仕事と不妊治療を両立するためにできること【NPO法人Fine】

天秤

専業主婦世帯よりも共働き世帯のほうが圧倒的に多い昨今、

不妊治療をしようか悩んでいる人や

実際に不妊治療をしている人の中には、

仕事をしている人も多いのではないでしょうか。

 

「仕事と不妊治療の両立は難しいと聞くけれど、何が難しいの?」

「仕事と不妊治療、両立できるのかな?」

「両立するにはどうしたらいいの?」

という迷いや不安もあると思います。

今回は仕事と不妊治療の両立についてご紹介します。

 

 

仕事と不妊治療の両立は難しい?

 

2022年4月から不妊治療が保険適用となり、

不妊治療に関する経済的な面が話題になっていますが、

働く人にとって同じくらい気になるのが、

仕事と不妊治療の両立に関することだと思います。

 

仕事と不妊治療の両立は難しいという声をよく聞きますが、

実際はどうなのでしょうか。

 

NPO法人Fineが行なったアンケート調査によると、

仕事と不妊治療の両立については、

95%以上の方が難しいと感じています。

 

仕事と不妊治療の両立

グラフ1:仕事と不妊治療の両立(NPO法人Fine)

 

ではなぜ両立が難しいのでしょうか。

 

不妊治療は女性の月経周期に合わせて行なわれます。

卵子の成長や排卵の時期は毎月変わるため、

直前にならなければわからないことも多く、

あらかじめスケジュールを立てることが難しいのです。

卵子の様子を見ながらの治療となり、

突発的で頻繁な通院が必要になります。

 

一般不妊治療(タイミング法、人工授精)と

生殖補助医療(体外受精・顕微授精)の

月経周期ごとの通院日数目安は下表のとおりです。

 

特に生殖補助医療になると、通院日数が増え、

仕事との両立が難しくなっていきます。

 

不妊治療のスケジュール

表:不妊治療のスケジュール(厚生労働省)

 

 

不妊治療に対する企業のサポートについて

 

仕事と不妊治療の両立に対する制度や取り組み

突発的で頻繁な通院が必要な不妊治療ですが、

日本の企業にはどのような制度や

取り組みがあるのでしょうか。

以下のようなものがあげられます。

 

不妊治療に特化した制度・取り組み

  • 不妊治療に関する休職制度(1年等長期の休職制度で、分割可・不可の場合あり)
  • 不妊治療に関する休暇制度(1年間に5日等の休暇)
  • 費用助成(不妊治療費の貸付や補助)

など

 

不妊治療に特化していないが、不妊治療にも使える休暇制度

  • 多目的休暇の取得事由に不妊治療を追加
  • 失効した年次有給休暇を積み立てて使用できる「積立(保存)休暇」の使用理由に不妊治療を追加

など

 

柔軟な働き方に関する制度

  • フレックスタイム制や就業時間の繰り上げ・繰り下げ
  • 在宅勤務等のテレワーク
  • 時間単位の有給休暇

など

 

企業の不妊治療に関する制度の導入状況

NPO法人Fineのアンケート調査によると、

仕事と不妊治療の両立ができている人で

職場に不妊治療のサポート制度があると答えた人は6%程度でした。

 

厚生労働省の調査 (上記スケジュール表)においても、

制度を導入していると回答した企業は9%程度となっています。

 

これらの調査を実施した頃に比べると

制度を導入する企業が徐々に増えてきていますが、

育児や介護等の制度に比べるとまだ少ない状況です。

 

不妊治療に対する職場のサポート

グラフ2:不妊治療に対する職場のサポートの有無(NPO法人Fine)

 

近年の動き

近年は、仕事と不妊治療の両立は

女性活躍推進においても重要であり、

課題の一つという認識が高まってきていることから、

仕事と不妊治療の両立をサポートしようという動きが

広がってきています。

 

2022年4月から厚生労働省の「くるみん認定制度」に

「不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境に取り組む企業」の認定制度が創設されました。

 

 

仕事と不妊治療の両立のために

 

自分でできること

仕事と不妊治療の両立のために、

自身で何ができるでしょうか。

 

まずは、会社の支援制度の確認です。

有給休暇以外に不妊治療に関して使える制度があるのか

確認しましょう。

 

先にあげたように、不妊治療のためだけではないけれど、

不妊治療にも使える制度もあります。

特に、フレックスタイム制などは、

短時間でできる治療にはとても有効です。

 

また、会社からよりも自宅からのほうが病院に近い場合は、

在宅勤務を利用することで、移動時間を短縮できます。

 

また、治療スケジュールは見通しが立てづらいため、

急な通院に備えて

「前倒しで業務を進める」

「業務を効率化する」

「優先順位を付ける」

など、業務の調整や工夫をするとよいでしょう。

 

同僚に業務を依頼する必要が出てくる場合に備えて、

マニュアルを作成など「見える化」できていると

業務の引継ぎがしやすくなります。

 

職場メンバーに協力してもらえるよう、

日頃からコミュニケーションを取るなど、

良い関係性を築いておくことも大事です。

 

職場伝える?伝えない?

不妊治療に関しては、

プライベート性の高い個人情報のため

会社や職場の人には伝えたくないと思う人も多いようです。

 

職場に伝えるか伝えないかは、その人次第だと思います。

自分の中で業務の対応ができる範囲であれば、

伝えずに治療をするのも良いと思います。

 

ただ、業務に支障が出そうなとき、

出るとわかったときは上司への相談が必要になります。

理由を言わずに急な休みが続くと、

自分自身の職場での信用を失いかねません。

 

多くの人に伝える必要はないと思いますが、

直属の上司や身近なメンバーには、

タイミングを見て意思を伝えることが大事です。

 

その際に、厚生労働省の「不妊治療連絡カード」

利用する方法もあります。

そして、仕事のサポートをしてもらった際は、

丁寧に感謝の気持ちを伝えましょう。

 

治療や両立に悩んだときに大事なこと

仕事と不妊治療の両立についてはもちろん、

不妊治療中はいろいろな悩みや不安、

ストレスを抱えることが多いと思いますが、

誰にでも相談できるというわけでもないと思います。

 

企業によっては社内もしくは社外に

相談窓口がある場合もあります。

 

相談窓口がない場合は、

カウンセラーへの相談やNPO法人Fineのような

当事者支援団体で行なっている

当事者同士の交流の場への参加を検討してみると

よいと思います。

 

自分の思いを誰かに聞いてもらったり、

同じ悩みを持つ人たちと悩みを共有したりすることが、

安心感につながることもあるかもしれません。

 

仕事と不妊治療の両立は簡単ではないですが、

制度の利用や職場の協力を得るなど、自身でやりくりをし、

不妊治療のために仕事を辞めずに済むような方法を

考えていただきたいと強く思います。

 

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【参照】

NPO 法人 Fine「仕事と不妊治療の両立に関するアンケート Part 2」(2017 年)

厚生労働省 平成29年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」

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