はじめに
今回は、産前・産後の里帰り出産について
お話をしたいと思います。
里帰り出産とは、
妊娠後期になって、出産が近くなったときに、
ママがご自身もしくはパパの実家へ行き、
出産後もしばらくご家族の支援を受けながら
子育てをする日本の風習です。
里帰り出産をするかしないか、
またその期間は、各家庭でよく相談をして、
自分たちに合ったやり方を
選択していただければと思います。
里帰り出産の体験談
里帰り出産をした場合、
しなかった場合のママの体験談をご紹介します。
里帰り出産をしたママの体験談
最初は母に赤ちゃんのお世話などを手伝ってもらって助かりましたが、徐々に授乳のことなど言われるのがストレスになり、予定より早く自宅に戻りました。
出産までの期間は、親との時間をゆったり過ごすことが出来ました。
出産後も、子育ては大変ですが、自分は子どものお世話だけをしていればいい状況で、生活面は親にお任せできたので、安心して過ごせました。
ただ、自宅に戻ったのが3ヶ月になった頃なので、赤ちゃんはあっという間に大きくなっていて、夫とは一緒に子育てをしている気持ちになれなかったのが残念でした。
里帰り出産しなかったママの体験談
産後のヘロヘロの時期の受診は、赤ちゃんをお願いする人を探したり、タクシーを手配したりして、とても大変でした。
私もそんな両親に気を遣い、頼っている感じがしなくて、里帰りすれば良かったと後悔しました。
旦那は手伝いに来てくれる母に甘えて、結局何もしてくれませんでした。
このように、里帰り出産をした場合もしない場合も、
それぞれに良かった点、良くなかった点があります。
ご夫婦で、里帰り出産をするかどうか選択する際に、
こうした体験談も参考にしていただきたいと思います。
ここからは、里帰り出産しない場合の準備やコツについて
お伝えしたいと思います。
里帰りしない場合の長所・短所
長所
- 慣れた環境で出産・育児に臨める
- 産院を変える必要が無い
- 出産に立ち会える可能性が高い
(今はコロナ禍から立ち会い出産を止めている産院もあります) - 退院直後から夫婦二人で子育てをスタートし、
父親としての実感がわきやすい - 夫婦で赤ちゃんがいる暮らしに、
早くから慣れることができる - 上の子の生活パターンを大きく変えなくてもよい
短所
- 家事や子育てへの負担が強くなる可能性があり、
産後の休息をとりにくい場合がある - 実家が遠方で支援が受けられない場合、
パパの負担が大きい場合もある - 支援者がパパのみの場合、赤ちゃんと二人で
過ごす時間が多く、孤独を感じやすい - 支援サービスを利用する場合、料金の負担や気遣いがある
- 両親に来てもらった場合、ママ・パパとの関係が
ストレスになる場合がある - 赤ちゃんと上の子のお世話もすることになり、
負担が大きい可能性がある
里帰り出産しないママ・パパの心得
里帰り出産をしない場合に、
知っておいてほしいことなどを紹介します。
妊娠後期の心身の変化と過ごし方
妊娠中、出産まで元気に過ごせるといいのですが、
お腹の赤ちゃんの成長とともに身体も重くなり、
日常生活で思うように動けなくなる部分もあります。
パパと家事など協力しながら過ごすことになりますが、
1人でいる時や外出している時に
身体の急な変化を感じることもあるかもしれません。
里帰り出産をする/しないに関わらず、
より元気に過ごせるように、
適度に身体を動かし、身体的なセルフケアや
適切な食事等に気をつけましょう。
また、疲れを感じた時や活動量の制限等
産院から指導を受けた時には、
無理せず休息をとり、
ご自身の身体を大切に過ごしていきましょう。
いろんな人に助けてもらう
上記のように、妊娠中は急な変化を
感じることが少なくありません。
しかし、パパに連絡しても、
仕事ですぐに対応できないという場合もあるでしょう。
パパの他にも、助けを求める人を決めておきましょう。
実際に来てくれる人や、電話で相談にのってくれる人など、
すぐに頼れる人が何人かいると安心できます。
その人によって対応できる曜日や
動きやすい時間帯が違うかもしれませんので、
複数の人に頼れる関係作りが望ましいです。
そして、日頃からどんな様子なのか伝え、
出産間近なときも、いざお産となったときにも
助けてもらえるように、声をかけておくことが大切です。
急な体調の変化やお産のときには、
どうしても慌ててしまいます。
慌てていても連絡できるように、
また外出先で他の人にお願いもしやすいように、
連絡先のメモを常に持っているといいですね。
里帰りする場合でも、
緊急時の連絡先を分かるようにしておくことは大事です。
