は、

妊娠がしにくいことがわかっています。

 

また、1人目は自然に授かったけれど、

2人目がなかなかできない2人目不妊や

妊娠はするけれど何回も流産している場合は

不育症の可能性もあります。

 

少しでも不安なことがあれば、

まずはカップルで子どもについて、将来について、

お互いどうしたいと思っているのか

話し合う機会を持つと良いでしょう。

そして、一定期間を待たず、

早めに病院での受診をおすすめします。

 

不妊の現状

どのくらいの方が不妊に

悩んだりしているかご存じですか。

 

不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック
(厚生労働省 令和5年度)によると、


不妊を心配したことがあるカップルは全体の約2.6組に1組。
実際に不妊の検査や治療を行けたことがある(又は現在受けている)カップルは全体の約4.4組に1組の割合。


 

そして生殖補助医療による出生児の割合も増え続け、

2021年では約12人に1人の割合になります。(図1)

 

生殖補助医療による出生児の割合

(厚生労働省 図1「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」)

 

こうした中、以前は自由診療で

経済的な負担が高かったのですが、

2022年4月より体外受精などの不妊治療が

保険適用になりました。

ただし、体外受精・顕微授精の年齢制限や

年齢によって回数の上限があります。

 

不妊治療の保険適用条件

 

また、保険診療になったため

高額療養費制度も利用できるようになり、

以前に比べると経済的な負担が軽減されています。

しかし、現在混合診療が禁止されているため、

保険診療と自由診療の併用はできません。

※自由診療である先進医療は保険適用と併用できるものがあります

 

自治体によっては不妊検査や先進医療などの

費用の一部を助成してくれるとこともありますので、

お住まいの自治体の情報を確認したり、

相談してみてください。

 

保険適用になったことで

不妊治療の経済的なハードルが下がり、

以前より医療機関に早めに通院する人が増えて、

仕事しながら不妊治療をしている人も増えています。

 

この仕事と不妊治療の両立については、

厚生労働省「令和5年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」では

「仕事と両立ができない人は4人に1人以上」

NPO法人Fine「仕事と不妊治療の両立に対するアンケート2023」のアンケーと結果では、

「治療が長くなるにつれ、両立が困難で退職が4割」

という結果でした。

 

不妊治療をスタートする時には、

仕事をしながら不妊治療をする場合を想定して、

会社で利用できる制度を事前に調べたり、

相談できるのであれば上司などに相談したり、

仕事と治療が両立できるような病院選びなど

負担を少しでも減らせるよう検討すると良いでしょう。

 

 

不妊の原因

 

昔は、不妊の原因は女性にあると

思われることが多かったのですが、

世界保健機関(WHO)の不妊症の原因検査によれば

男性のみ24%、女性のみ41%

男女ともにあり24%、原因不明11%

で、男女ともに半々に原因があることがわかっています。

 

不妊症の原因調査

(こども家庭庁HPより)

 

その他に、加齢、ストレスや冷え、飲酒、

生活習慣の乱れ、喫煙、肥満、痩せすぎ、過度な疲労

なども影響があるといわれています。

 

女性、男性とも検査をして原因がわかるものがあれば、

検査ができない原因のもの

(卵管のピックアップ障害や授精障害など)もあります。

また、検査をしても特に原因がない場合でも

なかなか妊娠できない場合もあります。

 

下記に述べる女性側、男性側の不妊原因もあれば、

男女ともに原因の可能性がある性交障害や

抗精子抗体(精子を排除しようと精子の動きを妨げる抗体)

過去の性感染症(クラミジア、淋病)などがあります。

このようなことから、まずはカップルで一緒に

受診や検査などを受けるのが望ましいでしょう。

 

女性の場合

女性側の原因としては

主に以下のようなものが挙げられます。

  • 排卵因子…排卵が起こらない、多嚢胞卵巣症候群、早発卵巣不全など
  • 卵管因子…卵管が詰まっているなど
  • 頚管因子…子宮内に精子が侵入しにくくなるなど
  • 子宮因子…子宮筋腫や子宮の先天的な形態異常、着床障害など

 

年齢が若くても卵子の数が少ない場合や

生理不順があったり、

基礎体温をつけて低温期や高温期のグラフの変化がない、

子宮内膜症や子宮筋腫がある場合は、

早めに婦人科や不妊治療専門病院に相談してみましょう。

 

男性の場合

男性側の原因としては、精子の異常と性機能障害で、

主に以下のようなものが挙げられます。

  • 性機能障害…勃起障害(ED)膣内射精障害など
  • 精路通過障害…閉鎖性無精子症
  • 造精機能障害…精子を作る機能に障害(非閉鎖性無精子症、乏精子症など

 

男性不妊の要因調査

(こども家庭庁HPより)

 

閉鎖性無精子症は、

精子は作られているにも関わらず、

精子の通り道が閉塞しているため

精子が出られない状態です。

非閉鎖性無精子症は、

精巣内で精子が作られていない状態です。

これらは、精巣内精子再手術(TESE)

精子が採取できれば顕微授精に進みます。

 

精子はストレスがかかっていたり寝不足など、

喫煙などで運動率が悪くなったり

精子の数が悪くなるといわれています。

十分な睡眠、禁煙、適度な運動、バランスのいい食生活

などに改善していきましょう。

 

加齢

男女ともに年齢が上がるほど

妊娠しづらいといわれています。

 

女性の卵子は母親の胎内にいる頃に

一生の間に排卵する卵子を持っており、

月経の度に、また何もしなくても卵子が減っていきます。

そして年齢が上がるにつれて卵子も年を取って、

妊娠しづらくなります。

35歳を過ぎると妊娠率が大きく減少します。

 

男性の精子は精巣の中で常につくられていますが、

数や運動には個人差があります。

35歳ごろから徐々に精子の質の低下していきます。

 

年齢とともに妊娠、出産率も低くなり、

妊娠しても流産してしまう確率も高くなります。(図2)

 

生殖補助医療妊娠・流産率

(こども家庭庁HPより)

原因として卵子や精子の質の低下や

子宮内膜症などの合併症が増えることが

考えられますので、35歳を過ぎたら

体外受精を受けるという選択肢もあります。

 

【参考文献】
浅田義正 河合蘭「不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる妊娠への近道」講談社2023年
辰巳賢一「名医が優しく教える不妊治療のすべて」河出書房新社2022年
松林英彦{初めての妊活辞典}朝日新聞社 2023年
子ども家庭庁
一般社団法人 日本生殖医学会 
公益社団法人 日本産科婦人科学会
不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック

 

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