不妊の基礎知識その7:心のケアの必要性について【NPO法人Fine】

 

カップルで赤ちゃんを望んで妊活や不妊治療に取り組んでいる時に、

思うようにいかないこともあります。

 

がんばっているのに上手くいかない

何をどうしたらいいのか分からなくなってきた

いつまでがんばればいいのか先が見えない

本当に妊娠できるのか不安…など

さまざまな想いが頭をめぐり、心身が疲弊してしまうこともあります。

 

このような時にはネガティブな思考になったり、

時には感情がコントロールできなかったり、

というようなこともあるのではないかと思います。

 

そんな時、皆さんはどうしていますか?

あるいは、どうしたらいいと思いますか?

 

今回は不妊における心のケアの必要性についてご紹介します。

 

 

 

心のケアって必要?

 

日本ではまだまだカウンセリングの敷居が高いこともあり、

悩んでいても「こんなことくらいでは相談できないんじゃないか」

「カウンセリングって普通じゃない時に行くものでしょ?私はまだ大丈夫」

そんな風に思って、気持ちを1人で抱え込んでいる方が多くいらっしゃいます。

 

初めての相談で「たいしたことではないんですが」

「こんなことくらいで伺っていいのか悩んだのですが」

とお話しされる方もいらっしゃいますが、

 

ワインのボトルの底に溜まっている小さなオリ(澱)が

いつの間にか大きくなるように、

何気ないと思っていた気持ちが知らないうちに積み重なり大きくなることがあります。

 

少しでも気になるようなモヤっとしたりチクっとしたり、

ざわざわするような気持ちがあれば、

その気持ちを1人で抱え込まず、

心のケアを行っていただきたいと思います。

 

 

 

不妊といってもさまざまな悩みがある


不妊はデリケートでプライベートな悩みですので、

誰にでも気軽に話せるものではありません。

 

そして、一言で不妊と言っても状況や悩みはそれぞれです。
もしかしたら当事者同士で話をしても、

モヤモヤしてしまうこともあるかもしれません。

そのためにも、自分の気持ちや悩みに合った心のケアをすることが大切です。

 

1人目不妊と2人目不妊の悩み

 

1人目をなかなか授からない悩みと、

2人目をなかなか授からない悩みは似て非なるものです。

 

1人目不妊の人にとっては、2人目不妊の方に対して

1人いるんだからいいじゃない」「私の悩みと一緒にしないで」

という気持ちを持ってしまうこともあります。

一方で、2人目不妊の方は1人出産していることで、

周囲から不妊とは思われず、

遠慮なく「2人目はまだ?」「兄弟がいた方がいいわよ」などと言われ、

周囲の方との関係に悩む方もいます。

 

なかなか授からなくて悩んでいるのに1人目不妊とも違うと言われて、

居場所がない方もいらっしゃいます。

 

 

不育症、流死産の悩み

 

不育症とは、妊娠しても流産を繰り返してしまう状況のことです。

また、不育症でなくても流産や死産を経験した人にとって、

一度授かった命を亡くすということは奈落の底へ突き落されるような、

胸が張り裂けるようなことです。

そこからもう一度気持ちを立て直して妊活や治療を再開することは、

とてもパワーの要ることです。

 

そして、妊娠したいけれどまた同じことが起きてしまうのではないか、

と思うと妊娠するのが怖い、そんな風に思う方もいらっしゃいます。

 

 

男性不妊、女性不妊と原因不明の不妊

 

検査によって、妊娠しにくい原因が分かることもあります。

男性側に原因があることもあれば、女性側にあることもあります。

原因があると言われた本人の気持ちとパートナーの気持ちに温度差ができ、

パートナーとの関係や親族との人間関係に悩まれる方もいます。

 

また、原因不明=原因がないとは限らないので、

これといった原因がないことで、

対処できることもないまま治療を続けていくことに

つらさを感じることもあります。

 

 

 

さまざまなカウンセリング

 

このように、不妊にはさまざまな悩みや苦しみやつらさがあります。

その気持ちに大小や優劣はありません。

 

自分にとってつらいことや悩んでいることを

「他の人はがんばっている」と誰かと比べて我慢したり、

「こんなことくらいで」と過小評価したりせず、

心のケアをしてください。

心のケアを行なうカウンセリングにはさまざまなものがありますが、

不妊について正しい知識を持ち、

安心して安全に相談できると思うところを利用することが

最善ではないかと思います。

 

