緊急避妊薬(モーニングアフターピル)が
薬局で買えるように2021年から検討されています。
なんとなく聞いたことがある方も多いと思いますが、
副作用や避妊率100%ではないことを知っていますか?
緊急避妊薬(モーニングアフターピル)って?
緊急避妊薬とは、
避妊をしなかった・避妊に失敗した場合でも
妊娠を阻止する可能性を高めてくれる薬剤です。
EC(Emergency contraception)、
モーニングアフターピルとも呼ばれています。
性交後72時間以内に服用すれば、
81~84%程度の高い確率で妊娠を阻止することができます。
しかしながら、避妊率は100%ではない
ということに注意が必要です。
緊急避妊薬の作用機序ははっきりとわかっていませんが、
着床の阻害ではなく、排卵の抑制・排卵の遅延によって
妊娠を防いでいる可能性が考えられています。
排卵前の内服であれば、
その後5~7日間は排卵が抑制されることが
わかっています。
精子の受精能力は48~72時間(2~3日間)であるため、
排卵が抑制されている間に
精子が受精能力を失い、妊娠が阻止されます。
しかし、緊急避妊薬を内服して排卵の遅延が起こった場合、
その5~7日後には排卵する可能性があります。
つまり、内服後しばらくしてからの性交で
避妊をしなかった場合、
薬の効果が切れて排卵が起こっていれば、
妊娠する可能性がある
ということにも注意しなければなりません。
現在の入手法は?
緊急避妊薬は産婦人科で医師の診察を受けないと
処方されないようになっています。
できるだけ早く内服した方がいい薬剤であるため、
現在ではオンライン診療でも入手できるようになりました。
オンライン診療の場合は
指定の研修を受けた医師が行うこととされており、
緊急避妊薬の調剤が可能な薬局において、
薬剤師の目の前で内服することが定められています。
緊急避妊薬は海外では普通に薬局に売られていることを
ご存じの方も多いと思います。
オンライン診療が可能になったとはいえ、
診療時間外であればもちろん処方はしてもらえません。
夜遅くまで空いている薬局も増えてきたため、
薬局で手に入ると便利になりますよね。
薬局で買えたら便利!でも心配なことも
医師による診察が必要な理由として、
- 性犯罪による被害者の発見
- すでに妊娠している場合の対応
- 性感染症(クラミジア、梅毒、淋病など)の発見・治療
などが考えられます。
性犯罪による被害者であった場合、
できる限り早く緊急避妊薬を内服する必要がありますが、
警察に相談することも必要となります。
誰にも相談できずに苦しんでいる
被害者もたくさんいると言われており、
そのような方を発見する機会を設けなければなりません。
また、すでに妊娠が成立している場合には、
緊急避妊薬を内服しても妊娠を中断することはできません。
さらに全妊娠のうち1~2%の確率で、
子宮内での妊娠でなく、卵管等で妊娠が成立してしまう
異所性妊娠が生じる可能性があります。
卵管で胎児が成長してしまい卵管が破裂すると、
大量出血をきたし最悪の場合
母体が死亡することもある疾患です。
このようにもしも妊娠していた場合や、
それが正常ではない妊娠であった場合の
対応が遅れてしまうことも懸念されます。
現在のオンライン診療においても、
診療の3週間後に産婦人科を受診することが必要になっており、
薬局と産婦人科との連携が重要だと考えられます。
同様に、性感染症の発見が遅れてしまうことも
可能性として挙げられます。
性感染症で男女ともに感染者が多いのは性器クラミジア感染症ですが、
自覚症状がないことが多いと言われています。
特に女性では自覚症状がないままに炎症が進行し、
激しい腹痛をきたしたり、不妊の原因になったりすることがあります。
これらを踏まえると、薬局での販売は緊急避妊薬を
手に入れるまでのハードルが下がるという
とても大きなメリットとなります。
しかしながら、産婦人科を受診する機会がなくなることで
デメリットも生じてしまいます。
2021年から検討されている薬局で購入について、
今後の政府の動向に注目していきたいですね!
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