不眠は女性ホルモンから?ライフステージ別の良質な睡眠をとる方法

不眠

日本人女性の平均睡眠時間は、

世界の中でもトップクラスの短さだと言われています。

 

ライフステージの多様化によって、

女性も男性も1日の過ごし方は変わってくることが

考えられますが、女性は生理学的にも

睡眠不足になりやすい要因があります。

 

それが「女性ホルモン」です。

 

女性の身体は「月経」「妊娠・出産」「閉経」を通して

大きくホルモンバランスが変化し、

それに伴って睡眠も変調をきたしやすくなっています。

 

この記事は「月経期」と「妊娠・出産期」の

女性ホルモンと睡眠の関係を理解し、

さらに、睡眠の「質」を高めるための方法を紹介します!

 

 

「不眠」とは

 

まずはじめに「不眠」とは何でしょうか?

簡単に言うと、不眠とは

「眠ろうとしてもどうしても眠れない」状態のことです。

不眠には様々な原因がありますが、

通常は数日から数週のうちに改善します。

 

しかし時には1か月以上にわたって

次のような状態が続くことがあります。

 

  • 寝つきの悪い「入眠障害<」
  • 睡眠途中で何度も目が覚める「中途覚醒」
  • 早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」
  • 睡眠時間は十分なはずなのに
    休養感が得られない「熟眠障害」

 

そして、このような状態に加えて

「日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」

ことが認められると「不眠症」と診断されます。

 

 

男女の不眠に悩む割合は?

 

現代人は5人に1人が睡眠障害を抱えている

と言われています。

精神科医の星野仁彦医師は、

睡眠障害を訴える日本人が急増していることを

危惧しています。

 

さらに厚生労働省の調査によると、

女性の1日の睡眠時間は、

30代以降のほとんどの年代で男性よりも短く、

睡眠時間6時間未満の方は、

男性が36.1%に対し、女性は42.1%という結果があります。

 

女性は仕事と家事の両立に加え、

育児や介護負担といった現状から

十分な睡眠が確保できていない可能が

高いことも示されています。

 

また不眠の症状別では、女性は入眠障害と

中途覚醒の頻度が高いことも明らかになっています。

 

そして、本記事の冒頭でも説明した

女性ホルモンである「プロゲステロン」との

関連による不眠があります!

 

 

各ライフステージにおける女性の不眠の特徴

 

ここまで女性が不眠になりやすいことを述べてきましたが、

女性ホルモンバランスの変化による不眠症状は、

「なぜ不眠になるのか」

つまり不眠の原因がそれぞれ異なります!

 

したがって、大きくホルモンバランスが変化する

月経期と妊娠・出産期を中心に

不眠の特徴について説明します。

 

月経期

月経前に心身の不調を呈する「月経前症候群(PMS)」

身体的症状

  • 腹痛
  • 肩こり
  • むくみ
  • 体重増加
  • 便秘など

 

精神的症状

  • イライラ
  • 無気力
  • 集中力低下など

 

眠気もPMSの症状のひとつであり、

特に「過眠」が睡眠障害の特徴です。

 

月経前、特に黄体期と呼ばれる月経前2週間には

女性ホルモンのプロゲステロンが増加し、

基礎体温が上昇します。

 

ヒトは体温が低下すればするほど、

眠りやすさが強まるので、

基礎体温=深部体温が上昇し、

体温のリズムにメリハリがなくなる月経前は、

睡眠が浅くなったり、

眠気が強くなったりすると考えられます。

女性ホルモンと体温

 

妊娠・出産期

妊娠前期にも日中の眠気が強くなります。

これも月経期同様に、プロゲステロンが原因です。

 

プロゲステロンは基礎体温の上昇を

促すことで、妊娠の継続に作用します。

そのため、妊娠前期は強い眠気が引き起こされる

と考えられています。

 

妊娠中期になると眠気は落ち着きますが、後期になると

子宮の増大、収縮や体動による違和感、

膀胱が圧迫されて起こる頻尿、腰背痛などによって、

夜間の中途覚醒により昼間に眠気が…

ということが起こります。

 

また、妊娠中の体重増加によって

睡眠時無呼吸症候群が生じたり、

鉄欠乏貧血が原因のむずむず脚症候群が生じたりします。

 

このような、妊婦さん特有の病気によって

睡眠不足が生じてしまい、眠気が強まることもあります。

 

出産後は、急激な内分泌環境の変化という

身体的ストレスに加え、

ママとしての役割や育児中心の生活によって、

心理的にもストレスにさらされます。

 

加えて、授乳や夜泣きもあるので、

夜にまとまった睡眠が取れなくなってしまいます。

 

 

睡眠は「長さ」よりも「質」が大事!