以下では、さまざまなカウンセリングの紹介をしていきます。

 

 

臨床心理士、公認心理師、生殖心理カウンセラーのカウンセリング

 

いわゆる心理の専門家が行なうカウンセリングです。

 

特に生殖心理カウンセラーは、

不妊・生殖について詳しく学んだ心理職者(臨床心理士・公認心理師)が取得できるもので、

生殖に詳しい心理の専門家のカウンセリングといえるでしょう。

 

 

助産師や不妊症看護認定看護師によるカウンセリング

 

不妊治療に詳しい助産師や不妊症看護認定看護師が行なうカウンセリングです。

不妊症看護認定看護師は、その資格を取得するために

5年以上の実務経験と3年以上の不妊症看護の実務経験が必要で、

さらに不妊治療やカウンセリングについて詳しく学んでいる看護師です。

 

また、助産師については妊娠や出産に精通しており、

さらに不妊の現状に詳しい助産師も増えていると思います。

 

    

不妊ピア・カウンセリング

 

ピアとは「同じ」とか「仲間」という意味です。

当事者が当事者の心のケアを行なうことをピア・カウンセリングと呼び、

さまざまな分野で行なわれています。

 

不妊を経験したからこそわかる、気持ちに寄り添ったサポートです。

 

NPO法人Fineでは、不妊ピア・カウンセラーの養成講座、認定を実施しています。

「現在・過去・未来の不妊経験者」が1年かけて医療や心理の基礎を学び、

実践を行ない試験に合格後に認定されます。

 

さまざまな形で不妊を経験した認定不妊ピア・カウンセラーが、

ピア・カウンセリングを行なっています。

 

 

 

心のケアで大切なこと

 

Fineのピア・カウンセリングでさまざまな相談を受けてきて思うのは、

皆さん1人でがんばり過ぎている方が多いということです。

1人で解決しよう、がんばろうと思わず、

どうか気負わず相談して心のケアができる場所を見つけてほしいと思います。

 

カウンセリングや相談ができる場所にはさまざまな所があります。

しかし大切なのはご自身が安心して安全に相談できるか、

気持ちに寄り添ってもらえるかということです。

 

また、最新の不妊や不育について正しい知識を持っているか、

ということも選ぶうえで重要なポイントになります。

 

 

 

相談やカウンセリングが受けられる場所

 

心のケアが受けられる場所は、

下記のようなところがありますので、参考にしてください。

 

 

自治体

 

国の取り組みもあり、自治体では、不妊症や不育症の相談ができる

「不妊専門相談センター」や「ピアサポート事業」を

行なっているところも多くあります。

お住まいの自治体のウェブサイトを確認してみてください。

 

 

クリニック

 

クリニックでは、公認心理師や生殖心理カウンセラーなど心理の専門家や

不妊症看護認定看護師のカウンセリングを行なっているところもあります。

クリニックでのカウンセリングの受け方や費用については、

あらかじめクリニックに確認することをお勧めします。

 

 

支援団体、当事者団体など

 

不妊や不育で悩んでいる人を支援するさまざまな団体がありますので、

探してみてもいいと思います。

 

NPO法人Fineも当事者団体として、

・不妊ピア・カウンセラーによる通話相談、

・オンラインによる面接ピア・カウンセリング、

・グループカウンセリング

・公認心理師で生殖心理カウンセラーによるカウンセリング

などを行なっています。

 

NPO法人Fineの不妊ピア・カウンセリングはこちら

 

 

 

最後に

 

落ち込むことや、ネガティブな考えになってしまうことは悪いことではありません。

赤ちゃんを授かりたいとがんばっているのになかなか上手くいかない時、

誰かを妬んでしまったり羨ましく感じてしまったりすることは、自然なことです。

 

悲しい時にはきちんと落ち込み、

ネガティブな想いや誰かを羨むような気持ちをどうか否定せず、

そして1人で抱え込まずに、

誰かに相談しながらケアすることを大切にしてください。

 

 

【NPO法人Fineの記事はこちら】

不妊の基礎知識その5:妊活中のコミュニケーションの実態と「妊活みらい会議™」のすすめ【NPO法人Fine】

不妊の基礎知識その6:仕事と不妊治療の両立のポイント【NPO法人Fine】