初めての子育ては、何かと不安が多いものです。
特に「食べ物」については、
悩む人が多いのではないでしょうか。
「幼児食はいつから始めたらいい?」
「幼児のときに食べさせる食材は、何を基準に選べばいいのか知りたい」
「子どもが野菜を好まない、どうしたらいいんだろう……」
「みんなは何を食べさせているの?」
初めての育児に取り込む親御さんが
頭を悩ませるこんな質問に答えていきます。
「疑問や悩みを解消すること」
「あらかじめ知識を身に着けておくこと」によって、
ある程度自信を持って
お子さんに向かいあえるようになるでしょう。
そして「自信を持ってお子さんに向かい合えること」は、
親御さんだけでなく、
お子さんにとっても大きなメリットとなります。
親御さんが自信を持って向き合うことで、
お子さんも安心感を抱けるようになるからです。
幼児食にまつわる悩みを、
食事の資格を5つ持つ筆者が解きほぐしていきます。
幼児食の基礎知識
離乳食期を終わったお子さんは、
次の段階として、幼児食期を迎えます。
これは、幼児が大人と同じように
食事を行えるようにするための準備期間であり、
心身の両面に影響を与えるものです。
固さや形などを工夫するとともに、
食べさせる回数や時間などのリズムも
整えていく必要があります。
スタート時期
幼児食のスタート時期の目安は、
「1歳半」だとされています。
この時期になると、1日に3回食事ができるようになったり、
コップから水などを飲めるようになったり、
自分の手で食事をとろうとしたりするようになるからです。
また、幼児食はおおよそ6歳くらいまで
続けることになります。
小学校に入るタイミングで幼児食を切り上げ、
大人と同じように食事を
とっていくようにするのが一般的です。
ただこれは、あくまで目安にすぎません。
子どもの成長は個々人で違いがあるため、
始める時期や終わる時期がずれることもよくあります。
固さの目安
幼児食に求められる「固さ」は、
年齢によって異なります。
これは、幼児食が「徐々に大人の食事に近づけていくこと」
を目的としているからです。
1歳くらいまでは、
歯茎でつぶせるくらいの固さで作ります。
繊維質が多い食べ物は喉に詰まる可能性があるので、
みじん切りにするなどして調整します。
2歳代になると、奥歯が見えてくるようになります。
そのため、食事のバリエーションも広がるでしょう。
奥歯で噛める固さの食材を用意するとともに、
食感の違う食材を味わわせるようにしていきます。
3歳以降になれば、多くの子どもの口の中に
「乳歯」が生えそろいます。
そのため、大人とほぼ同じような食事をすることが
できるでしょう。
ただし、東北大学の調査で
「喉に魚の骨が刺さってしまう事故は、0~4歳児にもっとも多い」
ということがわかっています。
また、カレイなどは特に注意が必要となるため、
保護者の方で注意しておく必要があります。
出典:東北大学「魚の骨が刺さる事故の実態を詳細に調査」
1日の量や1回あたりの量
1日あたりの量や1回あたりの量も、
年齢によって異なります。
1~2歳の食事量の目安(1日分の食事とおやつの一例)
3~5歳の食事量の目安(1日分の食事とおやつの一例)
たとえば目安として、1~2歳児の場合は、
- 食パン8枚切り1枚
- 魚の切り身3分の1切れ
- 人参などの緑黄色野菜20グラム程度
+大根などの単色野菜30グラム程度
+じゃがいもなどの芋類20グラム程度
が1食の目安となるでしょう。
また、おやつとして果物を100グラム程度とることを
おすすめします。
3~5歳児の場合は、
- ご飯80グラム
- 魚の切り身2分の1切れ
- 緑黄色野菜50グラム程度
+単色野菜70グラム程度
+芋類20グラム程度
が目安となります。
これはあくまで「1食の目安」です。
この幼児食の時期は
すでに1日3食のパターンに入っていますから、
実際にはこの例の3倍の栄養素を取ることになります。
バリエーションのある食材を使い、
「魚ばかり、肉ばかり」などのように
ならないようにしましょう。
またここに、卵や大豆製品、果物なども
上手に取り入れていくことが求められます。
旬の食材を使いましょう
幼児期は、特に「旬の食材」を使った食卓を
作ることが求められます。
これには以下のような理由があります。
- 栄養価が高い
- 価格が安い
- 季節感のある食卓を作ることができる
それぞれ見ていきましょう。
栄養価が高い
同じ食材であっても、旬の時期かそうでないかで
栄養価は大きく異なります。
たとえば、
旬の時期である冬の時期のほうれん草の生の葉は、
60ミリグラムのビタミンCを有していますが、
旬ではない夏の場合はわずか20ミリグラムしかありません。
茹でた場合も同じで、冬どれのものには30ミリグラムの
ビタミンCが残るのに対し、
夏の場合は10ミリグラムしか残らないのです。
