妊活中の方や妊婦さんには葉酸が必要というのは
よく耳にするようになってきました。
しかし、お腹の赤ちゃんが葉酸を
特に必要とする時期は決まっているため
妊娠初期に飲み始めても十分な効果を得られない
場合があると知っていますか?
葉酸サプリはいつから飲み始め、
いつまで飲み続ける必要があるのか
助産師が解説します!
葉酸とは
葉酸とはビタミンB群の水溶性ビタミンで、
わたしたちの身体の中で血を作り出す作用があります。
お腹の中の赤ちゃんや、生まれてすぐの赤ちゃんの
神経系を作る役割もあるので、
妊婦さんにおなじみの栄養素となっています。
不足すると妊婦さんは巨赤芽球性貧血(※)や口内炎、
下痢などが生じることがあります。
(※)巨赤芽球性貧血とは細胞分裂障害が起こり、
赤血球に成熟しきれていない大きな赤血球(巨赤芽球)によって
貧血状態となることをいいます。
葉酸に加えて、ビタミンB12の欠乏も原因になります。
葉酸は不足しやすい?
しかしながら、葉酸はレバーや緑黄色野菜に
ある程度の量が含まれています。
腸内細菌が合成してくれることもあるため、
普通の食事をしていれば欠乏症は起こりにくい
と考えられています。
ただし、
- 抗けいれん薬
- 経口避妊薬(ピル)
- 抗がん剤
これらの薬剤を使用中の方は
葉酸の消費量が増えるため、
欠乏症が起こりやすくなると言われています。
妊婦さんは赤ちゃんを発育させるために
葉酸が使われるので、
普段よりも多めに摂取する必要があります。
妊娠初期の葉酸摂取はもう遅い
妊婦さんが摂取した葉酸はお腹の赤ちゃんの
神経系を作るのに役立っており、
葉酸が不足した場合には、
神経管閉鎖障害(※)の発症の危険性が高まります。
(※)神経管閉鎖障害とは
脳や脊柱が上手に閉じなくなる先天性の病気のことで、
無脳症、脳瘤、二分脊椎等が含まれています。
実は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害は妊娠6週頃に発症すると
考えられています。
妊娠6週頃とは、生理が2週間程度遅れ、
もしかして妊娠したかも?と気づく時期でもあります。
つまり妊娠に気付いてから葉酸を摂取しても、
赤ちゃんの神経管閉鎖障害は防げない可能性が高いのです。
このことから葉酸は妊娠する1か月前から
摂取する必要があると言われています。
葉酸を飲み忘れていたら?
赤ちゃんの神経管閉鎖障害予防に葉酸は有効です。
しかし、この病気の原因は他にもあるため
葉酸不足だけで引き起こされるわけではありません。
また、妊娠前から葉酸をきちんと摂取していても
赤ちゃんがこの病気になる場合もあります。
発症割合は1万人の赤ちゃんのうち6人前後と
言われているため葉酸摂取ができていなかったことを
過剰に責める必要はないと考えます。
心配しすぎるよりも、赤ちゃんのために
バランスのよい食事を取ったり
ストレスを溜めないようにしたりと
できることはたくさんあります!
摂取量はどれくらい?
葉酸が赤ちゃんの神経系の発達に重要だと言われると
たくさんの量が必要な気がしてきませんか?
葉酸は赤ちゃんの発達に大切な栄養素ですが、
摂りすぎは悪影響を与えてしまう可能性があります。
そのため、バランスのよい食事に加えて
1日に必要な葉酸の量は0.4㎎(400μg)である
と言われています。
1日に1mg(1000㎍)以上摂取した場合、
本来は別の原因で生じている症状が
高容量の葉酸によって打ち消されてしまい、
発見が遅れる可能性があります。
医師の管理がない場合、自己判断で必要以上の
葉酸を摂取することは危険なので
注意しておきましょう。
たくさん摂取した方がいい人とは
神経管閉鎖障害の赤ちゃんを産んだことのある方は、
そうでない方と比較すると10倍以上、
神経管閉鎖障害の赤ちゃんを産む危険性が
高くなると言われています。
そのような方は、医師の管理のもと
妊娠前から1日4~5㎎の葉酸を
服用することが推奨されています。
かかりつけの医師と
しっかり相談してくださいね。
いつまで摂取する?
妊娠中ずっと1日5㎎以上の葉酸を摂取した場合、
赤ちゃんが1歳になった時に
運動神経の発達が遅れる可能性も報告されているため、
摂りすぎにも注意が必要です。
神経管閉鎖障害の赤ちゃんを産んだ経験のある方でも
妊娠12週以降の摂取量は1日0.4㎎にすることが
望ましいとされています。
厚生労働省は
- 妊娠を計画中、妊娠初期は0.4㎎
- 妊娠中、後期は0.24㎎
の葉酸を通常の食事+αで
摂取することが望ましいとしています。
出産まで摂取が必要な葉酸ですが、
くれぐれも過剰摂取には注意しましよう。
サプリで摂取して大丈夫?
皮膚が赤くなる、かゆくなるなどの
過敏症が出る場合を除いて、
副作用はほとんど報告されていないため
サプリで摂取することは問題ないと思われます。
食品中の葉酸はポリグルタミン酸型として存在しており、
熱や光に弱く、吸収率は50%程度だと言われています。
一方サプリで使用されている葉酸は
モノグルタミン酸として存在しており、
加熱処理でも効果が弱まることはなく、
効率よく吸収されると考えられています。
よって、食事に加えて葉酸を
サプリで摂取することが推奨されています。
妊娠を計画している方は、今のうちから
葉酸サプリを選んでおきましょう!
妊娠がわかった方も
飲み続けやすいサプリを探してみてくださいね。
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【参照】
産婦人科診療ガイドライン 産科編2020 CQ105
改訂6版 臨床栄養ディクショナリー