【妊活の基礎知識】葉酸不足から発症する?神経管閉塞障害の話

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妊活

自分が妊活していることはあまり知られたくないけど、

知りたいことは山ほどありますよね。

 

いろんな人に気を使われるから、色々言われたくないから

でも、妊活を始めてから分かったことは沢山あって、

「もっと早く教えてよ」と思ったことも数知れず…

 

この記事で伝えたいことは「妊娠を焦ること」とか

「今の治療法を不安に思うこと」ではなく、

 

今から「赤ちゃん」のことを考える機会を

もっと持ってほしいということ

 

今回は「神経管閉塞障害」について調べてみました。

耳なじみのない病気かもしれませんが、

妊娠を希望する方や、妊娠中の方には

知っておいてほしい病気です。

 

妊娠前や妊娠中の葉酸不足によって、

胎児の発症リスクが高まる先天性異常のひとつに

「神経管閉塞障害」があります。

 

神経管閉塞障害とはどのような障害なのか?

葉酸摂取によって本当に発症を避けることができるのか?

調べてみました!

 

 

神経管閉塞障害ってなに?

 

まず、神経管閉塞障害とは

妊娠初期(妊娠4週目から12週目)に起こる

胎児の先天性異常のひとつです

 

胎児の脳や脊髄のもとになる「神経管」という管の一部が

開いたまま発達が進んでしまうことが原因とされています。

 

神経管閉塞障害では、

主に「二分脊椎」という先天性異常が認められます。

この二分脊椎は、「脊髄髄膜瘤」とも言います。

 

 

通常であれば、脊椎の骨は脊髄をぐるりと

一周するように覆います。

しかし、その成長不全により、

脊髄がこぶのように飛び出てしまうのです。

 

これが「脊髄髄膜瘤」と言われる先天性異常の症例です。

 

軽微な神経管閉塞不全では、

多くの場合症状は見られないとされていますが、

飛び出した脊髄が損傷を受けると、

障害が生じることがあります。

 

特にこの脊髄髄膜瘤は腰の背骨(腰椎)や

おしりの骨(仙骨)で発生しやすいため、

歩行障害や排便・排尿障害が起こります。

 

さらに重篤なものになると、

脳組織が突出する脳瘤が起こることもあります。

 

同じく重篤な症状として、

本来頭蓋骨に収まっているべき小脳や脳幹の一部が突出し、

脳全体が下側に落ち込む「キアリ奇形」や

「水頭症」が生じるケースもあります。

 

水頭症が起こる原因としては、

二分脊椎によって脳脊髄液の流れが障害されるためです。

 

さらに、この神経管閉塞障害は

まれに「無脳症」を引き起こすこともあります。

現代医療は目覚ましい進歩を遂げていますが、

無脳症の胎児は生まれても

生命の維持が難しいのが現状です。

 

日本先天異常学会は、

これらの先天性異常の原因となる神経管閉塞障害に対して、

葉酸を摂取することで発症リスクを

減らすことが出来ると明らかにしています。

 

 

神経管閉塞障害が判明する時期

 

神経管閉塞障害の多くは、

出生前スクリーニング検査によって

出生前に発見できるとされています。

 

母体の血液検査や羊水検査を行い、

この障害の早期発見が可能になっています。

さらに出生前の超音波検査によっても発見できます。

 

出生後になると、乳児身体検査で明らかになります。

脊髄髄膜瘤は皮膚に覆われている潜在性と

神経そのものが目視できる顕在性があります。

 

潜在性の脊髄髄膜瘤の場合は、

脊椎に損傷が無いか確認するために超音波検査やMRI検査、

場合によってはX線検査を行います。

 

 

葉酸摂取だけで予防できる?

 

厚労省は神経管閉塞障害に関して、

 

  1. 神経管閉鎖障害発症の原因は葉酸不足だけでなく
    複合的なもののため、サプリのみの摂取だけで
    発症予防にはならない
  2. サプリで摂取しているからといって、
    食事による葉酸摂取をしなくてもいいわけではない
    (他の栄養素不足になるため)
  3. 妊娠初期だけでなく、妊娠を計画している女性や
    妊娠の可能性がある女性は
    「食品からの摂取(0.24mg/日)+サプリ(0.4mg/日)」の葉酸を
    摂取することをすすめる

としています。

 

あくまで、葉酸不足は神経管閉塞障害発症の一因であり

他の要素も関係している ということです。

 

 

葉酸が不足で引き起こされること

 

葉酸が足りないことで、

おなかの赤ちゃんに起こりやすくなる

神経管閉塞障害について述べてきました。

 

では、妊娠中のお母さんには何が起こるのでしょうか?

 

「造血のビタミン」ともいわれる葉酸が足りないと

「葉酸欠乏症」を引き起こすと言われています。

 

この葉酸欠乏症によって、

身体に起こる症状としては

  • 貧血
  • 疲労感
  • 顔面蒼白
  • 息切れ
  • めまい

があります。

 

重度の欠乏症の場合は

  • 舌が赤くなって痛みを生じる
  • 味覚の低下
  • 抑うつ
  • 錯乱

などが起こります。

 

実は、葉酸欠乏症は珍しい症状ではなく、

  • 生の葉野菜を食べていない
  • 柑橘類の摂取が少ない

といった、葉酸が少ない食事を続けていると

数か月以内に引き起こされるものです。

 

特に女性は貧血になりやすいので、

葉酸欠乏による貧血なのかそうでない貧血なのか

分かりにくいことが懸念されますね。

 

 

まとめ

 

この記事では、妊婦さんの葉酸が不足していることで

赤ちゃんの発症リスクが高まる神経管閉塞障害や

その他の症状について紹介しました。

 

おなかの赤ちゃんのために、

お母さん自身の健康のために、

母子だけでなく、生きるうえでの健康のために

 

しっかりと葉酸を摂取していきたいものですね。

 

 

【この記事を読んだあなたにおすすめ】

妊活いつからはじめる?今知りたい基礎知識 その2:葉酸を含む食べ物について

妊娠初期ではもう遅い?葉酸サプリはいつからいつまで飲むべき?【助産師が解説】

 

【参照】

厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~解説要領」

日本胎児治療グループ「脊髄髄膜瘤」

日本先天異常学会「神経管閉塞障害に関する声明文」

MSDマニュアル家庭版「神経管閉塞と二分脊椎」

慶應義塾大学医学部脳神経外科学教室「キアリ奇形・脊椎空洞症」

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