「妊活中は、これくらい頑張って当たり前」
今、そんな風に自分に言い聞かせながら
日々を駆け抜けている方はいませんか?
約7年間続けた不妊治療の日々を思い返すと、
「やっぱりあの頃の私は、無意識のうちに無理をして頑張っていたな」
と改めて感じます。
当時は通院や仕事の調整に必死で、
それが「普通の日常」になっていました。
しかし、妊活を終了した今だからこそ、
少し離れた場所から当時の自分を振り返り、
気づけることがあります。
本コラムでは、私自身の葛藤や経験を振り返りながら、
今まさに先が見えない中で頑張り続けているあなたへ
心と身体を大切にするためのメッセージをお届けします。
「治療すれば授かる」と信じていたあの頃
不妊治療を始めたばかりの頃は
「治療すれば授かるでしょ」と、
どこか当たり前のように考えていました。
治療を続ければいつか妊娠できる、と
頑張れる気でいたのです。
先の見えない不安よりも希望の方が大きく、
前向きな気持ちで通院していたように思います。
けれど、現実は思うようにはいきませんでした。
結果が出ないたび落ち込みながらも、
医師から次の通院日を告げられると「次こそは」と
自分を奮い立たせる。
その繰り返しが当たり前になっていきました。
いつの間にか、医師から次の通院日を告げられれば、
それに合わせ必死で仕事や予定を調整する。
とにかく通院と治療を継続することだけで
頭がいっぱいになっていました。
毎回の検査や治療の結果に一喜一憂し、
気持ちはまるでジェットコースターのよう。
そんな毎日を繰り返しているうちに、
治療を続けることが自分の使命のようになっていました。
今思えば心も身体もかなり疲れていたはずですが、
当時の私にとってはそれが「普通の日常」でした。
だからこそ、妊活を終えた今になって気づくのです。
「あれは決して普通ではなかったんだな」と。

普通になっていた、心と身体への無理
私が不妊治療をしていた頃は、
まだ保険適用が始まる前でした。
とんでもなく高額な治療費のおかげで
お金は湯水のごとく出ていき貯金は減る一方。
それでも「治療しなければ授かれない」という思いと、
当時30代後半だった私は年齢の焦りから
立ち止まることができませんでした。
気づけば、経済的な負担にも精神的な負担にも
感覚が麻痺していたように思います。
出口の見えないトンネルの中を歩き続けるような感覚。
同じ景色の中をぐるぐる回る無限ループのような感覚。
終わりが見えないからこそ、頑張り続ける。
とにかく頑張らなければ、
自分を保つことができませんでした。
頑張ることで自分を奮い立たせ、
立ち止まったら自分が崩れてしまう‥・。
そんな怖さがあったのかもしれません。
心が壊れないように、無意識のうちに
自分の苦しみや不安を
和らげようと無理をしてしまう自分。
心がこれ以上傷つかないないように、
自分を守るための「防衛機制」が
働いていたのだと思います。
皆さんは、そんな時ありませんか?
