子育てや仕事に忙しいママケリー世代は、
なかなか自分自身の体調管理まで
気が回らないのが現実ですよね。
つい不規則な生活に陥りがちな方も多いでしょう。
よく「規則正しい生活は健康によい」とは言いますが、
「なぜよいのか?」と問われると
なかなか説明は難しいものです。
そこで今回は「体内時計」に着目し、
体内時計の重要性、体内時計がズレることで起きる不調
今日から簡単に行える体内時計を
整えるためのコツに関して解説します。
体内時計の重要性を理解しよう
体内時計とは何か?
地球は24時間周期で昼夜が変化しますが、
地球上の生物もそれに合わせて
1日周期で生活リズムを刻んでいます。
この周期リズムは「概日リズム」とも呼ばれ、
生物の体温やホルモン分泌量なども
昼夜のリズムに合わせて変化するのです。
こういった生物の体内の時計機構は
「体内時計」と呼ばれます。
体内時計は厳密にいうと
24時間周期ではなく少し長いため、
そのままだと徐々にズレが
生じることになってしまいます。
しかし、生物には光や温度変化などの
外部環境の変化をからだで感じとり、
ズレをリセットして修正する
同調機構が備わっているため、
体内時計が狂わずに保たれているのです。
体内時計の不調が引き起こす問題
体内時計の中心は脳の
「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という部分に
位置していますが、それとは別に、
からだの各臓器にもそれぞれ体内時計が存在し、
これらは血圧やホルモン分泌、
自律神経の調整などに密接に関わっています。
この体内時計が狂うと
さまざまな不調の原因になります。
体内時計が乱れることによって起こる不調の一例
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 脂肪肝
- 自律神経失調症
- 睡眠障害
- うつ病
体内時計が乱れると免疫力が低下するため、
生活習慣病をはじめとした
さまざまな病気にかかりやすくなります。
上記に挙げた不調以外にも、
軽い症状として疲労や倦怠感、集中力や意欲の低下、
肌荒れなどが起こります。
体内時計が整っているサイン
「朝になると目が覚め、夜には眠くなる」という
1日のリズムが正常であれば、
体内時計が整っています。
逆に、体内時計が乱れていると、
「朝起きられない・夜に寝つけない」など、
徐々に不調の兆しがあらわれ始めます。
本来、からだは体内時計を毎日自動的にリセットして
調節しています。
何もしなくても決まった時間に起床したり、
眠くなったりする仕組みが体内時計なのです。
体内時計を整えるためのポイント
ここからは、睡眠時間が不規則になりがちな
ママに向けた、体内時計を整えるポイントを
5つ解説します。
規則的な生活リズムを作るためのTIPS
規則的な生活リズムを送るには、
基本的な生活のパターンを固定することが大事です。
起床時間、就寝時間、食事、入浴など、
毎日必ず行うことをなるべく同じ時間に行い、
パターン化することで
自然とからだにもリズムが染みついてきます。
外部の光を活用する
起床したときに、太陽光を浴びることは重要です。
朝に陽の光を浴びると、
脳内伝達物質のセロトニンが生成されます。
このセロトニンは通称「幸せホルモン」とも
呼ばれる物質で、からだだけでなく
メンタルの安定にも大事なホルモンです。
また、セロトニンは睡眠ホルモンである
メラトニンの材料になります。
メラトニンは陽の光を浴びてから
14~16時間後に分泌され、眠気を誘発させることから、
朝に陽の光を浴びるだけで、
1日のリズムを正しく構築できます。
適切な食事を摂る
朝の食事は、ご飯やパンなどに
多く含まれる糖質が有効です。
糖質はインスリンを上昇させるとともに、
体内時計のリセットをしてくれます。
糖質と聞くと悪いイメージを
持っている方も多いかもしれませんが、
体温を一定に保ち、脳やからだを動かす
エネルギーのもとになる重要な栄養素です。
朝はとくにきちんと摂取しましょう。
夜は玄米、イモ類、根菜類などがおすすめです。
なるべく脂質が少ない食事メニューとし、
脂肪をt溜め込まないように心がけましょう。
理想的な食事の摂取バランスは、
「朝4割、昼3割、夜3割」です。
朝にしっかり食事を摂ることで、
1日を過ごすエネルギーをとり入れます。
逆に、就寝に近い夜は軽めに済ませることが大事です。
ストレスを管理する
ストレスを受けると、からだの防御反応として
ストレスホルモンという物質が分泌されます。
ある研究では、このストレスホルモンが
