「妊活」という言葉を
近年よく耳にするようになりました。
妊活は、「妊娠しやすい体づくり」や
「妊娠するための行動全般」のことで、
自分たちでできることや
必要があれば医師のアドバイスを受けながら行う
“前向きな備え”のようなイメージです。
妊活で妊娠に至らなかった場合に
医療機関で受ける治療が不妊治療です。
ここでは、通院が伴うため、
仕事との両立が難しいといわれる不妊治療を中心に
両立するための休養と仕事のバランス、
エネルギー管理法について、私の両立経験も
一部入れながらお伝えしたいと思います。
不妊治療のさまざまな負担が女性の大きなストレスに
不妊治療の4つの負担
不妊治療には、大きく以下の4つの負担が
あるといわれています(NPO法人Fine提唱不妊治療の4つの負担)。
- 経済的負担:不妊治療は高額な治療費がかかり、治療が長引くほど経済的負担が大きくなる
- 身体的負担:投薬や注射による副作用、採卵の痛みなどの身体への負担
- 精神的負担:妊娠への焦りや不安、自己嫌悪、周囲との関係性におけるストレスなど
- 時間的負担:生理周期に合わせて突発的で頻繁な通院が必要で、仕事とのスケジュール調整が必要
これらは、お金の負担や時間の負担が
精神的な負担につながるなど、複雑に絡み合い
当事者にとって大きなストレスになっています。
1カ月の間でジェットコースターのようにアップダウンする女性の心の中
排卵時期に合わせて夫婦生活を持ったり、
人工授精を行なったり、採卵&胚移植をするなどの
タイミングで妊娠への期待が高まります。
「今回は妊娠しないかな」
「妊娠したらこうしよう!」などと
気分が上がるのですが、
妊娠判定で妊娠に至っていないことがわかると
一気に気分がダウンし、
この1カ月が無意味だったと感じ、落ち込みます。
私もそうでしたが、特に体外受精や顕微授精など
経済的な負担の大きい治療をした場合、
お金をかけている分、妊娠につなげたいと
さまざまな努力をする方が多いです。
例えば、アルコールやカフェインなど
妊娠に影響すると思われるものを避ける、
身体を冷やさないよう冷たいものは控え、
夏でも温かい飲み物にする、身体を温める、
血行促進のための鍼治療をするなど。
しかし、妊娠判定で陰性と
医師から伝えられたときは、
これらの努力が無駄になったと感じ、
非常に落ち込むのです。
不妊治療と仕事の両立
不妊治療と仕事の両立の重要性
さきにお伝えしたように、女性は不妊治療により
さまざまななストレスを抱えます。
仕事と両立するのも難しいですが、
不妊治療は高額な治療費がかかるため、
仕事を辞めることで
経済的負担が増す可能性があります。
また、仕事を続けることで自己肯定感を
高めることができたり、不妊治療だけに捉われず、
精神的なバランスを
保つことができるケースもあります。
自分のキャリアを考慮しながら、無理のない範囲で
仕事を続ける方法を探してみてください。
今は、徐々に不妊治療と仕事の
両立支援制度を導入するなど、
理解がある企業も増えてきています。
不妊治療と仕事の両立に向けた働き方
両立する際には、
以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- 通院スケジュールの把握
事前に通院スケジュールを把握し、仕事との両立を可能にするための制度がないか会社に相談する。
仕事の前後に通院できる病院を選ぶことも大事なポイント。 - 休暇の活用
検査や治療によっては、半日~1日程度の休暇が必要になることもある。
有給休暇や特別休暇を活用すると良い。 - 企業の支援制度の活用
不妊治療と仕事の両立を支援する制度を設けている企業もある。
例えば、特別休暇や休職制度、治療費の補助や貸与などがある。
会社の制度をよく理解し、積極的に活用するとよい。 - フレックスタイム制度やリモートワークの活用
不妊治療は休暇を取得しなければできない治療ばかりではない。
フレックスタイム制度やリモートワーク、時短勤務などを活用して、通院時間を確保することも有効。
妊活中は休息やリフレッシュがカギ
休息や体調管理の大切さ
十分な休息をとることは、
心身の健康を維持するために不可欠です。
無理せず心身ともにリラックスできる時間を
作るように心がけましょう。
また、バランスの取れた食事、適度な運動や
ストレッチで血行を促進することは
エネルギー維持のためにも必要です。
健康な身体の土台をつくりましょう。
ストレスを溜めないためのエネルギー管理法
不妊治療中はストレスを溜めないように、
こまめに気分転換を行うことが
不妊治療と仕事の両立に向けた働き方おても大事です。
趣味やリラックスできる時間を取り、
自分に合った方法で
心身ともにリフレッシュしましょう。
私は以下のことをしていました。
- 妊娠判定で陰性となり、治療をリセットしたタイミングで控えていたお酒や好きなコーヒーを飲む
- 日常的に友人と美味しいものを食べて話すことでのリフレッシュ
- 不妊治療をしている友人と想いを語り合う
- 行けるタイミングで大好きな旅行に行く
- 週1回ヨガに通い、深い呼吸を意識したり、心を“無”にする時間をつくる
- 温泉や岩盤浴でのんびりするなど癒しの時間をつくる
こういったことが、心の栄養になり、
次へのエネルギーになります。
また、不妊治療中は経済的負担、
妊娠に至らないことへの落ち込みや自己嫌悪、
不妊治療に関する夫婦間の温度差、仕事との両立など
悩みが出てくることもあると思います。
不妊治療は周囲に相談しづらいと言われますが、
抱え込んでも良いことはありません。
辛くなったら無理をせず、パートナーや信頼できる友人、
専門家などに相談しましょう。
周囲に相談できる人がいない場合、医療機関によっては
不妊治療の一環としてカウンセリングを
実施しているところもありますし、
Fineのピアカウンセラーに相談するのも一つの方法です。
専門家によるサポートを受けることで
気持ちが整理できたり、
心が軽くなったりすることも多いです。
また、NPO法人Fineのような当事者支援団体で
行なっている当事者同士の交流の場への参加を
検討してみるとよいと思います。
同じ悩みを持つ人たちと悩みを共有することが、
安心感につながることもあるかもしれません。
心と身体の健康が何より大事
不妊治療中にうまくいかないことが続くと
傷つきたくないことから
感情を押し殺してしまうことがあります。
しかし、それを続けていては
心と身体の健康によくありません。
時には自分の感情や心の状態に
向き合ってみてください。
そして、辛いときは辛い気持ちを
誰かに聞いてもらうなど、
自分を労わってあげましょう。
疲れたら、治療を一時中断し
心身を休ませることも有効です。
また始めたくなったら、治療を再開すれば良いのです。
無理はしないでください。
私は、仕事のスケジュール的に難しいと考えた周期は
治療を休んでいました。
また、不妊治療中は妊娠だけが
ゴールになってしまいがちです。
難しいですが、趣味や仕事など、不妊治療以外のことに
目を向けることで気持ちが楽になることもあります。
妊娠だけに捉われず、時には自分を客観視して
日常を楽しむことで
心に余裕が生まれることもあるのです。
お伝えしたことを参考に、ご自身のリフレッシュや
エネルギー管理法を見つけながら、
仕事と不妊治療の両立をしていただきたいと思います。