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不妊治療に関わる医療施設の転院を検討するときのポイント

ひらめき

不妊治療に取り組む過程で、「転院」を考えるとき。

それはひとつの大きな決断であり、

思い悩むことも多いかもしれません。

 

「治療中、ほかの病院に移ってもよいのでしょうか?」

不安に感じる人も多いかもしれませんが、

答えは「イエス」です。

なぜなら、病院選びはあくまでもご自身とパートナーとの

意思決定によるものだからです。

 

お二人にとって、より良い選択ができるよう、

不妊治療医療施設の転院に関するポイントを

見ていきましょう。

 

 

決してめずらしくない、不妊治療における転院

 

きっかけ

 

転院のきっかけとは?

体外受精など、次のステップへの挑戦【ステップアップ】

一般不妊治療(タイミング法・人工授精)から、

高度不妊治療(体外受精・顕微授精)へ

 

移行することを「ステップアップ」と言い、

それは年齢や治療内容等を考慮しながら

決定していくことが必要です。

 

一般的に人工授精(AIH)での妊娠率は、

施行回数6回程度で頭打ちとなり、

それまでに妊娠に至らない場合は

体外受精に移行することが望ましいとあります。

 

年齢にもよりますが、

何回かトライして妊娠しなければ、

次の治療として体外受精、または顕微授精を

視野に入れることになります。

(一社)日本生殖医学会 より

 

今通っている医療施設が

一般不妊治療までしか対応していない場合は、

必然的にステップアップが可能な

他の施設を検討しなければなりません。

体外受精などの説明会を定期的に

開催しているところも多いので、

早めに情報収集を始めるといいでしょう。

 

現在の医療施設では行っていない治療や検査を希望【治療方針】

同様に、体外受精とひとことで言っても、

例えば卵巣刺激の方法は低刺激または高刺激のみなのか、

周期ごとに選択することが可能なのか、

治療方針は施設によってさまざまです。

 

今後、どのように不妊治療を進めていきたいのか。

その治療法や検査は新しい病院で

受けることはできるのか。

病院のホームページや説明会を活用しながら、

疑問をクリアにしていきましょう。

 

転勤や勤務スタイルの変化など【環境の変化】

  • 遠方へ引っ越すことになった。
  • 忙しい部署に異動し、診察時間内に通えなくなってしまった。

 

この場合も、すみやかに新しい医療施設選びを

進める必要があります。

エリアに分院や系列の医療施設をもつ場合も

十分考えられますので、事情をお話し、

医師や看護師に相談してみるのもよいでしょう。

 

ただし、

「紹介先の大学病院の初診が2カ月待ちだった」など、

患者数が多い場合、時間的なロスが

発生してしまうケースも否めません。

検討の際は、実際の交通手段や

往復にかかる時間を確認し、事前に通院の

シュミレーションをしてみるのもおすすめです。

 

データで見る、転院に関するホンネ

「特別な理由がない限り、病院を変えるのは好ましくない」

転院に関しては、そう思われるかもしれません。

筆者も、不妊治療を始めた頃は

「担当の医師に転院を言い出しづらいな」

と感じていました。

 

しかし、10年以上の不育・不妊治療のなかで

計4回の転院を経験し、最終的には納得できる形で

治療を終結することができました。

 

NPO法人Fineが2020年に実施したアンケート

どうする?教えて!病院選びのポイント」(計5,140人が回答)

によると、

「転院したことがある」と答えた人は53%、

「検討中」「検討したことはある」を含むと65%

実に半数以上の人が検討し、

実際に転院を経験したことがわかります。

 

また、患者の約7割が

2回以上の転院を繰り返しています。

 

不妊治療における転院は決してめずらしくない

ということがわかりますね。

 

 

転院先の選び方は?

 

選び方

 

ホームページなどで情報収集

では、どうやって転院先を選んだらいいの?

