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不妊当事者の団体「NPO法人Fine」様にインタビュー(後編)

弊社はこの度、特定非営利活動法人Fine

(所在:東京都江東区、理事長:松本亜樹子)と

業務提携契約を締結いたしました。

 

今後は「ママケリーweb」を通じて、

不妊に関する記事やコラムといった情報発信を

予定しております。

 

まずはFineがどのような団体なのかを

知っていただくために、

理事長を務める松本氏にインタビューを行いました。

 

インタビュー前編はこちら

 

 

「妊娠」に向き合う様々な人に、伝えたい思い

 

―不妊治療に限らずですが、

身体や健康に関わる問題・課題は

その課題に直面したときにはじめて、

気付くことが多いような気がします。

 

―ママケリーでは女性の健康に関する記事や

アプリでの生理管理モードを提供しています。

 

不妊に気付く前の方やこれから妊活を考え始める方へのメッセージはありますか?

 

不妊に関することって、自分の身近にいなかったら
ずっと知らないで終わってしまうことだと思うんですよ。

 

私は自分が不妊になるなんてことは想像してなくて、
それでおかしいなと思い、
ある日病院にいったら不妊症という診断が下りたんです。

それまで、睡眠時間を十分に取らなかったり、
好き嫌いをして栄養も偏っていたり、
また十分な運動もしていなかったり、
体を冷やしたりすることなどがありました。

あんなことしなければよかったってたくさん後悔しました。

 

その観点で言うと、若い人だけでなく
女性全員に知っておいてほしいのは、
25歳から29歳くらいの年齢が最も妊娠しやすいこと。

30歳を過ぎたら妊孕性はがくんと落ちて、
35歳になるとさらに落ちるということです。

「妊娠するための力」を「妊孕性」というのですが、
こういうことを知らない方がほとんどかと思います。
そういったことをお伝えしたいです。

 

たとえば、見た目年齢と卵子を作る卵巣の年齢も違います!

毎日作られている男性の精子と違って
女性の卵子は生まれた時から減り続けていて、
もう新しく作られることはありません。

いくら見た目が若くても、卵子は日々減っていることを
女性にだけでなく男性にも知っていただきたいですね。

 

 

若いうちに出来ることってありますか?

 

若いうちに出来ること、そうですね。

出来ることがあるとすると、
女性の妊娠できる力をチェックできるAMH検査1
受けてみるのはいかがでしょうか?

男性の場合は精子検査、最近では簡易キットで
スマホを使って調べられるものがあるので、
ぜひ一度やっていただけるといいと思います。

 

女性のAMH検査は婦人科や
不妊クリニックでできると思いますので、
ブライダルチェックということで、
若いうちにやっていただけると良いかもしれないですよ。

※1 抗ミュラー管ホルモン検査。採血を行って自分の卵巣にどれくらい卵子が残っているか調べることができる。

オムロン式美人Q&Aより

 

 

―そのような検査もあるんですね!
まずはクリニックに行く、そのハードルを下げることも大事そうですね。

 

そうですね。

もし最初からクリニックに行くことに抵抗があれば、
まずは基礎体温を測るだけでも妊活です。

基礎体温を測ってみて、生理周期をちゃんと記録してみる。

基礎体温がきれいな二相性になっていて、
ちゃんと生理も来ていればまあ一見大丈夫かと思います。

もし基礎体温がガタガタで生理も不順だな~と思ったり、
ちょっと心配することがあったりしたら、
一度早めに検査に行くっていうのは良いことだと思います。

 

 

今、治療中の人にお伝えしたいことはありますか?

 

そうですね。
自分のメンタルケアを
ぜひ怠らずにやっていただきたいです。

どうしても、特に女性は妊娠できないと、
自分自身を責めがちなんですよね。

また今回もダメだった。

私が食生活をきちんとしなかったからかな、
きちんと運動をしなかったからかなとか。

睡眠不足がたたったのかなとか。

また妊娠できなかった、
もう自分は妊娠できないんじゃないかとか。

 

でもそうではなくて、
「今回はたまたまそういう(妊娠していないという)結果になっただけで、あなたが悪いんじゃないですよ。あなたは十分頑張っているのですから、ちゃんと自分をほめて、いたわってあげてください」
ということをお伝えしたいです。

 

 

―内診台に乗ることも怖いですもんね。

 

そうですよね。
怖いし、恥ずかしいし、痛いし。

内診台に乗るって女性にとって、
本当に一種の恐怖感がありますよね。

それも頑張っているので、
本当に自分をしっかりほめてほしいです。

 

 

妊活や不妊、そのほかの多様な生き方を目指して

 

今後、Fineとして行いたい活動はありますか?

