月経の際には、どのようにホルモンがはたらいているか
知っていますか?
ホルモンのことをしっかり学べば、
もう少し月経と仲良く付き合えるかもしれません。
月経とは?
月経とは、約1か月の間隔で生じ、数日で自然に止まる
子宮内膜からの周期的な出血のことです。
月経開始日から次の月経開始日までを月経周期といい
25~38日以内であれば正常です。
月経周期はホルモンの影響を受けており
卵胞期、排卵期、黄体期に分かれています。
各時期ではどのようなホルモンが作用しているのか
詳しく説明します。
ホルモンの作用のしかた
卵胞期
卵巣の中には卵子のもとである卵胞が存在しています。
- 月経が始まると下垂体前葉からFSH(卵胞刺激ホルモン)が分泌されます。
- FSHが卵胞を刺激し、卵胞は発育していきます。
- 卵胞が発育するにつれ、卵胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されるようになります。
- エストロゲンは子宮内膜を増殖させ、厚くしていきます。
ここまでおよそ14日間かかると言われています。
基礎体温は低温相を示します。
排卵期
- エストロゲンの濃度が高くなることでLH(黄体形成ホルモン)が分泌されます。
- LHサージが起こると約40時間後に卵胞から1つの卵子が飛び出します。
これを排卵と呼びます。 - 卵胞はLHにより黄体に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌するようになります。
プロゲステロンの影響で体温が上昇するため
排卵期は低温相と高温相の間にあたります。
黄体期
- 黄体から分泌されたプロゲステロンは子宮内膜を着床に適した状態にします。
- 黄体の寿命は14日間です。
着床しなかった場合、黄体は消退して白体となります。 - 白体からはプロゲステロンが分泌されなくなります。
- プロゲステロンが急激に低下すると子宮内膜が血行障害を引き起こします。
- 血行障害により子宮内膜は壊死します。
- その後剥がれて、体外に排出されます。
これが月経のメカニズムです。
黄体期は黄体の寿命と同じ14日間続きます。
この時期は高温相を示します。
次の卵胞期へ
- プロゲステロン・エストロゲンが低下するとFSHが上昇し始めます。
- FSHにより新たな卵胞が育ち、次の月経周期が始まります。
ちなみに、黄体期に着床していた場合
黄体は妊娠黄体へと変化します。
そこからエストロゲンとプロゲステロンが
分泌され、妊娠が維持されます。
順調に妊娠が維持されると胎盤が作られ、
妊娠10週頃からエストロゲンとプロゲステロンは
胎盤から分泌されるようになります。
エストロゲン・プロゲステロンの働き
エストロゲンやプロゲステロンは、
女性の体内でさまざまな役割を担っています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の役割
- 子宮内膜を増やして厚くする
- 精子が侵入しやすい頸管粘液にする
- 母乳の分泌の準備
(妊娠中は母乳が出ないようにする) - 妊娠を維持する
- コラーゲンの合成を促進する
- LDLコレステロールを低下させる
- HDLコレステロールを増加させる
- 骨量を維持する
- 血管を拡張させる
プロゲステロン(黄体ホルモン)の役割
- 着床しやすい子宮内膜に変化させる
- 精子や異物が侵入しにくい頸管粘液にする
- 乳腺を発育させる
- 母乳の分泌の準備
(妊娠中は母乳が出ないようにする) - 基礎体温を上昇させる
月経は大変ですが、
ホルモンがしっかり働いている証拠でもあります。
今月も健康を守ってくれてありがとう
という気持ちになれたら、
憂鬱な気分も少し晴れるかもしれないですね。
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【参照】
病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科
病気がみえる vol.10 産科