不妊治療はまさに「決断の連続」

と言っても良いと思います。

 

医療施設のホームページをはじめ、掲示板の口コミや

個人ブログ……と、多種多様な情報を得ることができる

インターネットやSNSにある情報。

手軽で便利なツールですが、

自分の視点で信頼できると思える発信元の情報を

上手に選びとっていくことが大切です。

 

自分に合った不妊治療医療施設の選び方【NPO法人Fine】

こちらにもまとめていますので、ぜひご参考に。

 

体外受精説明会や医療施設見学会へ

ネットやSNSでの情報とは違い、

こちらはリアルに体感してみる方法です。

 

土日の無料セミナーや、院内見学会を

実施している医療施設が多くありますので、

スケジュールを調整して足を運んでみましょう。

医師や看護師、時には胚培養士の方が

説明してくださるケースもあり、

疑問に思ったことは迷わず質問をすると良いでしょう。

その際の対応や、感じとった印象も

病院選びの貴重な判断材料になるはずです。

 

筆者も、夫と共に説明会に参加し、

「ここに通いたいな」と思えたことが

転院の決め手となった経験があります。

実際に訪れてみて

「通院している自分」

「治療をしている自分たち」

を自然に思い描くことができたのです。

 

これから始まる通院において、

施設の雰囲気や医療関係者だけではなく、

受付スタッフとのかかわりは重要なポイント。

 

自身の直感と体感から生まれる心の声にも

耳を傾けてみると良いと思います。

 

 

転院の際に必要なもの

 

手紙

 

「紹介状」がないとNG?

転院先でのスムーズな治療の

スタートへとつなげるためにも、

できれば紹介状を持って転院したほうがいいでしょう。

 

「医師に紹介状を依頼しにくくて……」

という声もよく聞きます(筆者も同様でした)が、

実際には紹介状がなくても受診は可能です。

ただし、転院前の施設で行った検査を

再度というケースも多くあります。

 

紹介状があったとしても、

検査を再度実施するケースもありますので、

事前にある程度調べておくのと良いです。

 

★1-2で紹介したNPO法人Fineのアンケート(2020年実施/5,140人が回答)において、

「転院したことで不利益を感じたことは?」

の問いに対しては、

  • 紹介状の内容があっても、結局また同じ検査を受けることになったのがお金のロスと感じました
  • 紹介状持参でも、毎度これまでの経緯の説明が必要

といった、リアルな声が寄せられました。

 

しかし、これらのことをマイナスに考えるのではなく、

転院することのメリットやご自身の希望と合わせて

「転院するとこういったデメリットもあるんだな」

というくらいに認識しておくと、

新しい施設でのモヤモヤが軽減されるでしょう。

 

 

自分なりの治療記録も大切に

紹介状とは別に、簡単な治療記録をつけておくと、

いざというとき役立ちます。

  • いつどんな検査をして、結果はどうだったか。
  • 採卵の結果、受精卵の個数やグレードはどうだったのか。

 

細かく記載するのは大変ですが、

時系列で筆者もノートに記録していました。

紹介状の有無にかかわらず、

初診での問診票(これまでの治療歴等)の提出の際、

自分なりの記録を見返すことで

不安なく進めることができたと思います。

 

小さな疑問も、つど解決を

転院先で一から検査をやり直す場合もありますが、

これまでの検査結果を踏まえて必要なものだけを…

というところも、もちろんあります。

 

受け入れ後の進め方は施設ごとの判断によりますが、

疑問に思ったことはそのままにせず、

つど医師に確認するといいでしょう。

聞きもれがないよう、筆者は質問をまとめたメモを

診察時に持参していました。

 

また、過去の医療施設での検査結果は

大切に保管しておきましょう。

上記の治療記録に綴じたり、

専用のファイルにまとめておくと安心です。

 

 

おわりに

 

いかがでしたか?

今回のテーマ「転院」は、大きな転機のひとつ。

悩ましい決断ではありますが、

大切なのは治療の主役は自分たちである、ということ。

 

「何を大切にしたいのか」を再確認できる

良い機会と捉え、

お二人にとって納得のいく選択ができますように。

 

 

引用・参考:
NPO法人Fine アンケート「どうする? 教えて! 病院選びのポイントアンケート2020」結果【詳細版】
(一社)日本生殖医学会

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