旬の時期の野菜は多くの栄養素を持つため、
可能な限りこれを使いましょう。
出典;大修館書店(文部科学省)「食品成分表(五訂増補日本食品標準成分表)」p78-79
価格が安い
現在は農業技術の発達もあり、
いつでもさまざまな食材が手に入るようになりました。
しかしハウス栽培などで育てられる野菜は、
電気代などがかかるため高単価になる傾向にあります。
それに対して必要経費が抑えられる旬の食材は、
安く手に入るため家計の負担も軽く済みます。
季節感のある食卓を作ることができる
旬の食材を取り込むことで、
季節感のある食卓にすることができます。
冒頭でも述べたように、
幼児食は、体と同時に心を育てるためのものでもあります。
「赤いトマトを両親と一緒に摘み取って、サラダにした夏」
「自分の顔よりも大きい白菜を切って、お鍋にした冬」
などのように、「季節のイベント」として
食材に向き合えた経験は、子どもを大きく成長させます。
野菜嫌いな子供に、食べさせる工夫
ただこのような「旬の食材」であっても、
子どもは食べたがらないこともあります。
野菜の持つ独特の苦みや香りに、
拒否感を覚える子どももいるからです。
その場合は、
- 食べやすいメニューを考える
- 大人が見本を見せる
- 一緒に作ってみる
などの方法を取るとよいでしょう。
細かく切って野菜の姿が見えないようにしたり、
キャラクターの形を作ってみたり、
味の濃いもの(カレーなど)に混ぜたりすることで、
野菜が嫌いな子どもでも食べやすくなります。
また、子どもは大人の真似をするものです。
そのため大人がおいしそうに食べているものに興味を持ち、
大人が嫌っているものに拒否感を抱く傾向にあります。
大人が好き嫌いせずに食べることはもちろん、
「この〇〇はおいしいね」などのように
語りかけて興味を持たせることも重要です。
どうしても食べたがらない場合は、
「一口だけがんばろう!」と声を掛けて、
食べ終えたら褒めるようにしてみましょう。
大人がそうであるように、子どももまた
「自分が作り出したもの」に特別な感情を抱きます。
野菜を自分で育てたり、
料理のお手伝いをさせたりしましょう。
また、野菜を育てた場合は、
「非常に鮮度の良い状態の野菜を収穫できる」
というメリットもあります。
実際に
「畑で自分たちで育ててみたらおいしかったので、それ以降は野菜の好き嫌いがなくなった」
という話もあります。
おすすめの野菜を使ったレシピ
ここからはいくつか、
野菜使用のおすすめレシピをお伝えしていきます。
主食:野菜いっぱいのオムライス
【材料】
米1合程度
ニンジン2分の1本
豚ひき肉50グラム
キノコ10グラム
卵
ケチャップ
【作り方】
- ニンジンやピーマン、キノコは、みじん切りにしておく
(※年齢に応じて切り方を変える) - フライパンに薄く油を敷き、1を炒める
- 2の中に米とケチャップを入れて炒める
- 別のフライパンに油を敷き、溶いた卵を入れて薄焼き卵を作る
- 3の上に4をのせて完成
卵の上にケチャップでイラストを描いてあげてもよいでしょう。
主菜:鶏肉のしょうゆ炒め
【材料】
鶏もも肉35グラム
ネギ10グラム程度
白菜2分の1枚
ピーマン2分の1個
薄力粉
塩
コショウ
砂糖小さじ2分の1
しょうゆ小さじ2分の1
【作り方】
- 鶏もも肉を小さく切り、薄力粉と塩コショウをまぶす
- ネギを5ミリ程度の幅に、ピーマンは3ミリ程度の幅に、白菜はみじんに切る
- フライパンに油を敷き、1を焼く
- 2と調味料を加えて火が通るまで炒めれば完成
少し甘辛い味になっていますが、
しょうゆはポン酢などに変えてもおいしく食べられます。
副菜:リンゴとキャベツ、サツマイモのサラダ
【材料】
キャベツ1枚
りんご10グラム
サツマイモ20グラム
レモン汁小さじ2分の1
砂糖1つまみ
塩少々
- サツマイモを小さく切り、水にさらした後に茹でる
- キャベツは1センチ角程度に切り、いったん茹でる。茹で上がったら水を切る
- リンゴは皮をむいたのち、2センチ角に切る
- 茹で上がったサツマイモと2と3をボウルに入れる
- 調味料を入れて、軽く混ぜれば完成
リンゴやサツマイモは甘味が強いため、
小さな子どもでも食べやすいでしょう。
まとめ
「子どもに何を食べさせたらいいか分からない」
「どんな時期に、どれくらいの量を出してあげればいいんだろう」
「子どもが野菜を嫌っていて、なかなか食べてくれない」
このような悩みは、多くの保護者が抱えるものです。
また、どれほどきちんと作っても、
お子さんが食べてくれない……となることもあります。
しかし一緒に作り、一緒に食卓につき、
一緒に味わった時間は、
親御さんとお子さんの結びつきを強くし、
思い出に残ることでしょう。
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