妊活を始める前に、
二人の希望や思いに温度差はありませんか?
前回の記事でもお伝えしたように、
妊活をスタートするにあたって、
妊娠・出産がゴールではありません。
妊娠・出産がスタートであるという長期的な視点をもって、
お二人の「みらい」をイメージしてみましょう。
今回の記事では、妊活中のコミュニケーションについて、
その実態調査を紹介しながら、
「妊活みらい会議™」についてご紹介します。
お互いの考えや希望を共有しながら妊活している
スミセイ「仕事と妊活・不妊治療の両立に関するアンケート(2022/3/23)※1」によると、
妊活中または1年以内に妊活を
予定しているカップルにおいて、
「妊活に関してあなたはパートナーの考えや希望を理解していると感じますか?」
の問いに対して、
「理解している」または
「どちらかといえば理解している」と答えたのは、
男性84.1%、女性84.0%でした。(グラフ1)
また、
「妊活に関してパートナーはあなたの考えや希望を理解していると感じますか?」
については、
「理解している」または
「どちらかといえば理解している」と答えたのが、
男性79.8%、女性79.4%でした。(グラフ2)
このグラフからは、多くのカップルが
「お互いの考えや希望を共有し、理解しながら妊活に取り組んでいる」
と感じながら、妊活に取組んでいると言えそうです。
※1 住友生命「仕事と妊活・不妊治療の両立に関するアンケート(2022/3/23)」
しかし、NPO法人Fineで実施している「不妊ピア・カウンセリング」では、
- いざ妊活を始めたら、お互いの気持ちに温度差を感じる
- 夫が気持ちをわかってくれない
- カップル間で治療に対しての温度差がある
- いつまで不妊治療を続けるのか意見が食い違っている
など、カップルのコミュニケーションについての
相談が多いのが現状です。
妊活に関する考えや希望は互いに理解しているはずなのに、
なぜ実際の相談では、
そのような声が聞こえにくいのでしょうか?
パートナーの妊活への取組みに対する満足度の裏側
先に紹介した
「仕事と妊活・不妊治療の両立に関するアンケート(2022/3/23)※1」において、
「パートナーの妊活への取り組みに満足していますか?」
という問いに対して、
「満足している」または
「どちらかといえば満足している」と答えたのは、
男性89.2%、女性72.0%。
男女間で17.2ポイントの開きがあることが
わかりました。(グラフ3)
また、「どちらかといえば満足していない」、
「満足してない」は、
男性10.9%、女性28.0%という結果であり、
特に女性側が満足していない状況が見られました。
実は
「妊活に関する考えや希望を理解している」と言っても、
子どもは何人望むのかなどの詳細な部分では、
自身とパートナーとの間で思いや
希望が異なっていることが多いのです。
普段はとっても仲良しの二人なのに、
妊活が原因でイライラしたり、憂鬱な気持ちになったり、
お互いの気持ちを思いやれない状況になってしまう。
「妊活は二人で行なうもの」なのに、悲しいですよね。
そこでおすすめしたいのが、「妊活みらい会議TM」です。
妊活みらい会議TMのすすめ
「妊活みらい会議™ 」とは、
二人の妊活について、
また将来のビジョン(未来像や展望)を共有し、
気持ちを一つにすることを目的に話し合いをすることです。
妊活に関わる将来のビジョンは多岐にわたります。
例えば「子どもが欲しい」だけでは、
1人なのか、2人なのか、具体的にはわかりません。
もしお互いに3人の子どもをと願ったとき、
妊活を始める時期やカップルの年齢についても
意識を合わせておかなくてはいけません。
そして、妊娠するまでの期間や
具体的にどんな行動をしていけばいいのか、
お互いに情報を共有しておくことも必要です。
子どもが欲しいと望んでも、
すぐには授からない場合もあります。
そんな時、不妊治療を受けるのか、
それとも自然に授かることを待つのか。
さらに不妊治療を受けるとしたら、
どのような医療機関で、
どのような治療を、
いつまで続けるのか。
いくらまで不妊治療にお金を使えるのか
などを、さらに一歩踏み込んで考えてみましょう。
2022年4月から不妊治療が保険適用となりましたが、
保険適用の治療を選ぶのか、
それとも自費の治療を選ぶのかも重要なポイントです。
また、不妊治療は主に女性側に対して行なわれる
治療になりますので、
不妊治療をしながら仕事はどのように両立したいのか、
職場で使えるサポート制度などはあるのかなど
共有しておくことも必要でしょう。
私たちが実施している
不妊ピア・カウンセリングの相談でも、
「自身は体外受精や顕微授精にもチャレンジしたいのに、パートナーに『そこまで考えていない』と言われてつらい」
「不妊治療にかかる費用についてパートナーの理解が得られない」
「◯◯歳だからもう治療はやめようと言われたけれど、あきらめられない」
「二人目を望んでいるけれど、パートナーが同じ思いではなかった」
といった、
カップル間での細かい共有ができていなかったために、
お互いを思いやれない状況になっているカップルが
多数いらっしゃるのも事実です。
そして、妊活の話し合いで重要なのは、
もし子どもを授からなかった時のことを
話し合っておくこと。
夫婦二人の生活を選択するのか、
それとも里親制度や特別養子縁組制度も考えるのか…
妊活を始める段階でこのようなことまでお互いの気持ちを共有し、
イメージしておくことも大切なポイントです。
そんな先のこと決められないと思うかもしれませんが、
途中で気持ちが変わってもいいのです。
実際にイメージしておくことで、後から慌てることなく、
お互いの気持ちを理解することができると思います。
また、時間が経てば
気持ちが変化することもあるでしょうから、
定期的にパートナーと
「妊活みらい会議TM」を行なうことで、
その時々の気持ちを共有しておくといいでしょう。
妊活のゴールは妊娠・出産はありません。
出産後の生活や仕事について
イメージすることも大切な視点です。
妊活も育児も、どちらか一方だけに
負担を強いるのではなく、
二人で話して、二人で一緒につくっていく生活です。
長期的な視点を持って、
みらいの計画を立てていただきたいです。
ぜひ二人でお茶を飲みながら
ゆっくりと取り組んでみてくださいね。
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