体内時計に影響を与える可能性があると
マウス実験で実証されています(※1)。
現代社会を生きていくうえで、
ストレスと無縁の生活を送っている人はいません。
ストレスに対処するには、
「適切にストレスを管理する」必要があります。
ストレスマネジメントという
ストレスを克服する考え方に、
「セルフモニタリング」という方法があります。
まず、ストレスを感じた際に、
体調や気分の変化などを紙に書き出します。
これを継続的に行うことで、
何に対してどんなストレスを感じているのかを
冷静に整理することができるのです。
原因を客観視できるだけでなく、
セルフモニタリング自体にも
気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。
その他
体内時計を乱すその他の生活習慣としては、
寝る前の飲酒やタバコが挙げられます。
これらは睡眠の質を下げるだけでなく、
健康にも悪影響を与えます。
また、スマートフォンやテレビ、パソコンなどの
ブルーライトにも要注意。
ブルーライトは体内時計を乱し、
睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量を
低下させてしまいます。
なるべく、就寝の2時間以上前からは
スマートフォンなどの画面を
見ないように心がけましょう。
体内時計の不調に漢方薬でアプローチ
体内時計の不調を漢方薬で改善する方法と
注意点について解説します。
漢方薬の基本原則
体内時計の不調には、
漢方薬でアプローチする方法もあります。
漢方薬は、体質の改善や
慢性的な症状の対処を得意とします。
乱れたからだのバランスを整えるのが
漢方薬の基本的な考え方です。
西洋医学は「病気」を診る、
東洋医学(漢方医学)は「病人」を診る
と例えられますが、
西洋医学と東洋医学は対立しているわけではなく、
むしろ足りないところを
うまく補い合って成立している部分もあります。
実際に現代医学の現場で
漢方薬が使用されるケースも珍しくありません。
漢方薬で体内時計を整える具体的な方法
体内時計の乱れによる不調は
主に自律神経機能に関わる症状なので、
「イライラや興奮を鎮める」
「血流をよくして自律神経の乱れを整える」
「消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする」
といった自律神経のバランスを整えるように
アプローチする漢方薬を選び、根本改善を目指します。
体内時計を整える漢方薬を2つご紹介します。
体内時計を整えるおすすめの漢方薬
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
心身の疲労が目立ち、眠りが浅い方に適しています。
血液や栄養の「血(けつ)」を補い、
神経の興奮や緊張を和らげ、
不眠症や神経症を改善する漢方薬です。
加味帰脾湯(かみきひとう)
ストレスや不安などで眠りにくい方に適した漢方薬です。
不足しているエネルギーや栄養を補い、
不眠やイライラ、精神不安などを改善します。
漢方薬に限ったことではありませんが、
授乳中はデリケートで
赤ちゃんへの影響が大きい時期なので、服用する際は
必ずかかりつけの医師に相談してください。
また、漢方薬は、体質との相性が非常に重要です。
相性が悪い場合は、効果を感じられないだけでなく、
場合によっては副作用が生じることもあります。
また、産前産後に服用できない漢方薬もあるので
気をつけましょう。
漢方薬を服用する際は、実際の病院に通院する感覚で
利用できる「あんしん漢方」などの
オンライン漢方サービスに
相談してみるのがおすすめです。
漢方に精通した薬剤師とAIが、体質と不調に合う
最適な漢方薬を選び出してくれる、
漢方薬のオーダーメイド的サービスです。
体内時計のズレが生じない健康的な生活を送ろう!
体内時計は、いったんズレると
さまざまな不調を引き起こす原因になります。
生活習慣を見直し、
規則正しい生活を送ることがいちばんの解決策です。
体内時計の重要性を意識したうえで、
生活習慣を少し見つめ直してみましょう。
【参考】
(※1)「朝よりも夕・夜のストレスが体内時計を狂わせる 個体レベルで体内時計への影響を発見」早稲田大学
<この記事を書いた人>
碇 純子(いかり すみこ)
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。
現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。