当時の私は、月の半分は国内外に
出張している仕事だったため、
通院日や仕事のスケジュール、有給休暇の調整に
追われていました。
「今周期は治療できるのだろうか」と、
妊活ができるかどうかの瀬戸際で深刻に悩みながら、
ひたすら前に進み続けるしかないと思っていました。
忘れられない、あの日の言葉
そして、今でも忘れられない出来事があります。
どうしても採卵当日の日程と仕事の調整が
つかなかった周期、主治医から言われた一言です。
「治療できないなら、仕事に生きるのもありなんじゃないの」
その言葉を聞いた瞬間、
それまで何とか自分を奮い立たせながら
必死に頑張り続けていた私の心の糸が切れてしまいました。
帰り道、涙が止まらず、嗚咽しながら歩いたことを
今でも鮮明に覚えています。
身体も決して楽ではなく薬の影響で常にむくみ続け、
いつも重だるい。
ホルモンバランスの変化で気持ちも
不安定になっていました。
それなのに私は
「妊活に良い栄養を摂らなきゃ」
「運動しなきゃ」
「睡眠の質を上げなきゃ」
少しでも可能性を高めたい一心で、
自分にたくさんの“やるべきこと”を課していました。
いつも何かに追われているような感覚が付き纏い、
「もっと頑張らなければ」
「まだできることがあるはず」
そんな思いに突き動かされ、
気づけば、心は休まる暇もなく張り詰めたまま。
今振り返ると、それは頑張っていたというより
不安の中で走り続けていた状態だったのかもしれません。
もしあなたも同じように走り続けているなら、
少しだけ自分に優しくしてあげてみませんか。
頑張ることが当たり前になりすぎると、
自分がどれほど心を休ませることなく、
無理を重ねながら過ごしているか。
そのこと自体に気づけなくなってしまうことがあります。
「今の私は十分頑張っているだろうか」ではなく
「今の私は自分を大切にできているだろうか』と、
自分の心に目を向け
問いかけてみることも大切なのかもしれません。
妊活を通して、自分自身を見つめ直す
妊活していると、
その状態がいつしか当たり前になります。
でも本当は、その「普通」の中に
無理が隠れていることも少なくありません。
妊活は、自分の身体や心と向き合う時間でもあります。
だからこそ時々立ち止まって、
自分自身の心に聞いてみる。
周りの景色を見るように、自分自身に目を向ける。
「私は頑張りすぎていないかな」
「本当は疲れていないかな」
「無理をしていないかな」 と。
そんな気持ちに思い当たったとしても、
それは決してあなただけではありません。
妊活を経験する多くの人が、同じように
不安や焦りを抱えながら、
自分を後回しにしながら頑張っています。
だからこそ、自分を責めるのではなく
「よくここまで頑張ってきたね」と、
自分自身を労わる言葉をかけてあげてほしい。
そして、自分を支えてくれる人や時間も
大切にしてほしいと思います。
私を支えてくれた、癒しの存在
見えないトンネルの中で私にも心を支え、
ほっと安心させてくれる存在がありました。
妊活中の私は、夫や信頼できる友人、
家族に気持ちを吐き出すことで救われていました。
また、妊活とは離れて全く関係のない
自分が好きなことに没頭する時間は
私にとってかけがえのないものでした。
読書や映画、ドラマの世界にどっぷり浸ること。
ただ誰かに話を聞いてもらうこと。
家族の一員であるペットのうさぎのフワフワした身体に
触れて癒されること。

そんな何気ない時間が、張りつめていた心を
少しずつ緩めてくれていたのだと思います。
「今、この瞬間だけは大丈夫」
そう思わせてくれる大切な心の拠り所でした。
振り返ると、
自分が心地よいと感じること。
ホッとできる時間。
安心できる場所や人の存在。
そうしたものが、知らず知らずのうちに私の心を守って
支えてくれていました。
妊活中はどうしても結果ばかりに目が向きがちです。
けれど、時には歩みを止めて
自分や周りに目を向けてみると、
自分自身の心や身体の状態に気づくことができます。
今の自分は何を感じているのか。
何に疲れていて、何を求めているのか。
今の自分に本当に必要なものは何か。
逆に、抱え込まなくてもいいものは何か。
少しだけ客観的に自分を見つめてみることで、
楽になるヒントが見つかるかもしれません。
頑張り続けているあなたへ
これまでたくさん頑張ってきた自分自身を
どうか認めてあげてください。
「私、よくやっているよ」
そう声をかけてあげてください。
たくさんご褒美をあげてもいい。
少し休んでもいい。
誰かに助けを求めてもいい。
自分を守れるのは、自分自身です。
だからこそ、時には立ち止まって、
今の自分を優しく見つめてあげてください。
あなたが今日ここまで歩いてきたこと自体が
十分頑張っている証です。
しんどい時は休んでいいし、誰かに頼っていい。
あなたは決して一人ではないのですから。