産後は絶対安静
出産後は、身体に大きなダメージを受け、
それらが回復するために安静が必要で、
赤ちゃんのお世話以外は、
絶対安静が望ましいという時期があります。※1
この産後直後の大事な時期を家族みんなで、
どう乗り越えていくのかがとても大事です。
里帰り出産をしなかった場合、
下記のような選択をするご家庭が多いです。
- パパが仕事を休む(育休)
- 両親・兄弟などに来てもらう
- 地域のサービスを活用する
※産後ケア(宿泊型・日帰り型・訪問型)などの
行政のサービスや、ベビーシッターなどの民間サービスなど
産後直後、ママひとりで赤ちゃんや
上の子のお世話、家事までして
しばらく経ってから具合が悪くなる場合もあります。
ママがちゃんと休める環境を作っておきましょう。
パパが育休をとる場合
「育児休業制度について」 令和元年12月26日厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課
近年では、制度上でも定められていることから、
父親の育児休業を勧める会社も増えています。
育休は、出産直後だけでなく、
数か月経ってからでも取ることができます。
例えば、産後直後に2週間、
3-4ヶ月経ってから2-3週間という取り方ができます。
しかし、制度はあるけれど、実際には取りにくいと
思っているパパがいるということも耳にします。
一方でママの中には、
「育休よりも早く帰れるように調整してほしい」と
思っている方もいます。
それぞれの家庭で、パパ自身が会社で、
育休の取り方をよく話し合って、
必要時にスムーズに休みに入れるように
準備しておきましょう。
ご両親・兄弟などがサポートしてくれる場合
実母や義母をはじめ、兄弟等、自宅に来てもらう場合、
通うのか泊まるのかは、実家との距離にもよります。
2週間程度(出産後3週間)は、
毎日誰かに支援してほしいものです。
支援に来てくれる方も、慣れない家でのサポート、
ましてや赤ちゃんのお世話というのは、
気を遣って結構疲れることです。
ご両親や兄弟など、交代でサポートしてもらうなどして、
来てもらう期間をよく相談して決めておきましょう。
ご両親や兄弟が来ている時は
パパがお仕事のことも多いですが、
出産直後から徐々に慣れていけるよう
パパも積極的に赤ちゃんに関わりましょう。
産後のママは、ホルモンバランスや心身の疲労のために、
気持ちが不安定になることも多く、
その時期に両親とぶつかったという話も聞きます。
産後は心身が不安定になりやすい時期だということを
みんなが知っていましょう。
そして、産後どうして欲しいかをママは具体的に伝え、
パパたちはそれを尊重できるようにしましょう。
例えば、授乳など、ママ自身のやり方を尊重したいと伝え、
周囲もそれを支援しましょう。
ママやご両親が相談できる先を情報共有しておくことも
大事になってきますね。
地域のサービスを活用する場合
家族などの支援者が少ない場合は、
お住まいの地域の支援サービスを
受ける方もいらっしゃいます。
産前産後に、どんな支援があるのか、
妊娠中に調べておきましょう。
生まれる前から利用手続きができるものもありますので、
出来る手続きは早めにしておきましょう。
民間でのサービスも同様です。
生まれる前から問い合わせをして、
必要な手続きはしておきましょう。
中には手続きの段階で有料のものもありますので、
よく確認して進めていきましょう。
産後の辛い時期になってから、
色々調べて手続き作業をするのは、
想像以上に大変なことなので、
産前から準備をしておきましょう。
そして、これらをパパやご家族と情報共有して
速やかに利用できるようにしておきたいですね。
産後の安静や公的支援についてこちら
出産前に夫婦で産後のサポート体制を考えよう!【NPO法人はっぴぃmama応援団】
出産前に準備しておくと良いこと
入院~退院後の生活環境を整える
出産は、予定日が目安にはなりますが、
体調の変化で急な入院を強いられることもあります。
妊娠中の早い段階から、入院しているときのパパや上の子の
生活についてシミュレーションをしておきましょう。
炊事・洗濯などの家事全般をパパ自身ができる方でも、
普段からやっていないと、いざという時に物品の場所が
わからないなんてこともあります。
産後直後だけではなく、これからの生活の中での
家事分担も含めて、協力体制を話し合っておきましょう。
また、出産後赤ちゃんを連れて帰ったら、
産後3週間まではママと赤ちゃんは
お布団を敷いたまま過ごすのが理想的です。
赤ちゃんのお世話は昼夜なくありますので、
おむつ替えや授乳をするスペースなどが必要ですね。