 

良い睡眠とは、睡眠時間が長いことよりも

「質」が重要です。

 

厚生労働省の「睡眠の質の評価指標」によると、

以下の7つの要素のうち、当てはまる要素が多いほど

「質の良い睡眠」と判断することができます!

 

  1. 規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて、
    昼夜のメリハリがはっきりしている
  2. 必要な睡眠時間が取れていて、
    日中に居眠りせず、良好な心身の状態である
  3. 夜間に途中で覚醒せず、安定した睡眠が得られている
  4. 気持ちよく、すっきりと目覚めることができる
  5. 布団にもぐってから、時間をかけずに入眠する
  6. 熟眠感が得られている
  7. 日中、過度の疲労感がなく満足感を得ている

 

いかがでしょうか?

 

ご自身の睡眠を振り返り、当てはまる要素が3つ以下の方は

今の睡眠状態を改めてみませんか?

 

 

「質の良い睡眠」を取るためのルーティン

 

では、具体的に何を行ったら良いのでしょうか?

「質の良い睡眠」には、日々の習慣化が大変重要です。

 

したがって、各ライフステージごとに

今夜から取り組んでほしい、

質の良い睡眠のためのルーティンを紹介します!

 

月経期におすすめのルーティン

睡眠日記をつける

数か月間、睡眠日記をつけて

生理日をマークすることによって

生理周期と睡眠変化の周期性に気付くことができます。

 

日中にしっかり日光を浴びて、夜とのメリハリをつける

日光をしっかり浴びることによって、

体内時計のズレをリセットできます。

 

例えば

「起床後カーテンを開けて自然の光を浴びる」

「就寝時は静かで暗い環境を作る」

などで、簡単にメリハリをつけることができます。

 

入浴する

睡眠前に体温を変化させることで、

うまく眠れることもあります。

 

例えば

「ぬるま湯につかる」

「足湯をする」

などによって皮膚からの熱放散が増え、

体温のリズムを生み出すことができます。

 

不眠がひどく辛いときには、

睡眠薬などの利用も選択肢として検討してみてくださいね。

(ただし、医療機関を受診し相談のうえで利用しましょう)

 

妊娠・出産期におすすめのルーティン

短時間の昼寝をとる

睡眠薬は妊娠中には原則使用できないため、

昼寝を取ることで睡眠時間を補完しましょう!

 

このとき15時以前に昼寝を取ることが好ましい

とされています。

特に出産後は1日を通して

長時間眠ることが困難になるので、

こまめに寝る習慣をつけましょう。

 

周囲に「眠くなりやすい」ことを理解してもらう

妊娠前期によく現れる強い眠気は、

妊娠に伴う生理的な現象です。

 

これは妊婦さん自身もしっかりと理解し、

無理をしないことが大事ですが

周囲の協力も必要不可欠ですよね。

 

したがって、特に家族の方には理解してもらい、

まずは体調を最優先しましょう。

 

 

まとめ

 

今回は女性ホルモンの変化に伴う睡眠不足について

紹介しました。

 

月経期や妊娠・出産期は身体の負担も大きいです。

そのため睡眠をしっかりとって、

心身ともに健康である必要があります。

 

身体的な負担が大きい中で

できるだけ簡単に質の良い睡眠を取るには

  • 体温のリズムを整えること
  • 眠気が辛いときには無理をしないこと

まずはこの2つを今夜から心がけてみましょう。

 

加えて、寝れないことで考えすぎるのではなく

女性ホルモンのせいにして少し割り切ることも重要です。

しょうがない!と割り切って、

リラックスすることも睡眠には大切です。

 

またこれらだけでなく、ブルーライトや食事時間が

睡眠不足に関係している場合もあります。

 

何が原因で睡眠不足になっているか、

改めて考えるきっかけになればと思います!

 

 

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【参照】

厚生労働省 不眠症

厚生労働省 女性の睡眠障害

厚生労働省 平成26年度版厚生労働白書 図表2-3-22睡眠時間の国際比較

厚生労働省 平成29年国民健康・栄養調査結果の概要

内山真、降籏隆二 2014年「ヒトの体温調節と睡眠」『日温気物医誌』78巻1号 p6-9.

渋井佳代 2005年「女性の睡眠とホルモン」『バイオメカニズム学会誌』29巻4号 p205-209.

星野仁彦 2009年『睡眠障害は万病のもと――ぐっすり眠ればすべての病気は治せる』ヴォイス.

Kaneita Y, Ohida T, Uchiyama M, et all.「Excessive daytime sleepiness among Japanese general population」(Epidemiol 15. 1-8, 2005)

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