 

力を入れたい分野は、
若い方への啓発も含めた教育分野です。

教育分野でもっと不妊や不育を小さいころから
教わっていくのは、すごく大事なことだと思うんです。

あとは多様な家族についても。

養子縁組や里子といった、多様な家族形成の仕方など
もうちょっと広がってもらいたいなと考えます。

そのあたりをもっともっと広げていきたいなと思うし、
さらにLGBTQ2の方々の問題も含めて、
本当の意味でのダイバーシティ&インクルージョン3が、
もう当たり前として存在する世の中に
なってもらいたいです。

そのためには小さなころからの教育が
必要不可欠だと思うので、
教育分野に力を入れたいです。

 

※2 Lesbian(レズビアン:女性同性愛者)、Gay(ゲイ:男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)、
Transgender(トランスジェンダー:性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、
Queer(クイア:規範的な性のあり方以外を包括する言葉)や
Questioning(クエスチョニング:自らの性のあり方について、特定の枠に属さない人、わからない人等を表す言葉)
の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつ。

Tokyo Rainbow Pride2022より

 

※3 多様性(Diversity)と包摂・包括(Inclusion)を合わせた造語。
多様なバックグラウンドを持つ
個人が組織の中にいることを認め、
それぞれが能力を最大限に発揮できるという意味を持つ。

厚生労働省資料より

 

―たしかに保健やそれ以外でも、不妊は習わないですよね。

そのほかの性に関することは、学校教育の範囲内で
「多様性」を教えることって難しいように思います。

 

仰る通りで、避妊は習っても
不妊は保健体育で習いませんでした。

妊娠したくてもできない不妊症があること、
妊娠しても出産が難しい不育症の人も
たくさんいらっしゃいます。

それに養子縁組や里親制度のこと。

そうしてつくられる様々な家族の形があること。

もっと言うとLGBTQのこともそうです。

同性同士のカップルに子どもがいても
何ら不思議でない世の中になっていくのだろうな
と思いますし、そうなるべきだろうとも思います。

 

生殖に関することだけではなくて、
本当に「多様性」を考えると、
白い目で見る、特別視する、そういったことを
誰もがしないようになってほしいです。

そのためには教育しかないと思います。

できるだけ幼いうちでの教育。

頭が何にも染まっていないうちから
行う必要があると考えます。

 

そうなったら人工中絶も減らせるんじゃないかと考えます。

もしも望まない妊娠をしたとしても、
生まれた子どもを望む家庭や環境があれば、
そういったマッチングができる。

そしてその後もフォローできる世の中になれば、
人工中絶という不幸なことが
減っていくのではないかと思うんですね。

中絶って簡単に言うけれど、女性の身体も心も傷つけるし、
しないに越したことがないと思いますので。

 

なので、そういったことを学ぶためには教育、大事です。

 

 

―そうですね。教育を含めて次に伝えることが特に大事なことなのかもしれませんね。

今回のインタビューは以上になりますが、

最後にお伝えしたいことはありますか?

 

本当に不妊とか不育とか、
生殖に関わることって今もなかなか話しづらいです。

まずは特別視すること自体が
無くなったらいいなあと思っています。

特別視する/してしまうことがあるので、
当事者は話しにくいし、
だからこそ周りの人はいつまでたっても分からない。

その悪循環があると思うんです。

 

当たり前ですよね。

誰だって言ってもらわなければ分からないじゃないですか。

なので、それが無くなることが一番大事。

ごく普通のこと、ごくありふれた事実って
捉えていただけるといいなあと思います。

 

それは当事者も同じです。

当事者も「ごく普通の、ありふれた事実」
という意識を持てば
言えるようになるかもしれないですよね。

当事者の方も話す勇気が大切じゃないかと思います。

 

 

―「ごく普通の事実として捉えること」
簡単そうに思えて、まだまだこれからですね。

そういった世の中になればと切に願います。

本日はどうもありがとうございました!

 

 

ママケリーでは今後、
NPO法人Fine様の不妊治療に関する記事を提供していきます。

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