男性も不妊の原因?男性不妊の症状や検査方法を解説!【NPO法人Fine】

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なかなか妊娠しないとき、

その原因は女性の側にあると思っていませんか?

 

実は、不妊の原因は男性側にもあります。

今回は「男性不妊」について取り上げます。

 

 

不妊の原因は男性にもあります!

 

日本で不妊の検査や治療をしたことのある

カップルは5.5人に1組、

不妊かもしれないと思ったカップルは3組に1

といわれています。

国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」

 

不妊の原因については、

順天堂大学医学部付属浦安病院の辻村先生の報告によると、

WHO(世界保健機関)の調査では、原因が

  • 女性のみ41
  • 男性のみ24
  • 男女とも24
  • 不明11

 

となっているようです。

日本メンズヘルス医学会「第1回コラム:意外に多い男性の不妊症について」

 

妊娠するには、女性の力だけでは不可能。

そのことを考えれば、不妊の原因が

女性ばかりにあるとは言えないですよね。

 

 

男性不妊にはどんなものがあるの?

 

ひとくちに男性不妊といっても、さまざまです。

 

まず、ED(勃起不全)射精障害などがあります。

 

また、パートナーの排卵日に合わせて性交渉をする

タイミング法がストレスとなり、

性交渉がうまくいかない場合もあります。

 

さらに精液検査をすることで明らかになる男性不妊としては、

  • 乏精子症:自然妊娠するには精子が少ない
  • 運動無力:症精子の運動性が悪い
  • 無精子症:射精した精液の中に精子がまったく見当たらない
  • 奇形精子症:正常な形態の精子の割合が少ない

などがあります。

 

そのほかにも

体の外に排出される精液が

膀胱へと射精されてしまう逆行性射精

交通事故等による脊髄損傷が原因で、

勃起や射精ができなくなるといった

不妊のケースもあります。

 

 

男性不妊の検査について

 

男性の不妊検査は、基本的には精液を採取し検査する

精液検査を行います。

 

精液検査では、射精した精液の中に

  • どれくらいの数の精子があるのか?
  • 精子の形は?
  • 精子の運動率は?

 

といった項目を検査します。

この検査で分かった結果のことを精液所見といいます。

 

1回目の検査結果がよくなかった場合には、

再度検査をすることもあります。

 

精液検査をした男性の精液所見と

各平均値と照らし合わせることで、

不妊の原因が明らかになります。

 

無精子症には2種類の原因があります。

射精した精液の中に精子が全く見つからない

無精子症の場合、その原因が2つ考えられます。

 

閉塞性無精子症

精巣で精子が作られているが、
通り道である精路にトラブルがあって射精されない
非閉塞性無精子症

精子を作る機能にそのものに問題があり、
妊娠できる精子が作られない
あるいは、生まれたときから精管が形成されていない

 

精液検査は産婦人科でも可能

男性も産婦人科で精液検査を受けることができます。

しかし、産婦人科は受診される方の多くが女性です。

 

そのため、「男性不妊かも?」と考える方は

泌尿器科で検査を受ける方が多いのです。

 

泌尿器科での詳しい検査について

泌尿器科では女性だけの待合室を経験することが少なく、

産婦人科での精液検査よりも

詳しく検査をすることができます。

 

泌尿器科では精液検査以外にも

  • 問診、視診や触診
  • ホルモン検査
  • 超音波検査

などを検査することができます。

 

視診や触診では陰嚢の大きさや硬さなど、

外性器の状態を調べます。

 

超音波検査では精巣の大きさを調べます。

このとき、精巣の腫瘍や精索静脈瘤が

見つかるケースもあります。

 

精索静脈瘤とは、精巣から心臓へと流れる血液が逆流して、

瘤のような状態が作られている症状のこと。

 

精索静脈瘤によって精巣の温度が上昇することで、

精巣機能が低下するとされています。

その結果、精液所見がよくないと診断されてしまうのです。

 

 

男性不妊が判明した場合の治療方針は?

 

不妊治療では、精液検査の結果によって

治療方針を考えることになります。

 

たとえば、元気な精子の数が少ない場合には

人工授精を選択することがあります。

また、精子の数が極端に少ない場合には、

顕微授精を選択肢に入れることもあるでしょう。

 

無精子症の患者さんで、

精巣で精子が作られていると判明した場合には、

  • 精巣から精巣組織を取り出すTESE
    精巣精子採取術
  • 精巣の中にある精細管の中から精子を見つけるMD-TESE
    顕微鏡下精巣精子採取術

 

といった方法で精子を採取することで

体外受精や顕微授精などの選択をすることができます。

 

検査で精索静脈瘤が見つかった場合

不妊検査を行うと、「精策静脈瘤」が

見つかる場合があります。

精策静脈瘤は男性不妊の代表的な疾患であり、

全成人男性の15%程度にみられます。

 

男性不妊の代表的な疾患ではありますが、

この症状を持つ男性全員の精液所見が

悪化するわけではないとされています。

そのため、精液所見や症状が悪い場合にのみ

治療を行います。

 

精索静脈瘤の手術は、静脈瘤を結んで切断します。

その結ぶ位置によって低位結紮(けっさつ)術と

高位結紮術があります。

 

また、ホルモン分泌の異常によって、

精子を作るためのホルモンが

十分に分泌されてない場合もあります。

 

この場合は、必要なホルモンを補充する

ホルモン補充療法を行って、精液所見の改善に努めます。

 

 

男性の心について

 

男性不妊に直面した場合、

男性のショックは計り知れません。

 

男性は女性と違って毎月の生理があるわけではなく、

男性不妊であっても自覚症状はほとんどありません。

日常生活に支障を感じることも少ないでしょう。

 

そのため、まさか子どもができにくい原因が

自分にあるとは想像していなかった!

というケースが多くみられます。

 

産婦人科で精液検査をした場合、

その結果をパートナーに伝える女性にとっても、

つらい状況といえます。

 

また、原因が男性側にあっても、

女性は採卵のために病院に通わなければなりません。

 

不妊の原因が男性側にあったとしても、

女性も身体への負担や精神的なストレスなどを

受けることは避けられません。

こうしたパートナーの心身の負担を

心苦しく思う男性もいます。

 

とはいえ、検査を先延ばしにすると、

女性の年齢が高くなって、妊娠しにくくなってしまいます。

妊娠を望む場合は、早めに男女両方が

検査を受けるのが望ましいです。

 

原因は男女半々にある、

妊活や不妊治療はカップルでするもの。

そう考えて、ふたりで妊活に取り組みましょう。

 

 

 

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【参考資料】

日本メンズヘルス医学会「第1回コラム:意外に多い男性の不妊症について」

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