月経の際には、どのようにホルモンがはたらいているか
知っていますか?
ホルモンのことをしっかり学べば、
もう少し月経と仲良く付き合えるかもしれません。
月経とは?
月経とは、約1か月の間隔で生じ、数日で自然に止まる
子宮内膜からの周期的な出血のことです。
月経開始日から次の月経開始日までを月経周期といい
25~38日以内であれば正常です。
月経周期はホルモンの影響を受けており
卵胞期、排卵期、黄体期に分かれています。
各時期ではどのようなホルモンが作用しているのか
詳しく説明します。
卵胞期
卵巣の中には卵子のもとである卵胞が存在しています。
①月経が始まると、下垂体前葉から
FSH(卵胞刺激ホルモン)が分泌されます。
②FSHが卵胞を刺激し、卵胞は発育していきます。
③卵胞が発育するにつれ、卵胞から
エストロゲン(卵胞ホルモン)が
分泌されるようになります。
④エストロゲンは子宮内膜を増殖させ、
厚くしていきます。
ここまでおよそ14日間かかると言われています。
基礎体温は低温相を示します。
排卵期
⑤エストロゲンの濃度が高くなることで
LH(黄体形成ホルモン)が分泌されます。
⑥LHサージが起こると約40時間後に
卵胞から1つの卵子が飛び出します。
⑦これを排卵と呼びます。
⑧卵胞はLHにより黄体に変化し、
プロゲステロン(黄体ホルモン)を
分泌するようになります。
プロゲステロンの影響で体温が上昇するため
排卵期は低温相と高温相の間にあたります。
黄体期
⑨黄体から分泌されたプロゲステロンは
子宮内膜を着床に適した状態にします。
⑩黄体の寿命は14日間です。
着床しなかった場合、黄体は
消退して白体となります。
⑪白体からはプロゲステロンが
分泌されなくなります。
⑫プロゲステロンが急激に低下すると
子宮内膜が血行障害を引き起こします。
⑬血行障害により子宮内膜は壊死します。
⑭その後剥がれて、体外に排出されます。
これが月経のメカニズムです。
黄体期は黄体の寿命と同じ14日間続きます。
この時期は高温相を示します。
次の卵胞期へ
⑮プロゲステロン・エストロゲンが低下すると
FSHが上昇し始めます。
⑯FSHにより新たな卵胞が育ち、
次の月経周期が始まります。
ちなみに、黄体期に着床していた場合
黄体は妊娠黄体へと変化します。
そこからエストロゲンとプロゲステロンが
分泌され、妊娠が維持されます。
順調に妊娠が維持されると胎盤が作られ、
妊娠10週頃からエストロゲンとプロゲステロンは
胎盤から分泌されるようになります。
エストロゲン・プロゲステロンの働き
エストロゲンやプロゲステロンは、
女性の体内でさまざまな役割を担っています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の役割
▼子宮内膜を増やして厚くする
▼精子が侵入しやすい頸管粘液にする
▼母乳の分泌の準備
▼(妊娠中は母乳が出ないようにする)
▼妊娠を維持する
▼コラーゲンの合成を促進する
▼LDLコレステロールを低下させる
▼HDLコレステロールを増加させる
▼骨量を維持する
▼血管を拡張させる
プロゲステロン(黄体ホルモン)の役割
▼着床しやすい子宮内膜に変化させる
▼精子や異物が侵入しにくい頸管粘液にする
▼乳腺を発育させる
▼母乳の分泌の準備
▼(妊娠中は母乳が出ないようにする)
▼基礎体温を上昇させる
月経は大変ですが、ホルモンがしっかり働いている証拠でもあります。
今月も健康を守ってくれてありがとうという気持ちになれたら、
憂鬱な気分も少し晴れるかもしれないですね。
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【参照】
病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科
病気がみえる vol.10 産科