おむつを替えるということは、
- 新しいおむつの置き場
- 替えたものを入れるゴミ袋
- 捨てるゴミ箱など
必要なものを置くスペースが必要です。
授乳には、ママが座りやすいスペースが最低限必要ですし、
ミルクの保管場所、哺乳瓶やその消毒等々の物品も
必要かもしれません。
このように、出産後に必要なものを
どのように配置するのかも、
夫婦で話し合って決めておきましょう。
最終的には入院中に準備が整うといいですね。
そのためには、パパの活躍が期待されるところです。
兄弟児との関わり方を考える
上に兄弟がいて入園していると、
それを理由に里帰りしないということはよくあります。
ただ、兄弟のお世話にママが疲れてしまうことも多いです。
ママのお腹が大きくなると、
上の子の甘えが強くなってくることも。
俗にいう「赤ちゃん返り」となるお子さんも多いです。
そんな時の対処法で一番のおすすめは、
とにかく出産前に目一杯甘えさせてあげることです。
子どもは、甘えたいときに甘えられることで
安心して成長していきます。
特に、ママの妊娠中は、
子どもも少し心配もしているかもしれません。
可能な限り、甘えさせてあげてください。
しかし、ママの心と身体が一番なので
もちろん無理はせず、
パパと兄弟との時間を多く持つなどの工夫もしましょう。
出産後は、
「あなたもこんな赤ちゃんだったんだよ。みんなに愛されて生まれてきたんだよ。」
と自分も愛されてきたんだということを伝えていきましょう。
そして「一緒に赤ちゃんのお世話をしていこうね」と
兄弟を育児に巻き込んでいきましょう。
例えば、おむつを取ってきてもらうなど、
役割を与えることはとても大事です。
この時、無理に何かを手伝わせようということではなく、
やってくれたら「ありがとう」と感謝を伝えましょう。
そして日頃から
「お兄ちゃん・お姉ちゃんがいてくれてホントよかったよ。」
と無条件で存在を認めていることを伝えていきましょう。
兄弟も赤ちゃんがいる暮らしに慣れ、
赤ちゃん返りが落ち着くまで時間が必要です。
みんなで一緒に、徐々に慣れていきましょう
もしも一人の時に陣痛がきたら?
陣痛は、いつ起きるか分かりません。
一人でいる時に陣痛が来たときの対処法や
そのための準備についてお伝えします。
誰に連絡する? どうやって産院へ行く?
出産の時はもちろん、妊娠中の異変があった時や
産後1ヶ月ほどは、ご自身で運転することはできません。
パパやパパ以外の方に、運転をお願いすることになりますが、
陣痛はいつくるか分からないので、
事前にそれぞれのご都合などは聞いておきましょう。
予定日が近くなったら、
日頃から現在のお腹の様子などをお伝えし、
心の準備をしていてもらうといいですね。
家族や知人が難しい場合は、 タクシーを利用しましょう。
地域によっては、出産や子育て中の方向けに、
安心してタクシーを利用できるサービスを
提供しているところもありますので、
事前に調べて必要な登録等は済ませておきましょう。
移動中に陣痛が強くなって破水する場合もあるので、
車に乗る時にはバスタオルなどを敷いて座ると安心です。
また、動けないほどの激痛や大量出血、
お腹がずっと硬く張っているなどの症状がある場合には、
救急車が必要な状況かもしれません。
上記のような症状がある場合は、
すぐに産院に相談しましょう。
入院時の荷物は早めにまとめる
入院時の荷物は、34週くらいまでにまとめておきましょう
とも言われますが、早めに準備しておいて、
34週くらいになったら再度チェックするようにしましょう。
出先で陣痛が始まり、
荷物を取りにいけないこともあるかもしれません。
荷物はわかりやすい場所に置き、
パパにも他の家族にもわかるようにしておきましょう。
まとめ
出産時の里帰りをするかしないか、
どちらがいいということはありません。
どちらにしても、事前の準備がとても大事です。
そのための、ご夫婦やご家族での
話し合いがとても重要になります。
今後も、いろいろな局面で選択を迫られることは多いです。
夫婦生活においても、子育てにおいても、
話し合える関係性がとても大事ですので、
産後に向けていろんな話をしながら、
赤ちゃんを迎える準備を進めていってください。
赤ちゃんを取り囲むみんなが不慣れで不安です。
それでも、人は、家族や社会で子育てをしていくものです。
いろいろな方の手を借りながら、
みんなで子育てしていきましょう。
NPO法人はっぴぃmama応援団の相談事業はこちら
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